第2話 病気を持っているの
顔の右の方に大きな青あざがあり。
銀髪の髪の毛をしている女の子。
身長は俺よりもかなり低く、だけどそれでいてとても可愛らしい。
俺はそんな少女と一緒に人気の無いカフェにやって来た。
人が苦手な様だ。
これもユーマに配慮してみたのだが.....ユーマはそれでも人を見てはビクビクしている。
俺はその姿に胸が痛くなる。
何故かといえば.....痛い程に良く分かるからだろうな。
同じ状況に近いし。
俺も人の顔色を見てはビクビクした事があった。
「ユーマ。君の本名って何ていうの」
「わた.....私は.....鍵山美鈴(かぎやまみすず).....って言います.....」
「そうなんだね。.....改めて。俺はハークこと伊藤春樹です。宜しく.....」
「.....」
「.....」
自己紹介したがかなり空間が空いてしまう。
長いまつ毛に大きな吸い込まれそうな美しい瞳。
それでいてとても柔和な顔。
俺はその少女というか友人というか何だか.....その。
辺な感じだが.....赤面してしまう。
どうしたものか。
「.....ね、ねえ。ハーク」
「ん?」
「顔のシミの事は何も聞かないの」
「それでどうなるんだ。聞いた方が良いのか?人には嫌な事もあるだろうから」
「.....!」
そんな人には会った事が無い。
その様な顔をするユーマ。
俺は衝撃を受けながらも目線を横にずらす。
嫌な気持ちを.....ずっとしてきた。
そんな感じの顔をしている。
彼女が、だ。
「.....銀髪の事は」
「それも聞いてどうなる?だけど可愛らしいよ君のその銀髪。チャームポイントに近いけど.....」
「そんな事初めて言われた。バケモノ扱いだった。ずっと」
「.....」
「このアザと銀髪で腫れ物みたいな扱い.....だったから」
ユーマは涙を浮かべる。
そんな言葉に俺は眉を顰めてそのまま見つめる。
そして見ていると、こんな醜い姿を晒したくは無かったけど。と。友達が欲しかった、と俺を見てくる。
俺はそんな言葉に、そうか。じゃあ改めてリアルでも友達になろうか、 と俺は手を差し伸ばす。
するとユーマはその手をおずおずしながらも静かに握ってきた。
小さな折れてしまいそうな細い儚い手。
俺はその手をしっかり握った。
「何でハークはこの.....アザに何も言わないの」
「アザが気になるのか。俺は.....君のそのアザも個性だと思って受けて止めてる」
「銀髪は」
「銀髪も個性だよ。君の.....こんな言い方はよく無いかもしれないけど大切な君の一部だからね」
また涙を浮かべたユーマ。
それからポロポロと涙をこぼし始める。
俺はその涙に対してのティッシュとハンカチを用意してあげた。
何もしてないんだけどな俺。
ただ純粋に.....可愛いと思った。
全てが、だ。
「す、スタージ・ウェーバー」
「え?」
「君になら言っても良いかな。この顔のアザはそういった病名の難病なの。皮膚の」
「.....!」
「それから髪の毛は.....色素の異常だって言われた。す、スタージ・ウェーバーに関連するかも知れないって言われているけど.....でもよく分からないけど.....」
「苦労してきたんだな。君も」
君もって事は貴方も?、と俺を見てくるユーマ。
俺はその言葉に小学校時代を思い出す。
が.....吐き気がしてそしてそのまま口元に手を添える。
馬鹿か!情けない!、と思っているとユーマが駆け寄って来た。
だ、大丈夫!?、と言いながら。
「.....思い出さなくて良いから.....う、うん」
「御免な。俺の過去が呪われ過ぎているせいで.....」
「私も.....過去は最悪。だけど貴方に出会って変わったから」
「そうなんだな」
うん。み。水飲んで、と水を勧めてくるユーマに対して俺は頷きながらそのまま水を受け取る。
それから一気飲みした。
そしてむせてしまってからだったが。
落ち着いてきた。
俺はユーマに頭を下げる。
「すまない」
「な、何で謝るの」
「俺は君を全力で励まそうと今日来た。なのにこんなザマだからな。情けなくなった」
「そ、そんな事言わないで。わ、私は.....貴方がとても大切だから」
友達が居ない私にとっては貴方は最後の希望だから。
と言いながら俺に涙を浮かべるユーマ。
俺はその顔を見ながら唇を噛む。
本当に情けない、と思いながらだが。
「私は君に出会ってから世界が変わった。こういう世界もあるんだって知ったの」
「俺も君に出会って世界が変わったんだ。.....だから励まそうとしたのにな」
「.....お、お互いに励まし合って進もう。これはクエストと同じ」
「そうだな。確かにな」
ニコニコするユーマ。
俺はその姿に笑みが自然と溢れた。
それから、ユーマ。君は美鈴って呼んで良いかい、と聞いてみる。
すると美鈴は、じゃ。じゃあ私は貴方を春樹って呼びたい、と向いてくる。
頑張るから。駄目?、と付け加えながら。
めっちゃ可愛いんだけど。
「い、良いよそれで。その。もし良かったら小首を傾げないで。とても可愛いから」
「.....?.....え!?か、可愛いって.....」
「友人としては可愛いよ。君は」
「そうだね。あ、有難う」
じゃ。じゃあ次何処に行こうか、と美鈴は笑顔を浮かべながらも。
少しだけ不安そうな顔をして俺を見てくる。
その。もし良かったら人が居ないところが、と言いながら。
俺は顎に手を添える。
「じゃあ.....そうだな。近所の大濠公園とかに行くか。ゲームするならそれでも出来るしな」
「.....そ、そうだね」
「.....」
本当はネットカフェとか予約したいんだけど。
金も無いしな。
考えながら俺は苦笑する。
そして大濠公園に取り敢えず向かう事にした。
コーヒーを嗜んで、だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます