第4話 『筋肉痛を和らげる幻覚』

筋肉が世界を救う。地上最強のマッチョマンによるファンタジーワールド無双!!魔王を倒して姫様を救い出せ!!




著者:ピラフドリア




第4話

『筋肉痛を和らげる幻覚』





 俺は襲ってきたライマキをパンチ一発で倒した。




 瞬殺だ。ライマキはやられた後も訳のわからない言動を続けていたが、もう無視することにした。




 俺が先に進むと、ダンジョンを出た。




 そこは花畑だ。そしてその花畑の真ん中に人影があった。俺はそれに近づく。




「む、わしになんのようじゃ?」




 それはお爺ちゃんだった。お爺ちゃんは花畑で白いワンピースを着て花を摘んでいた。




「人影が見えたので……ここはどこですか?」




 俺はお爺ちゃんに現在地を聞いてみる。するとお爺ちゃんの口から猫が出てきた。そして猫が喋り出す。




「ここはハンサム王国のブサイキュダンジョンですにゃ」




 情報量が多すぎる。そしてハンサムなのかブサイキュなのか、どっちかにしてほしい。




 とりあえずここに人間? ぽい生命体がいることはわかった。文明があるのなら、仕事を見つけて生活することができる。




 初めての転職が異界の地で行うことになるなんて、少し前までは想像していなかっただろう。




 俺は猫のお爺ちゃんにお礼を言うとそこから離れようとする。しかし、




「ぐっは!?」



 突然お爺ちゃんと猫が弓で射られた。矢の刺さった一人と一匹はその場で倒れる。




 俺が矢の飛んできた方向を見ると、そこには少女がいた。弓も持っている。矢を発射したのはこの少女で間違いないだろう。




 少女は俺に大声で伝える。




「早く!! そこは危険よ!!」




 その声を聞いた途端、俺の視界に違和感が起こる。さっきまで花畑にいたはずなのにダンジョンに戻ってきている。

 そしてお爺ちゃんがいた場所には、ライマキが弓で撃たれていた。




「お、おのれぇ……」




 ライマキのライオンと蛇が弓で射られている。おっさんが悔しそうに言うと、俺に襲いかかってきた。




 俺はファイティングポーズをとるが、それよりも早く少女の弓がライマキを射抜いた。

 ライマキは倒れる。




「何が起こってたんだ?」




 そんな俺に少女が近づいてくる。




「あなたはこのモンスターに幻覚を見させられていたのよ」




「幻覚?」




 俺の筋肉がそんなものを見るはずがないと思ったが、少女の真剣な表情で素直に受け入れることにした。




「あなたがライマキを殴る前に毒ガスを浴びさせられたの。それによる効果ね」




 まぁ、なぜか分からないが幻覚も解除されたらしい。やはり俺の筋肉は最強ということだ。




「それで君は?」




「私はリーフ。騎士よ」








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