第3話 ハンバーガー

大濠公園にやって来た。

近所にある大きな湖のある公園だ。

その場所に.....俺とパソコンゲームのニックネーム、トーマこと美鈴と一緒に居る。


美鈴は.....どれだけ人が少なくてもアザと髪の毛のせいかビクビクしていた。

フードを深く被って人に見られない様にしながら俺の背後を付き纏う。

俺はその姿を見ながら、美鈴。空を見てごらん、と提案する。

美鈴は?を浮かべて空を見上げた。


「空?」


「俺な。何時も訳が分からなくなったら空を見るんだ。.....まあ色々と風変わりして小説の様だから」


「そら.....そんな気持ちで見てみるのは初めてかも」


「.....そうだな。俺は好きだ。何で好きかって言われたらやっぱさっきの理由なんだよな」


「ふふっ。詩人みたい」


「そうだな。詩人かもしれないな。大昔は青空とかしか無かったしな。見るものはきっと」


そうだね、と言いながら美鈴は少しだけ笑みを浮かべる。

それから俺の袖を引っ張る。

俺はその姿を見ながら美鈴をベンチに誘った。

そして腰掛ける。

美鈴。スマホは持っているか、と聞いてみた。


「うん。持ってる。直ぐに遊べる様に」


「そうか。じゃあ遊ぼうか」


「狩に行く?」


「.....だな。狩に行くか」


「そ、それじゃメタル洞窟.....行こうか」


「そうだね」


それから俺達はメタル洞窟まで向かう。

そしてメタル洞窟の入り口に立った時だった。

美鈴が俺を見てからスマホの画面を見る。

この空も何か意味があるのかな、と言いながら。

俺は、そうだな。意味はきっとあるさ。今の空を見てから作られたんだからな、と言葉を発した。


「ふふっ。そうだね。いっぱい.....いっぱいドラマがあるよね」


「きっとそれはあるさ」


「.....君は本当に不思議な人。春樹は。そんな思いで空を見てなかった。暗かった。でも春樹は違う見方を教えてくれた。.....君は本当に不思議」


「俺は提案しただけさ。何もしてない。ただそういう見方もあるってだけの話」


「だね」


えへへ、と言いながら美鈴はスマホの画面をタップする。

俺はその姿を見ながら心からホッとした。

この顔を見る事が何だか安心に繋がっていく。

そんな思いで、であるが。

考えながら俺は、もっと笑わせたいな、何かしてあげたいな、と思う。


「じゃあ早速.....メタルマシン(経験値アップが大きい敵)を倒そう。春樹」


「そうだな。んじゃヒール宜しく」


「バックアップは任せ.....うん。任せて!」


「んん。何故言い換えた」


「良いじゃない」


アハハ、と俺達は笑い合った。

それからヒールを攻撃を。

そんな感じでクリアをしていく。

経験値も大幅アップそしてお金もザックザク。

そんな感じで.....進んで行った。



気付けば2時間も立っていた。

周りは昼頃の感じになっている。

俺は美鈴を見る。

美鈴は疲れた感じを見せていた。

どうやらこういうのは立て続けにすると疲れるらしい。


「.....美鈴。休憩も兼ねて何か食べるか」


「何かって何を?.....その。私は.....」


「うん。知ってる。だから俺が買ってくるよ。ハンバーガーとか食べれるか?」


「う、うん!それは食べれる。好物」


「そうか」


俺は100メートル先ら辺にあるハンバーガーショップの出店を見る。

そして、一緒に行くか?それとも買って来た方が良いか?、と尋ねる。

すると美鈴は、じゃ。じゃあお願いします。その。トマト抜きで.....、と注文してきた。

俺は、了解、と言いながら駆け出してそのまま買ってくる。



「ね、ねえ。春樹」


「はいよ。何でしょうか」


「私ね。今度転校してこの近くの高校に来るの」


「.....え?そうなのか」


「う、うん。でも行けないけどね。誰も.....知り合いが居ないから」


そうなんだな、と思いながらその顔を見る。

寂しそうな顔をしていた。

だけど恐怖に怯えた顔もしている。


俺はそんな顔に、大丈夫さ、と俺は話す。

美鈴は顔をゆっくり上げた。

それから?を浮かべる。


「お前とはパソコンで繋がってい.....あ。そうだ。アドレス交換しようぜ」


「あ。そうだね.....それは確かにしたい」


「じゃあ交換だな。メッセージを何時でもくれよ」


これならチャットだけじゃなくて声も聞こえるしな。

考えながら電話番号とかアドレス交換した。

すると美鈴は少しだけぼーっとしながらスマホの画面を見ている。

俺は首を傾げながら、美鈴。どうした、と聞くと。


「うん。嬉しくて。友達のメルアド。凄く嬉しい」


「そこまで喜ぶ事か?恥ずかしいな.....」


「私は次元が超えるぐらい嬉しい」


「.....そうか」


俺にとっちゃ母親との通信で.....いや。

まあ俺の場合だけどどうでも良い。

だけど俺も確かに嬉しい。

友人のメルアドとかこうして得られるとは思わなかったしな。

すると美鈴は少しだけ苦笑する。


「わ、私は.....男の人が苦手だったから.....貴方は違うから」


「どういう意味だ?」


「エッチで変な人多いから」


「.....ああまあそれは.....うん」


「だから春樹は違うから。何でも話せる」


何でも話せる、か。

エッチな人か.....。

まあ俺も思春期なのでそれはちょっと考える部分がある。

つまり安心は出来ないな。

だけどそういう真似はしない。

絶対に。


「春樹と一緒に居ると心が安らぐ。.....一緒の高校だったら嬉しかった」


「.....因みに何処の高校だ?」


「県立長門学校」


「え?マジで?俺そこの学生なんだけど.....」


ふぇ?、と言いながら目をパチクリする美鈴。

それから目を輝かせて俺を見てきた。

それっ本当に?、的な感じで。

驚愕なんだが。


「凄い偶然.....う、嬉しい。ハッピー」


「一緒に行けるな。学校に」


「ゆ、友人と一緒に.....学校。た、楽しいかも」


「そうだな。でも無理はすんなよ。学校なんざ無理していく場所じゃ無いから」


「優しいね。春樹」


「俺はこんなんさ。君のお陰でな」


不思議な縁もあるもんだな。

でも本当に嬉しい。

俺は考えながら笑みを浮かべた。

美鈴も笑みを浮かべる。

今日は有難う、と言ってきた。


「.....気にすんな。まだ時間あるか?」


「ある。いっぱいある」


「じゃあ無理せずに楽しもう。な?」


「.....うん」


そして俺達はまた狩に出た。

今日の日は。

多分俺は永遠に忘れないだろうな。

そう考えながら。

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