第4話:子供を育てる難しさ ③-1

私は子供を社会で育てる事の日常化や人との交流機会の増加などが子供の多様な人格形成やコミュニケーション力など社会生活に必要な知識や教養を身に付けていく必要な行動だと思っているし、そのような体験・経験が子供たちにとっては1つの判断材料として活用出来るようになると思う。


 ただ、今は対面よりもオンラインやネット上での交流の方がストレスを感じる場面は少ないと答える子供たちも多く、年齢が一定年齢を超えないと逆転する様子は感じられない。


 その理由として、人とのつながりに対する基準が私の子供の頃よりもかなり低くなっており、“デジタル機器があるから、いろいろな人といくらでも交流できるチャンスはある”という認識を持っている子供たちが多く、デジタル機器の発達が子供たちの不安やストレスを軽減させるツールになりつつあるように感じる。


 次に②1人時間に関して考えてみたい。


 現在は友達と遊ぶ機会は以前に比べると減っている。


 その要因としては“学習塾などの英才教育の定常化”や“ネット環境の発達による人間関係構築方法の変化”、“同胞意識の高さ”など個別競争意識の高まりも影響しているが、1番は“自分の目標と同じ人と繋がりたい”・“自分の価値観と同じもしくは自分の価値観と似ている人と繋がりたい”という部分が多い。


 もちろん、同じ目標の人と繋がることは将来的なライフプランとしては必要な事なのだが、幼少期から同じ価値観もしくは似ている価値観を持っている人、同じ目標の人とだけ繋がることは将来的にも好ましくないと思っている。


 だからといって、1人時間が長くなることは両親にとっても将来的な不安などを感じる要因の1つになること、子供にとっても1人時間に対する有価性を見いだす一方で自分と周囲の違いにストレスを感じてしまうことで孤独を増幅させ、精神的にも心身的にも疲弊する可能性がある。


 今はこのバランスを保つことがかなり難しくなっている状況に陥る子供が増えており、バランスを取るために必要な方法を模索している段階というのを社会からは感じている。


 そして、現在は親の教育観の違いが顕著に表れている事や教育熱心な家庭とそうではない家庭がトラブルになるなど集団生活の中でも1人時間を大切にする子供や親が増えている。


 これは①部屋などで勉強する習慣がついた・②スマホなどのデジタル機器を用いて過ごす時間が増えた・③いじめなどを受けた事による人間不信状態になっているなどさまざまな本人の状態が想定できるが、私が危惧しているのは“家に居場所がない”・学校に居場所がない“など自分の身の回りに自分が過ごしやすく、居心地の良い場所が1つもないというケースだ。


 今は人数こそ多くないが、繁華街の一角に集まって交流する子供や家出や非行を繰り返す子供、犯罪行為(援助交際・児童買春など)に手を染めてしまう子供など一般的な世界になじめない子供たちがこれらの場所を見つけ、そこでは自分を周囲の同年代の子たちや上の年代の人たちが認めてくれている場所があるという精神的認知が自殺などの最悪の事態を防ぐ防波堤のような役割を担っている。


 私はこれらの行動が起きる背景に①家庭における1人時間の長時間化・②片親家庭もしくは共働き家庭で家庭にきょうだいがいないもしくはきょうだいはいるが、すでに独立している・③友人がおらず、学校で孤立している・④社会的孤立により助けを求めることが難しいなど社会的要因と家庭的要因など複数の要因が組み合わされて起きていると感じている。


 もちろん、1人の方がストレスに感じない子供もいるため、一概に全ての子供たちに当てはまるわけではないが、親との関係が上手くいかない子供や親とのコミュニケーションが十分ではない子供に表れやすく、周囲からの孤立が顕著になることでネット依存が高まり、これらの行動に発展する可能性があるのだ。

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