第5話 子供から大人へ

 鎌倉武者は、たいてい、数え13歳で成人します。それまでは、「わらわ」です。


 童のときは、髪は長く伸ばして、首の後ろあたりで結んでいます。男の子も女の子も、おんなじ感じです。


 名前も「幼名」や「童名」といって、子供のときだけに使う名前です。




 十三歳になると、元服げんぷく式(=成人式)をやります。髪を結い上げて、烏帽子をかぶり、いみな(=大人の名前)を頂きます。それで、一人前の成人男性です。



 髪は「もとどり」といって、頭の後ろで結んで、まげを作ります。その上から、烏帽子えぼしを被るのです。この時代の普通の成人男性は、烏帽子を被っています。被ってないと、一般人として、ちょっと恥ずかしい、みたいな。


 女子の場合は、髪形はそのままですが、「しびら」という、腰布を巻きます。



 景義の幼名は、不明です。(作中では、通称を使って「平太丸」)

 頼朝の幼名は、「鬼武丸おにむしゃまる」。う~む、強そう!


 子供の名前は、「○○丸」と、名前の最後を「丸」で結びます。この「丸」には、子供を霊的に守護するための結界の意味があるのだとか。(子供が命を落としやすい時代でした)



 作中の葛羅かずら丸は大人ですが、「丸」のついた名前です。下層の人は、元服せず、名前も子供のままの人もいたようです。葛羅丸は、下層民出身という設定です。

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