家鳴り

3.14

家鳴り

皆さんは、よく寝ているときに、「ミシリ」、とこのような音を聞いたことがありませんか?

それは、「家鳴り」というものです。

なぜ鳴るのか、どういう仕組みなのか、もしかすると怪奇現象なのか。

そう疑問に思ったことは、ありませんか?

ほとんどの場合、「何故だろう」で終わってしまっていますよね。

しかし人間には、考える力があります。もしかしたらアレのせいで、いやこの構造がアレだから…、理由なんて無限に考えれます。

他の生物で、何故こうなるのだろうか、だなんて、まず考える生き物は、いません。

そう、人間は、考えるという素晴らしい能力を持っているのです。

考えたり、想像したり…ね。

しかし、

その考えや、憶測、想像、妄想、それが全て、自分に取っていい事が起きるとは、限りません。

人間は、一度考えてしまうと止まりません、そして何度も憶測を立てるうちに。


「ミシッ」

真夜中のよる深夜

暗闇の中に大きく鳴り響く。

「駄目だ、寝れない…」

少年は、天井を向きながらそう呟いた。明日も普通に学校があるのに夜中までゲームをしていたのが悪かったんだ。

何度も寝返りをうつが一向に眠気は、やって来ない。むしろ目が醒めてきている。

「はぁ……」

すると、

「ギシギシッ」


「っっっ」

またこの音だ。

いつもは、外からリンリンと虫の音が聞こえてくる、はずなのに。

今日は、なぜだか静かだ。

より一層、家が、「鳴る」。

そういえば、昔死んだおじいちゃんが言ってた。

家が鳴るのは、湿度が高いときと湿度が低いときだと。木が、水分を吸い膨張し、また乾燥すると木から水分が出ていき、縮む。

その一連の動きで木造の家は、よく鳴る、のだと。

僕は、それを思い出し、そういうことだと納得した。

だがここで疑問が生まれた…。

「ん…、ほんとに木の収縮のせいなのか…?」

だってそもそも考えて見ると、木が水分を吸って音が鳴るか、?!

しかも住んでいる家自体も全部木で出来てるわけない。

コンクリートだって使われてるし、たった空気中の水分だけであんなにギシギシ音を立て縮んでいたりしたらそんな木、すぐ腐るだろ。

どんどんと疑ってしまった。

死んだおじいちゃんだってその話し、誰から聞いたんだ?。別に建築関係の仕事をしていたわけじゃないし今と違って様々な情報が入ってあるスマホなんてものも存在しない。

考えれば考えるほどおじいちゃんの話しの信憑性が低くなってくる。もはや答えなど分からない…。

そう思ったときあることを思い出した…。



今では、科学やインターネット、なぜこうなるのか、どういう仕組みなのか。調べればすぐ分かる。

だが昔は、どうだろうか?

弥生、平安、江戸、こんな時代、分からないことだらけだ。

だが人は、それに無理矢理でも答えを出した。

弥生では、気候の変化を神のせいにした。平安でも病気にかかれば呪いや、「まやかし」のせいにしてきた。江戸だなんで生霊に殺されたやら藁人形で呪いにかけられたやら、「見えないなにか」をせいに、答えを出してきた。

しかし、さっき言ったように人は、考え、答えを出そうとする。

その答えは、さっき言った時代の答えと同じだ。



考えれば考えるほどおじいちゃんの話しの信憑性が低くなってくる。もはや答えなど分からない…。

そう思ったときあることを思い出した…。

「あ、そういえば、昔お父さんが言ってたな。夜に家が鳴り、その鳴った方向にお化けが居るって…。」


そしてまたその「見えないなにか」について人間は、考え出す。


「……」

「ドキドキトキドキ…」

本当に音がなった方向に…居るのか…?お化け…。

お父さんは、よく僕を怖がらせようとホラを吹く。ホラ吹きだ。

だからいつもそのホラを確かめる。

なら今回も、いつものように鳴った方向にお化けが居るのかを確かめればいいじゃないか。

いや、もしかしたら本当に居るのかもしれない。みたこともない宇宙人のような…。いやもしかすると恐ろしい顔の幽霊がこっちを見てるのかも…。

いや、でも確かめて見るしか…、………。

「見るか…見ないか…見ないか…見るか…」

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ、答えを早く出せと言わんばかりに心臓は、動く。

「ッッッ!」

ばっ、と振り向こうとした瞬間…っ。

「ちょっと〜、何やってるのー、もう朝よ?」

窓を見るとピカピカと朝の光が入ってきていた。

「…あれ?…朝…?!」

「もしかして…」

「早く学校行く用意しなさいよー」

「もしかして…夢か…?」

ミシミシ言ってたのも二階の母親の足音か?

「なんだぁ、」

そして、その少年は、そのままベッドから降り二階へと上がっていった…、


「ミシィッッ…、」。


一番最初に言い忘れていてことですが…、

人間は、一度考えると止まりません、そして何度も憶測を立てるうちに…。

いつかそれは、現実となって現れる。


でも、唯一、その現実から逃れる方法があります。それは…

「信じないこと」それだけです。

今回の少年は、ラッキーでしたね、さっきあった恐怖の体験が「夢」だと、信じれて。





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