第2話 2人きりの‥
だから、その反動なのか、週末に会う時は思いっきり羽目を外していたんだ。
「お待たせ、優斗君」
「沙理……今日も可愛いね」
「もう、優斗君ってば」
週末の俺たちは、まるで陽キャにでもなったかのように、普通の恋人だった。食事に行ったり、映画に行ったり、ドライブに行ったり。だけど俺は、こうやって待ち合わせで会った時から、夜のことばかりを考えていた。夜はいつだって抱き合っていたから。何時に帰るのかを考えて、何時までにホテルに行けばいいのかを逆算していた。だから沙理に「可愛い」と言ったのは嘘ではないし、本当に可愛いと思っている。ただ、今日の下着の色は何色だろうか、今日はどこから責めようかということも同時に考えていたけれど。普通に話していても、俺の頭の中では、彼女の甘い声がちらついていた。
一緒にデートをする時間も楽しい。だけど、2人で裸で抱き合うことで俺は愛に包まれている気持ちになっていた。行為自体も気持ちよかったが、それよりも俺のものが彼女の中に入って、1つになるような感覚が、何よりも心を満たしてくれた。だから俺は、毎回沙理の中に入れた時、じっと動かずに彼女をギュッと抱きしめたまま止まっていた。沙理もまた、俺をギュッと抱きしめ返してくれる。時折、中に入っている俺のものも、彼女が中でギュっとしてくれることもあって、体の中でも外でも抱きしめあうとは、こういうことなのかもしれないと思っていた。
俺と沙理は、どちらも親からの仕送りで暮らし、一人暮らしの家も親名義で借りていたので、どちらかの家で行為に及ぶのは気がひけた。小中高、そして大学でも親にとってのいい子、大人しい子、真面目な子を演じていたせいもある。そしてこれは、俺だけではなく、沙理も同じだ。だから、俺からも沙理からも、自分の家で、相手の家で、そういうことをしようとは言いださなかった。
ラブホテルは毎回、休憩2時間。これが一番安いからというのもある。大学生なので、小綺麗なラブホテルには行けなかった。けど、ちゃんと探せば、安くても広くて綺麗なラブホテルもある。とくに、彼女が整理で間が空いた時などは、2時間ではなく3時間やフリータイムを使って長時間行為ができるようにした。いつもなら遊びに行くのだが、そういう時は会ったらすぐにコンビニへ行き、ご飯を買ったらラブホテルへ直行。お互いに激しく体を求めあった。お風呂の中でも愛し合い、ベットの中でも愛し合い、終了の時間が来る直前まで常にだ。
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