公園×夜=?

 ちょっとしたメモを残し、家を出ていく。昨日の昼とまったく同じの快晴だ、目を覆いたくなるほどに光が差し込んでくる。


 あまりにも早朝のためだろうか、まだ人は少ない。

 半袖Tシャツ姿の男性が数人横を通り過ぎるだけで、通勤する会社員は見かけない。


 親の都合で引っ越していった元カノが住んでいた空家を通り、昨日とはまた別の道で駅まで向かう。


 広島行きの切符を買って窓側の席に乗り込み、椅子を傾け目を閉じると、10分後には彼は眠りについていた……。


 


今は何時だ?隨分寝たな。


『次は新大阪に止まります。次は新大阪〜新大阪〜』


 助かった!寝過ごすところだったじゃないか。


とりあえず、大阪に着いた! 


……降りたはいいが、どこをどう間違えたのか梅田というところに来てしまった。大阪もあまり東京とは変わらないが、淡々とした東京とは違い、少しがやがやしている。(個人の感性です)


 まあ、一生に一度くらいしかない経験だ、精一杯楽しもうと決め、多くの人が行き交う交差点へ一歩踏み出した。


 


 時ってものはあっという間に過ぎるようで、スマホを見るともう午後2時半だ。

 俺は何をしたのかもわからないほど、ずっと大阪を歩き回っていた。


 流石に疲れたな、一休みしよう、と近くにあった公園の少し新しそうなベンチに倒れ込んだ。


 最近寝てなかったせいもあるのか、途端に睡魔に襲われ、結局起きたのは午後7時半頃だった。

 

 公園の中で遊んでいた子供たちはもう家に帰ったのだろうか、もう辺りには誰もおらず、静まり返っている。


 煌々と電灯が照らしている下のベンチで、スマホに表示された時間を見て、俺は小さくはぁとため息をつきうなだれた。

 

 夕日はもう落ち、俺を照らすのはあちらこちらにぽつんと立っている街灯と、青白く光る月だけだ。

 

 今日はどこで寝ようか、明日はどこに行こうか、一旦ここで少し休みながら考えようと、腕組みをして再び瞼を閉じようとしたときだった。

 

 これが奇跡というべきものなのか、ありがた迷惑と言うべきか、そう簡単には休ませてくれない輩がどこからか現れ、俺の前に立ちはだかった。


「あ、あの大丈夫〜?」


「ん?」


「起こしちゃってごめんね〜、一人でなんか寂しそうだったから声掛けちゃった。」

 

 ネギが飛び出したレジ袋を持っているので、ここらへんに住んでいるようだが、関西弁ではないことに少し違和感を覚える。


 ラフな服に黒髪のボーイッシュの髪型、俺と年はそんなに変わらないだろうか、20代ではなさそうだ。少し失礼だがDぐらいはあるだろう(何がとは言わないが)。


「蒼?」


 元カノの名がとっさに出てしまうほど似ていた。真っ直ぐな目に、少し怒った顔、あまりにもそっくりだ。


「なんて?」


「いや、なんもないっす。」

 勘違いだろう、中学の時の蒼の顔がいまだに忘れられないから、少しでも似ていたら蒼なんじゃないかと思ってしまう。


「こんな所に一人でいたら、悪い人らに絡まれるよ〜?」


「まぁ一応、ボクシングとか柔道やらやってたんでそこらへんは……。」


 ふと、思い返してみると、ボクシングとかを習い始めたのは蒼がきっかけだったな。


 もっとも子供の頃はひ弱だったが、カノジョを通り越し、親友とまで言えるぐらいの仲だった蒼が転校してしまったので、また会うときはもっと強くなった自分を見せたいと思うようになった。


 それからは、朝早く起きて目をこすりながらランニング、暇があれば筋トレといった生活を送ってきた今、恐れるものは金ぐらいなものになってきた。


今頃、蒼はどうしているだろうか。


「ほ〜。で、どこから来たの?関西弁じゃないし、やっぱ関東とかの子?」


「まあ、そんなもんす。」あまり相手の方を見ずに喋る、


「私も生まれは関東なんだけど、転勤ラッシュで色んなところに引っ越してたの〜」


 こんな他愛のない会話が何往復か続いたあと、


「このあとどこか泊まる?」と聞かれたので、首をブンブンと横に振り、


「いえ、その事考えずにここにきたのでホテルとか取ってないんですよ、ここらへん住宅地ばっかりなのでホテルもなさそうなんで、僕はここで寝て早朝にどこか行こうかなって思っていたところです。」


「いやいや、ここは冷えるよ、やめときやめとき」


 俺はあまり動きたくもなかったので黙ることにした。

しばらく時間は過ぎ、俺の横にいつのまにか座っていたそいつは少し考えたあと、


「うち……来る?」


        は?

 

 いやいやいやいやこいつは馬鹿か、今知り合った奴を家に入れるのは、もうそういうことにしかほかならん、もし何かあったらどうするんだ!絶対に行ってはいけない……いや、でも行きたい。ここ

は寒すぎるし何より……

 迫りくる邪念を打ち払い、やっとのことで声をひねり出す。


「いや、大丈夫っす。これからちょっと寝るんで、まぁ気にしないでもらって。」

 寝たふりをしないとどこかに行きそうにないので、無理やりながら目を閉じた。


 少しの間寝るつもりだったが爆睡していたらしい、目を閉じていてもわかる春のあたたかい日差しだ。

 風がスースーと耳の横で鳴っている……ん?耳の横?


 よっこいしょ、仰向けになった体を横にして隣を見ると、、、

「つっっっっっ///!?」


______________________________________

どうも、作者です。今回は初投稿ということで不安ながらも頑張っております。

週1を目標にしていますが、自堕落な生活を送っているため、絶対遅れます。

その時は温かい目で見守ってやってください。


さて、ヒロイン登場ですが、正直ヒロインの髪型は私自身の好みなので、皆さんのお好きな子を想像していただけたら幸いです。(ちなみに黒髪ロングがおすすめです)


ではでは、次の機会に。

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