第9話 真菅怒られる
香良洲と店内で話していると――。
カランカラン……。
またドアの開く音が聞こえた。ホント今日はお店に来る人が多い。これちょっとおかしくないか?それとも今までが少なすぎた?実はこれが普通……いや、親に教えられている時もこんなに――まあ無いこともなかった気がするが……でも多い気がする。などなど俺が思っていると――店員の声が聞こえてきた。
「いらっしゃいませー……あっ」
「……馴染んでるなー。早くも」
――うん。これー俺より香良洲がこのお店した方がいいというか。何か既に身についたというか。本人も「言っちゃった!?」って感じで今申し訳なさそうに俺の方を見ているが――馴れというか……なんて言うんだっけ?染みついた?この短時間で忙しすぎて「いらっしゃいませ」が口癖になり。ドアが開いたら自然に言う。みたいになったのかもしれない――まあいいか。だがね。っかお客も1回しか来ないんだし。最期くらいなんかわからん男より。女の人それに香良洲。普通に綺麗だからな。うん。そういう定員が居てもいいのではないだろうか。
結論。俺いらないな。
「すみません。何か自然と言っちゃいました」
俺が余計なことを考えていると、香良洲が慌ててそんなことを言ってきたが――うん。俺の中ではグッドである。とも思っていたので。
「気にするな。俺が楽できる。どんどん活躍してくれ」
「楽って――いいんですか?それで――」
「良いんだよ。ほらほら注文聞いてこい」
「あ。はい」
俺は香良洲にそう言いながらゆっくり厨房へと戻った――って、今やって来たお客さんを見ると――今日のお客さんの中では若いに入る人だった。
やって来たのは50代くらいだろうか?まあ俺よりは年上で、でもおじいちゃんではなく。まだまだ働き盛り?という感じの男性だ。30代40代だったらすみませんだな。俺は50くらいに見えたから。うん。とりあえず若めの男性登場である。
「えっ、いらっしゃいませ。ご注文は――」
「おっ。あー」
席へと座った若めの男性は香良洲を見て――まあ固まるというか、見惚れるわな。俺はまあ特にだったが。普通なら香良洲はきれいな女性。美人になるだろうし。例え彷徨っている人でも――って人と言っていいのだろうか?うーん。そういうのはあまり気にしてなかったからな。まあ人でいいだろう。見た目人だし。まあとりあえず、若めの男性は少し香良洲を見てから――。
「じゃ……異世界にあるスタミナ丼で――」
なんか言い出したよ。俺の方にも若めの男性の声が聞こえてきたのだが――。
「えっと。もう一度いいですか?」
さすがに香良洲も聞き直していた。すると若めの男性は再度「異世界にあるスタミナ丼」と言ったのだった。
いや、まあ今日の男性客の一部には、何故か異世界料理を好む人が多かったが――またである。ってか。今度はどんな食材が出てくる?よ俺が思いつつ冷蔵庫などを開けてみると――。
「……」
バタン。
一度確認のち閉めてから――再度開けたが同じものが入っていた。
「なんだこれ――」
俺が食材を見ながらつぶやいた。すると。香良洲の声が聞こえてきた。
「真菅さん。異世界にあるスタミナ丼だそうです」
「——ああ」
「真菅さん?」
「いや、大丈夫だ。何とかなるだろうし」
香良洲が不思議そうな顔をしてからおしぼりや水を持って若めの男性のところへと向かい――その後香良洲が話し相手に掴まっていたので俺はその間に食材を再度確認して――いや、今俺の目の前にある物がね。何と言えばいいのだろうか。ちょっとだけ触れると――今までに経験したことのない触り心地の――肉?謎な肉と――虫っぽいの……あれだ昆虫食?だな。多分大きさが異常な気がするが――もう少し小さいもの爪くらいのサイズだと思っていたのだが――どう見ても手のひら以上の大きさのものが……あと――他にも見たことないものが多数。にしてもこの謎な肉は何の肉なのだろうか……見た目は普通の肉っぽいが――ビックリするぐらい硬い。と思ったら場所によってはぷにぷに――いやいやわからんよ。なんだよこれ。
まあ今俺がはっきり言えることは――こういうのは苦手な人が居る。多分だが若めの男性と話している香良洲は――無理な気がする。多分だがね。意外といける側の人間かもしれないが――今はわからん。にしても――これでね。作るのか――という食材オンパレードだった。この若めの男性何というものを。異世界の物にしてももう少し現実よりの物――注文してくれよ。あるんじゃないの?ないのか?異世界に行くと謎なものとか巨大なものが普通なのだろうか――うーん。わからん。ってそろそろ何か作るか。えっと――丼か。まあ異世界と聞くと何か丸焼きのイメージが俺にあるから――いや、なんか手の込んだものを作っているところもある気がするが――大雑把にドン!ってイメージがね。丼だけに――って何を俺は無駄なことを言っているのか。さあ頑張ろうである。
ちなみにこのしばらくあと、香良洲がこういうのがダメということがわかった。
「なっ――なんですかそれ!?」
若めの男性の相手が終わったのか。ちょっと疲れ気味に俺のところへと戻って来た香良洲。俺の周りにある食材を見て悲鳴を上げていたのだった。ちなみに若めの男性も覗いてきていたが――「すごいなここ。こんなリアルに食材あるのか」などとなんか言っていたので――どうやらこの料理。男性の頭の中にあった物がそのまま出てきたらしい。何というものを想像したんだよ。である。
ちなみに調理の事を言うと――超大変。
ダンダンダン。
ブニブニブニ。
ポヨンポヨン。
「……謎すぎる」
とりあえず切ろうとして見ても――まず謎な肉に関して言うと、全く刃が入らないところもあれば、羊羹?だろうか。それのもう少し柔らかいものを切っているような場所もあって。中には切ったら切ったところが戻る。くっつくという謎な部位もあり――超大変。
何とか切った後、とりあえず焼いてみると――突然燃えて無くなる部位もあれば。何故か全く焼いても焼いても変わらないところもある。ともう謎。マジで異世界の物というか――異世界でもこんなものあるのか?というものだった。
あと大きな昆虫食というのは、包丁で突っついてみたら粉になった。
つん――バサッ。
だった。
「……」
さすがに固まるよ。わからないから突っついてみたら粉になるとか。まあ粉になったのならまあ何でも使えるだろうということで、皿に移動させたけどさ。もう謎すぎる。
ちなみに香良洲ははじめこそ見ていたが――。
「……私。お客さんと話してきます」
「それが正解かと思う」
「真菅さんすごいですね」
「だろ?」
「私は絶対無理です。触るのも無理です」
そんなことを言い若めの男性のところで雑談を開始していた。ちなみに若めの男性も香良洲が来たことで嬉しかったのか。俺の手元などを見ていたがそれをやめて――ホント普通に世間話を2人でしていた。
ちなみにあまりお客さんの事を聞く機会がないのだが――どうやらこの若めの男性は普通の会社勤めをしつつ。家では自分の好きな異世界の物語を書くのが趣味らしく。香良洲に物語を――だったが。今はタブレットなどを持ってなかったと。笑いながら香良洲と話していた。
――どうやらここに来るお客は――自分はまだ帰ると思っているのか。自分の立場はわかってないのかもしれない。ホント休憩。昼休みとかで来たという感じで香良洲と若めの男性は話していたのだった。
まあそんな光景をチラチラと俺は見つつも、何とか料理を作った「異世界スタミナ丼」は――まあ米っぽいものの上に、大変苦労して焼いた肉にスタミナが付きそうな昆虫食?の粉。量はお好みで追加できるように全部触ったら粉になったので別の皿にのせて出すことにした。あと、棚とか冷蔵庫にあった――はじめて見る謎なものも食べれそうな雰囲気があったので飾りつけのように――まあ乗せまして。って、まあわからない食材ばかりだったから、あったものをいろいろ乗せまして――最後に普通に冷蔵庫の隅っこにあったチーズをたっぷりかけて、バーナーで炙っておいた。
チーズは――異世界でも普通にあるのかな?それとも若めの男性の好物だろうか?まああったので乗せて焦がして見たである。
味は――だがね。調味料関係は普通にあった物を。そして無難なものを選んで使ってみたので――ぱっと見は――何だろうな?この料理。とんてき?とか言うのかな?香りはね。いい感じなんだよ。ご飯が進みそうな香りがしているのだが――中身がね。俺は何とも言えん。などと思いつつ。
「お待たせしました。異世界にあるスタミナ丼です。こちらの粉はお好みで追加してください」
「おお。すげぇー。町でこんなもの食べれるぁー」
男性はそう言いながら俺が作ったどんぶりを眺めている。そして箸をまず手に取って――謎な肉からいった。
ちなみに香良洲も「食べて大丈夫なの?」という感じで若めの男性を見ていた。
結果は――と言うと。
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