第6話 結婚前に身体と心を貪る

その時、脳裏に悪魔のささやきがあった。沙理がこんなにお願いをしてくるということは、どうしても人数合わせで人が欲しいということだ。ということは、今の沙理なら何を言っても聞いてくれるはずだと。俺は、沙理と朝までデートをしてくれるなら出席すると言い、次の週末、久しぶりに彼女とデートをすることになった。


 4年ぶりに会った彼女は、とても綺麗になっていた。大学時代から、隠れた美人だと思っていたが、今はそれを表に出している印象だ。これも陽キャの彼氏のせいなのかもしれない。俺たちは簡単に食事を済ませると、すぐにラブホテルへと向かった。大人になった俺は、大学生の頃とは違いお金があったが、あの頃と同じ料金の安いラブホテルを使った。


 4年ぶりの沙理の身体。とてもなじみ深くて、俺は必死で腰を振った。だが、彼女は結婚前に元カレとこんなことをして、悲しい思いをしているはずだ。そう思って顔を見たが、そうじゃないことは、俺のものを彼女の中に入れている時にわかった。


「沙理……お前」


 沙理は俺の身体を強く抱きしめた。彼女が俺をまだ愛していることは明白だ。


「彼とは、心からは分かり合えなくて。それに体の相性も……」


「それなのに結婚するのか?」


「……うん」


 悲しそうな表情で、沙理は頷いた。どうして彼女がそんな相手と結婚をするのかが理解できなかった。そして、それから彼女の結婚式までの3か月間。俺たちは隙を見て2人で密会し、お互いの身体を求めあった。

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