第6話 覚者誕生の地 インド ブッダ・ガヤー

 釈迦族の王子シッダルタがブッダ・ガヤーの菩提樹の下で悟りを得た。いや、逆だ。そこで王子が仏陀となったために、ブッダ・ガヤーと名付けられたのだろう。

 ここに世界遺産マハーボーディ寺院がある。仏陀が悟りを得た菩提樹の前(後ろ?)に建てられた高さ52メートルの寺院。美しい。設計した者の美的センスに驚きすら覚える。

 ごく簡単に説明すると、正四角柱の土台(といっても5メートル以上はあるだろうか)の上、四隅に四角錐の尖柱が立ち、その中央に巨大な四角錐の尖柱が立つ。土台、尖柱には装飾が施されている。入り口のある方向には、土台にも大尖柱にも門が"ぼこり"と突き出ている。本殿内部には、土台の入り口から入る。黄金の仏像がある。内部はなぜかエアコンが効いていて快適。少し、興を削がれる。

 この寺院の周りには門や仏塔、菩提樹、手入れされた庭、池などがある。

 菩提樹。それは傘をひろげるように大きい。

 木や物が神聖視されるのが納得できない(それは植物であり、石だから)私は、菩提樹を見ても、大した感慨はなかった。

 ただ、寺院の美しさは感じられた。設計美。ガイドブックの写真は金色だが、私が見たのは焦げ茶色。塗装を剥いでいたのだろう。大小5本の尖柱は上部で水平に切られ、その上には円を基調とした円錐状の塔(飾り)がのびる。それが尖柱と調和していて、非常に良い。

 この寺院の周辺では子供の物売りがしつこい。CDを買え、50ルピーだ、自分は金がない、腹が減った。ホテル周辺では勉強のために辞書を買ってくれ、なんていう子供もいる。なぜ私が買わなければならないのか。親に買ってもらえ。そう言ってもまるで無視。何度も何度も同じフレーズを繰り返す。話を聞け。あまりに話を聞かないので頭にくる。あげくの果てにはビスケットを買ってくれとまで言う。私のホテルまでついてきて、私からは金が出ないと知ると、あなたは悪い人だと言う。大してムカつかないが、ため息がもれた。

 ブッダ・ガヤー自体はものすごい田舎。電車の関係で、私はブッダ・ガヤーに2泊したが、暇だった。マハーボーディ寺院以外の小さな寺院は、見る気もおきなかった。暑くて観光するのも面倒だったのもあっただろう。

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