第6話:子供を育てる難しさ ⑥

次に③家族の理解について考えてみたい。


 この課題は当事者にとってはかなりハードルが高いとも言われていることだ。


 なぜなら、いじめを受けていた人の中には“いじめられたのはあなたが悪い”と世間体や相手とのトラブル回避など起きていることを大事にしたくないという“社会心理”が親によっては働くことがあり、いじめが起きた責任を自分の子供だけに押し付けていじめが起きているということを隠ぺいされるという体験・経験をしている子供が大人になって親になったときに親にされてきたことと同じ事を子供に繰り返してしまう可能性もある。


 その理由として、“両親に守ってもらえなかったから、子供にも同じ事しか出来ない”という親の行動を反面教師にしてしまうことで自分を守ろうとする事も十分に考えられるのだ。


 親にこれらの心理が強く働いていくことで子供たちも「いじめられることは仕方がないことだ」という強い自責心が芽生えることで精神脆弱状態に陥る懸念もある。


 その心理が日常的に芽生えてしまうことで起きている事に対して抵抗することも出来ない、抵抗したとしても意味がないという受け身が目立つことになり、次第にやられている事を我慢し始めてしまう。


 その結果、子供が深刻な事態になるまで周囲が異変に対して分からないという事態につながり、対応が後手に回ることや立ち直るまでに長期間のカウンセリングが必要になるなど子供の努力だけでは解決出来ない問題へと発展していってしまうのだ。


 ただ、本人がこの状態になったことにより分かったときに家族全体の理解がないと本人は「(僕に・私に)興味がない」や「誰も助けてくれない」という心理が働き、不登校や自傷行為などストレスの矛先が自分に向いてしまうことで、自分の身体を傷つけるなど周囲に見えない形で辛さや悲しさを自黙させる行為を覚えてしまう。


 実際にいじめを受けていた家庭でも両親もしくは父親・母親のいずれかが子供に対して寄り添ったことで最悪のシナリオを避けることが出来た、自分の出来ることを見つけて熱中したことで、社会に対して少しずつ信用が生まれる事や自分が出来ることが増えることで自分に対して自信を持てるようになり、次第に辛い過去から解放され、明るい未来を設計することが出来るようになったという子供たちも多くいる。


 つまり、何か起きたときに子供の味方になれる存在というのが家族であり、友人なのだろう。


 ただ、現在はいじめを受けている子供たちの味方をすることは覚悟がいることも少なくない。


 なぜなら、いじめられている子を擁護することで助けようとしている、擁護した子供たちが次のいじめのターゲットになってしまう可能性があるため、校内でいじめの連鎖が起きてしまう懸念があるのだ。


 子供を育てること。


それは未来の社会を担う大切な存在を社会全体で容認することなのだと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る