第18話―隣国ベアトリス帝国
「という訳で、4月1日付けで我社はヤマトハウジングと業務提携をする事となりました。その業務提携に先駆け我社は不要部署の整理、人員の再人事を行うことにします。各部署の部長職の方は人事課から書類が送られますので目を通しておくように」
大智はあの戦いの後ヴァーレリーでの祝賀会に出席後、幸希と現世に一旦戻り、月曜日の午前中に行なわれた緊急社内会議に出席していた。
会社の業績は悪く無いのだが、やはり大手と手を組んで大きな仕事をする事により更なる飛躍を望む会社は少なくない。
大智の勤めるセイコウ住宅は地元では中堅の会社で社員数は200人。
大智はそこの企画設計課の企画部の部長である。
「桐原君。ちょっといいかね」
声を掛けてきたのは大智が若手の頃お世話になった山戸専務であった。
会議が終わり、夫々の部署に戻るタイミングで声を掛けてくるという定番的な声の掛け方だが、この人は現場から叩き上げで重役になったやり手で大智は世話になっていた事もあり唯一頭の上がらない上司だ。
「はい。何でしょう専務」
「うん。今度の人事でね北原君を課長に推薦していたよね。その件だけど」
「あ……難しかったでしょうか?」
山戸専務は少し難しい顔をして
「桐原君。すまんがヤマトハウジングの企画運営課に課長職で出向してもらえんかな?そして君の後釜に北原君を据えたいんだがどうだろうか?」
突然の移動に驚いたが、地方の中堅会社の部長が出向で大手の提携会社に出向するというのはあまり一般的ではないし、現在部長職の大智が課長職というのは所謂左遷の様な気がするが行き先が大手企業なので妥当なラインなのかも知れない。
「それは既に決定事項なのでしょうか?」
「いや、会社は一応本人の希望を……との事だが」
山戸専務はそう言うと会議室の扉から廊下に顔を出して辺りを見回し扉を閉めると声のトーンを少し下げて
「ここだけの話しだが、業務提携とは表向きで実際は子会社化するみたいなんだよ。そうなるとヤマト側から人員が配置されてくるし私もどうなるか分からん。君は今までの実績もあるし私の元部下で優秀だったからね。出向の話と北原君の昇進は私が社長にねじ込んだんだよ」
「ありがたいですけど……専務はそれでよかったんですか?」
「ああ、私はもう年寄りだ。本来なら後2年で定年だったしもしもの時は早期退職するつもりだが、君はまだ若いしまだまだこれからだろう?君の可愛がってる北原君も今からじゃないか。だから考えて見てもらえないだろうか?」
大智は少し考えたい旨を専務に伝えると早々の返事を期待しているとだけ言い残し専務は会議室を出て行った。
一人会議室に残った大智は突然の専務からの申し出に戸惑いを覚えた。
時計を見るとそろそろお昼時なので、自分の部署に戻り北原を誘ってランチに出かけた。
ランチは近場にあるいつもの定食屋で大智は日替わり定食を頼むが、北原は若さもあってトンカツ定食かから揚げ定食だ。
「桐原部長元気ないですね。何かあったんですか?」
「ん……いや考え事をしていてな。北原、君はこの先この会社でどうありたい?」
突然の大智からの質問に戸惑っていた北原だが
「いやー、さっき耳にしたんですがヤマトと業務提携するんですよね?
それってチャンスじゃないですか?自分はもっと大きな仕事をしてみたいですね。自分が何処までやれるかも試してみたいです。」
若さからの野心のようなその発言は大智の若い頃のように小さな仕事の積み重ねが将来自分の糧になるという昭和の根性論ではなく今時の若者の考え方であり、将来を見越している事が伺える。
「なるほどな。でもそろそろ30になるし先に身を固めないとな」
「あ……はい。実は今度合わせたい人が居まして……今度紹介します!」
「お!そっか。期待しているよ」
ランチも終わり、会社に戻った大智は結局色々と考えてしまって、その日は仕事も碌に手がつかず就業まで一人心の中で色々な事を考えた。
会社から帰宅すると幸希がハンバーグを作っていたので、お風呂に入りルームウェアに着替えると、不意に鏡に映る自分が目に入った。
「オッサンだな……」
鏡に映る自分は向こうの世界とは違い本来の自分で40歳のおじさんである。向こうでは20代の若者で居られるのだがこの本当の自分を見ると少し複雑な気分になる。
ダイニングには既に焼きあがったハンバーグに目玉焼きが乗りサラダと味噌汁、ライスが並べられており、幸希は既にテーブルについていて大智を見ると自分と大智のコップにビールを注いできた。
「お疲れ様」
「あ、お疲れ」
コップに注がれたビールを飲んで今日の会社での話しを全て話しているとそれを聞いた幸希は自分が思った事を語り出した。
「それって左遷みたいに聞こえるよね。実際は?」
「分からない。ただセイコウ自体は子会社になるみたいだからこの先も無くなる事は無いだろうけど」
その言葉の後二人は黙り込んでしまい沈黙が続いたがその沈黙を破ったのは幸希だった。
「あのさ、思うんだけど大智は多分そこに出向に行っても良い事はないような気がする。だからってそれを蹴ってしまえば会社からの風当たりが強くなりそうだし……今までずっと頑張ってきたんだし、そんなに悩む位ならいっその事見切っちゃえば?私達はあっちに行けるんだしお金の心配はあまりしなくて良いと思うよ?これは神様が与えてくれたチートなんだから」
大智も少しは同じような事を考えてはいたのだが、やはり本来の自分が積み上げて来た物を簡単に放棄するのは多少勇気がいる。だからと言って会社に言われるがまま出向しても一から出直しのようで正直気が滅入って来る。
「そうだな。ダメそうなら見切る方向で考えるよ」
「うん!ポジティブに行こう!」
その後二人で食器を片付けると早々にベッドに入った。
――エクムント
インフラ整備もほぼ整ってすっかり様変わりしたエクムントに辺境伯の助力もあり村から都市への昇格を認める通達が王都より届いていて、それを元村長の自宅で受け取ったのは、王女より叙爵された元村長のヤニク・エナン男爵とマルクス・エーベルト準男爵であった。
二人はこの度叙爵された事により貴族の仲間入りを果たしたのだが、他の貴族たちとは違い何かの集まり以外はいつもと変わらない格好をしており、名を名乗るまで爵位がある人にはみえないがエーベルト自体は有名なので既にヴァーレリーでは誰もが知っている。
それもあって、修道会の建物の件もエーベルトが王都と度重なる交渉をした結果、王国の負担で建設が決まった。しかし大智は自分たち用に建てられた物件を騎士修道会に譲り、その隣の空き地に拠点を建てる事にしたのだが王国が折角出した予算が台無しになってしまうため王女の決断により大智達の拠点の建設費用に当てられた。
新設された修道会の建物には既にジークとユーリが入居しており、団員も冒険者から志願してきた者や、兵士から移動してきた者で30人位になった。ヴァーレリーにも修道会騎士団の拠点が設置されているがこの建物は現在使用されていない元宿屋で辺境伯の持ち物ということもあり無償で提供されている。ジークとユーリは基本的にエクムントに常駐しているが他の団員はエクムントとヴァーレリーに分かれ夫々の管轄で任務に付いている。
大地達は辺境伯がエクムントに新しく出店する料理屋の試食会に参加していて、そこにはジークとユーリの他に大智が連れて来たナタリーと言う村娘のような女の子も居た。姿もあり調理場のコック達と話していた。
「ハンバーグ?ですか?」
「そう!ハンバーグ。レシピを教えるから作ってみる?」
「お願いします!」
幸希はレシピを紙に書き出して材料の調達を頼み他のメニューについても色々とアンを出していたのだが、この世界の肉料理は基本的に焼くか煮るかをして味をつけているだけなのでこった料理などは無いに等しい。
大智の提案でエクムントノ畜産業にコーチュンの養鶏が復活したので、もうじきここでもコーチュンの料理が食べられるようになり、その際には必ず
鶏の唐揚げを教えるつもりだ。
大体のメニューの試食が終わりジーク達と談笑している時に、ナタリーと言う村娘風の子が王都周辺の森に生息しているインベリコというモンスターの肉について大智に何か良い案がないか聞いてきた。
このインベリコの肉は王都の冒険者達が食料目的か肉として売買目的で狩って来るモンスターで討伐レベルはE以下の初心者でも大丈夫な低級モンスターなのだ。大智はこのインベリコについては全く分からないので少し困っていると、厨房のコックが
「インベリコですか?在庫あるんで出しましょうか?」
「ああ、じゃあちょっといいかな?」
数分後、大智と幸希の目の前にやってきたソテーにされたものを見て、思わず顔を見合わせた。
「まさか……これは!」
「ええ……多分大智が思ったとおりだと思うわ……」
大智はナイフで一口大に切りそのソテーされた肉を口に運んだ。
肉は口の中で溢れんばかりの濃厚な肉汁を垂らし、口に優しい岩塩と白胡椒が肉の旨味を引き立て黒胡椒のピリッとした香りが全てに終止符を打つ。
そう、豚肉だ。
現世にある豚肉とは比べ物にならないほど美味しい豚肉だった。
「うん。豚肉だね。でも濃厚で滅茶苦茶美味い!」
「んー。このお肉なら定番メニューの『トンカツ』かな?大智は?」
「トンカツ……広がるね!カツサンドとかも流行りそうだね」
気づくとお皿にあった肉が消えていて不思議に思ったがミネルバを見ると豆を口に溜め込んだリスのようになっていて、モグモグと動いていた。
「もー……ミネちゃん食いしん坊なんだから!」
それを見た他の人達も笑い出して、ミネルバは少し恥ずかしがっていたが口の動きは止まらなかった。
幸希がある程度のレシピを書き出してコックに渡した後ジーク達と一緒に修道会の十二神に礼拝する事となり其方に向かうと、この辺りでは見かけない純白のドレスを着た透き通る程麗しい美貌の女性が十二神の像の前で両足を地に着けて見上げる様な格好でお祈りを捧げており、その様子を大智達が静かに見守っていると礼拝の終わった女性がこちらに気づき、神妙な表情がパッと明るくなり駆け寄ってきた。
「ああ、やっとお会いできましたアテーナー様」
ミネルバはキョトンとしていて誰かわからない様子で怖がっているのか、繋いでいた大智の手をギュッと握り
「誰なのです?何故私を知っているなのです?」
するとその女性は一気に悲しげな顔になり漫画のように大粒の涙を流しながら
「ふぇぇぇぇん……覚えていらっしゃらないのですか?ミカです!私が小さいときに良く遊んでくれていたのに……」
それを聞いたミネルバは何かを思い出した様にハッとした顔になり
「ミカ!ミカなのです!大きくなったなのです!」
と、頭を撫でていたが構図的には跪いた大人の女性に頭を撫でている子供といった感じでミネルバの言葉とその構図の違和感があった。
ジークとユーリはその光景を不思議な目で凝視していて大智と幸希もその違和感から来る何とも言えない面持ちで見つめていたが、ナタリーは何故か目を輝かせていて、そのミカという女性に話しかけた。
「ミカさん……いえ、大天使ミカエル様ですね?どうしてここに?」
ミネルバと手を取り合い再会の喜びに満ち溢れた表情のままナタリーの顔を見ると
「よくお気づきになりましたね。私は大天使ミカエルです。私は本来隣国のベアトリス帝国で悪魔祓いとして祀られていますが、数日前からこの方角に強い神力を感じて気になったので来てみるとこれほど素晴らしい主様の御神体がありましたのでご挨拶をさせていただいておりました」
大天使ミカエルと名乗ったミカという女性は天界で幼少期にミネルバ(女神アテーナー)に良く遊んでもらい可愛がってもらっていたらしく、今回感じた神力にうっすらとミネルバの気配を感じて、居ても立っても居られなくなり、飛んできたらしい。
実際来てみると神力が詰まった十二神像を目の当たりにして感謝の礼拝を行なっていたが突然ミネルバが現れた事に感激したのだった。
「ところで貴方はどうして変装なさっているのですか?私は大天使の力で本来の姿は見えているのですが、何か不都合でも?」
「私はこのように変装をしないと自由に外を出歩く事が出来ないのです。
どうかこの事は後内密にしていただけるとありがたいのですが……」
そのミカエルとナタリーのやり取りを見たジークだがユーリと顔を合わせるとなんとなく正体がわかったらしく
「あの……なぜ護衛の騎士も付けずにお一人でこのような所まで……無防備すぎます!」
大智がジークとユーリに事情を説明して変装も連れ出したのも本人の意思で、
自分達が守っているので心配は無いと話すと
「これは失礼しました。では、派手な護衛はやめておきます。ですが立場上程々にお願いします」
「わかった。私に対する話し方で気づかれる事もあるから今後は普通に話してね!分かった?ジークちゃんユーリちゃん」
「は……はい」
このナタリーは大智の変装で王城から抜け出して遊びに来ている王女ナターリエで、ミカが大天使ミカエルだと気づいたのは以前ベアトリス帝国の皇族の晩餐会に隣国の王族として招待されておりその時に案内された聖堂で大天使ミカエルの肖像画を見ておりその美しい姿が印象的であったからである。
しかしベアトリス帝国との国交は現在ほとんど無くその理由は分かっていないが両国は商人や冒険者などが行き来する事に制限はない。
「もしよろしければ今からベアトリスに遊びに来ませんか?お見せしたい物も有りますし!」
「ベアトリスか……行って見たいな」
大天使ミカエルの提案でベアトリス帝国に急遽遊びに行く事になったが、ジーク達はここでの仕事もあるのでジークがエクムントに残りナタリーの護衛としてユーリが同行する事になった。
ベアトリスの帝都にある大聖堂にミカエルの転移魔法で到着した一行は早速街中を散策する事にしたがミカエルは大司教にミネルバを会わせたいらしく散策は4人で行く事となった。
ベアトリス帝国は元々エルフ領だった事もあり皇族はほぼ全員がハイエルフというエルフ族でも上位種で、皇帝は2500歳と長寿である。
ベアトリス帝都の町並みはヴァイトリングとは違い高層の建物も多数立ち並んでいるが自然を大切にしているせいか街中に木々が並び木造建築も多く、街中の様々な所に花が咲いていて小さな妖精が多数飛び交っている花畑に都市があるかのようだった。
繁華街も例外ではなく建物の装飾は生花が使われており一見何のお店か分からないところも有って繁華街全体が花の良い香りがする。商店街や居住区にいたっては人が多く活気があり毎日がお祭りのような人出で商人や貴族の馬車が道の中央辺りを行き交いしている。
種族も様々でエルフ族が最も多く、人間族、獣人族、ドワーフ族などが共存しておりみんな生き生きと活動しているが中には奴隷の様な鉄の首輪で繋がれた人も居る。これはこの帝国の法政策の1つで犯罪歴のない者については居住権を獲得する事が出来るが、一度でも罪を犯してしまうと奴隷落ちしてしまう。
その亜人の奴隷は街のあちこちで見る事があり見ている分には不愉快な扱いを受けているが法の観点で言うと仕方がなく犯罪者奴隷制度自体に期間が設けられていて、長くて3年程度らしく奴隷解放後に再び罪を犯した場合は再度奴隷落ちし、何度も奴隷落ちを繰り返したり凶悪な犯罪を犯した場合は死罪が確定する。そしてこの制度はすべての種族に適用される。
「綺麗な街並みね。ユーリちゃん何かお買い物でもする?」
「いいんですか?さっきからあそこにある魔道具屋さんが気になってて!」
ユーリが指を刺した先にこの町並みに似合わない怪しげなお店がある。帝都では有名店のようだが、その魔道具屋は面構えから怪しく、何故かお店の装飾には紫色の刺々しい花が飾り付けてあり、片隅には人骨を模した魔女の姿の人形が置いてある。
気持ちが悪くなりそうでは有ったが、店内に入ると思ったより広く少し薄暗いがすっきりしていて現世で言うコンビニのような陳列方法なのだが綺麗に商品が並んでいて外の飾りつけからのギャップが逆に好感度を生み出している。
陳列された商品を興味深く見ていたユーリとナタリーは
「見た事も無い魔道具がありますね!これはお土産を買わねば!」
「ユーリこの魔道具欲しい!あっ、これも!」
などと修学旅行の女子生徒が旅行先のお土産屋さんで何かを物色しているような雰囲気で楽しそうだ。
大智と幸希が店内の商品を見て回っていると店主の女の子が声を掛けてきた。
その店主は獣人の犬人族といわれる種族で背丈は130センチくらいで低く頭に犬のような垂れ耳があり毛色は栗毛で顔は幼いが可愛らしくダークグリーンのロングローブの後ろからフサフサな尻尾が生えている。
「何かお探しですか?」
「いや、俺たちは隣国から遊びに来ていて、そこの二人の付き添いできているんだ。でも、色んな物があって見ているだけでも楽しいね」
「ありがとうございます!隣国というと……ヴァイトリングですか?そういえばつい先日もヴァイトリングから来たお客さんがこの魔力増幅石を大量にお買い上げされて行きましたよ」
店主が見せてきたその石は手のひらにちょうど良く乗るサイズで深い赤紫色にうっすらと光っていて魔力を注ぎこむと放出時に3倍になるそうだ。
「そうなんだね。お土産でみんなに配る為かな?」
「さあ?でもウチの在庫分全てでしたので結構な売り上げでした!」
それを聞いていたユーリが突然此方に近づいてきて店主に
「それはいつ頃?どんな感じの人だった?」
と捲くし立てるように聞いた。
「ええと、確か……フードを深く被っていましたが女性で、ローブ姿だったので魔法職の方だと思うのですが……、あ、そういえばウチは冒険者カードを提示したら1割引なのですがその時見たカードの名前はアレ……ク?」
「アレクシス?ランクは?」
「ああ、そうです!アレクシスさん!ランクは見せてもらえませんでしたが
間違いないです」
ユーリは何か考え込むようにして、立ちすくんでいたが何かを思い立ったかのように続けて店主に
「それ以外は何か買った?」
「後は……魔力分散魔法陣の巻物と転移魔具をいくつか購入して総額で2億ジールほど買われて行きました」
ユーリはそれを聞くとまた考え込んだ後、大聖堂に戻って話したい事があるらしく草々に買うものの代金を支払って店を後にした。
大聖堂に戻ると、ミネルバとミカエルは雑談をしながら紅茶を頂いており大智達の姿を見るとミネルバが駆け寄ってきて大智に飛びつくように抱きついてきた。
「おそかったなのです!寂しかったなのです!」
「ごめんね。散策が楽しくてつい……」
抱きついたミネルバの頭を摩りながらユーリに
「で、話したいこととは?」
「先日のワイバーンの強襲についてなのですが。大体の犯人の目星が付いたので……」
言いにくそうにしているユーリに大智は察して
「知り合いなのか?」
「えっと……、士官学校時代の同期で素行の悪さから退学したのですが現在冒険者になってて……。名前はアレクシス・クラッセンと言います。冒険者ランクはSランクで私を除けば魔術士界ではトップですね。そして彼女は暗黒系の魔道士で黒魔術士です」
それからユーリはイザベラに聞いた情報なども全て話し、今後の対応についてジークと密に相談中で有った事や確信がなかったので好評していなかった事を話した。
「じゃあ、一旦戻ってイザベラに会わせて貰えるかな?」
「分かりました。イザベラはエクムントに滞在中ですのですぐに」
大智達はミカエルに日を改めて遊びに来ることを告げて転移魔法でエクムントの聖堂に戻った。
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