第4話 彼氏彼女の終わり。

あんなに毎日飢えた獣のように求めあっていたのに、別れる時はあっさりしていた。俺たちは年が明けてすぐに、同棲を解消し、恋人も解消した。その後、すぐに後期が終わり、俺たちは大学3年生になった。3年になると、就職活動も徐々にし始めなければいけない。沙理とは同じ仲良しグループの仲間だったので、顔を合わせることがたまにあったものの、グループで話をしている時に、元々2人で話すことはなかったし、就活で忙しくなっていったので、よそよそしい感じにもならなかった。俺は、彼女が何を思い、何を感じているかなんて考えもせず、ただ目の前のことに精一杯だった。


 そしてさらに数年が経ち、俺は無事に大学を卒業し、新入社員としてがむしゃらに働き、2年が過ぎた。丸2年で、3年目ともなってくると、心の余裕もでき始める。会社での俺は、相変わらずの「いい子」だ。それはずっと昔から変わっていない。誰に対しても人当たりの良い表情と会話をする。だから、会社での評判もいい。後輩もできて、慕ってくれるし、先輩にも目をかけてもらっている。何もかもが順調のはずだ。なのに、俺の心はぽっかりと、穴があいたような感じだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る