第3話

入社後、初の出張。


プレゼン練習もした。

質疑応答のデモンストレーションもした。

資料に関しても抜かりないはず。

出来る事は全部やった。


ー当日ー

「もう少し詳しく説明してもらえる?」

そう言われたので説明した。

「いや、もっと簡単でいいんだよ」

、、説明がくどかったという意味かな、、

「ココの部分を具体的に言ってもらえる?」

具体的に説明すると、

「そんな細かい事まで聞いてないんだよ」

あ、、合ってない。

何を求められてるか分からない。

一気に頭が真っ白になってしまった。


見兼ねた進行者が“一旦休憩入れましょう”と割って入ってくれた。

私はトイレに行った。

隣から声が聞こえてきた。

「いやー、、◯◯さん気の毒だよなー」

「確かに。でも助けるとコッチに飛び火くるしなー」

「でも、あれは理不尽だわ。」

「まぁな、、だったら指名すりゃよかったのにな〜」

「指名しなくても来るだろって思ったんだろ」

「出来る人は忙しいんかね〜」


、、なるほど、、

誠心誠意の返答に対してのあの態度や、

全く相手を汲み取れないのも、

“急に決まったこの出張”も、、


小さなモヤモヤのピースが、

一つの絵になった。

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