第5話
主張先で来た場所は、どこか懐かしい雰囲気の場所だった。
残業ばかりで平日の夕方に商店街を歩くなんて普段でさえない。夕飯の買い物だけを買ってサッサと帰りたいお客さんと出来る限り売り、あわよくば売り切って今日を終わらせたいお店との攻防はちょっとしたお祭りのように見えた。
少し前まで皆んなマスクをして、大声を出さない。外出自粛‼︎と言っていたのに。
未来だか過去に戻ったのか、タイムスリップ気分だった。
こんな気持ちになるのは、心が空っぽな時。
今見ているものが現実感を感じないというか、どっかに心を落としてしまったような。
あ、、沼にか、、
質問ばかりだった日々から、質問をされる事も多くなったし、色々任されるようにもなったし、何の知識もない他業界でそれなりにやっていけてるかなーなんて思ってた時に“出張お願いしてもいいかな”なんて言われて、、張り切っていた。
“、、期待に応えたい”って思った。
私の中で1番大きかった気持ちは、違ってた。
期待から任されたものじゃなかった。
期待されて重荷になるタイプもいるが、
私は期待されると“応えたい‼︎”と炎えるタイプ。
煽てられれば木にも登るようなヤツなのだ。
半年しか変わらなくて、年も下なのに色々任せられて出張も行ったりして、凄いなぁって気持ちと羨ましいなぁとも思ってたし。
だから、嬉しかったのになぁ、、、
んっ?
え?そういえば今、出張先、、
なぜ彼が?どうゆう事??
最初から来るつもりでいた?
どこかで見てた??
、、まさか、、上司もグルか⁈
SFのようなタイムスリップからの、現実なぞなぞは、緩急がエグすぎて何だか気分が悪くなってきた。
、、、、もう宿に戻ろう、、
せっかく早く終わったんだし、ずっと行けなかった“旅行”だと思って満喫しよう。
そうだ‼︎そうしよう‼︎
私は落ち込みも激しいが、同じように上昇も早いところがある。
夕飯は何かな〜
お酒頼んじゃおかな〜
脳内会議は一気にメンバーもお題も変わり、陽気な雰囲気になった。
「落ち込んでるかと思ったら、意外な表情ですね」
宿からの灯りを背中に受け、ポケットに手を入れ、肩幅の大きな、背の高い人。
、、普段見慣れてる、ほんの数時間前まで一緒にいた人が立っていた。
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