第8話 店長は真菅
「
香良洲が俺を――って、そうそう、
「なんだ?香良洲。ってか。超バタバタで悪いな。普段こんなことは無いんだが――店員が増えたからか?意味わからんくらい人来たな……うん」
いやー、思い出しただけでも恐ろしいというか。こんなの毎日だと俺が本当にお客になるよ。まあお客になったら解放!かもしれないのだが――いや、でも本当に先ほどまでは――恐ろしかった。ちゃんと金をとっていれば――なかなかの売り上げになったのではないだろうか……ちなみに1円もお金は動いていない。
「いや、私は話していただけですから――いや違います。なんかめっちゃ作った気がします」
「うんうん。香良洲記憶はちゃんとしているみたいだな」
「何でおばあちゃんみたいな扱い何ですか」
「いや、この店年齢層高いからな」
「あっ。そうですよ。かこのお店めっちゃ年齢層高いですね」
「まあ、自然というか。何というか。まあ多いな」
「にしても。変わったお客さんばかりですね。お店自体も変わってますが。って本当にお代取ってないんですね。お金一度も見ませんでしたよ」
確認完了。香良洲もお金を見ていない。つまり本当にこの店はお金が必要ないという事である。だから香良洲よ。香良洲もわざわざ手伝う必要なかったんだぞ?である。
「だから言っただろ?ってかな。変わった店とは俺も思ってるよ」
「—―?ここって真菅さんのお店ですよね?」
不思議そうに香良洲が聞いてくる。
「親がはじめただな。俺は――単なる落ちこぼれさ。って、親も消えたから。今は俺の店か。うん。そうなってしまうのか」
「—―消えた?」
香良洲が再度不思議そうにして首を傾げた。
「—―香良洲。お客さんと話していて気が付いた事あるんじゃないか?」
俺が聞いてみると香良洲はちょっと表情を曇らせて――。
「まあ、たまに明るい人とか――ちょっとっていう人もいましたが――基本ここって、普通の人は来ないと言いますか。話していて思ったんですが。みんな口を揃えたかのように最期と、終わりの方の意味で言っているように聞こえましたし。はじめ、おじいちゃんおばあちゃんならそこそこ年齢が――とかでそんな話をしているんだと思いましたが……途中で来た中年?の方もでしたから……」
「まあ、次は異世界で活躍したいとか。もうなんか次の事言っていた人もいたな」
そうそう、今日は異世界料理ってのか。あまりこっちでは――っていうのあったんだよな。まあ今までも無くはなかったが。まあ香良洲があたりというか。今日は人が多かったのももちろんあるが――いろいろな人いたからな。
「ここって――死んじゃった人が最期に立ち寄っている。ちょっと彷徨って来ちゃった?みたいな事なんですか?真菅さんも見送る際に――「もう来るなよ」って言っていたので」
「途中で忙しくなってからはそんなの言ってる余裕ねえよ!だったけどな」
「確かに――それにお店の名前も、はじめなんでこんな名前なのかな?と思っていたんですが。今は、あー、あの世に行く前の心残りというか。ちょっと彷徨っている人がふらりと来て、食べて帰って行く――というより。次の旅に出る寄り道というか……」
「おー、まあ答えは俺も知らないんだがな。でも俺が数週間くらいで気が付いたことを1日で気が付くとか――すごいな。ここ継げるかもな」
「ってか――その流れだと。やつぱり私って――死んでます?」
「……」
なるべく明るく。普通に俺は話していたのだが――うん。まあそうなるんだよな。ってか。さらっと本人が聞いてくれてまあ助かったと言えば助かったのか。
もちろんこのお店にしばらくいる俺は――そうだろうと思っていたというか。ここに来る時点でなので――特に考えることなく接していたが――下手にワイワイ仲良くする必要も――だしな。
「真菅さん?」
「あー、いや、まあ何ともだな。俺自身もわからないし。っか、香良洲の言うことが正しいと――俺はどっちなんだだよな。ちなみに俺は多分だが外の世界大通りと言えばいいか。この店を出てまっすぐ進んで行くとあるところに行けるはずだ――最近面倒だから行ってないんだがな。もしかしたら――行けなくなっているかもな」
俺は笑いながら普通にそんなことを言った。まあ俺なんか話では香良洲の表情が変わることはなかったがな。
「えっと――じゃあもしですよ?真菅さんが今お店を出て行って大通りにたどり着けなかったら――どうなるんですか?」
「あー、どうなるんだろうな?もしかして――香良洲のバトンタッチ」
「えっ?」
「お店のバトンタッチとかあるのかもしれんな」
「——それは困りますね――いきなり1人とか」
「いやいや何とかなるもんだぞ?」
「なりませんよ。私お店とか全くわかりませんし」
「でもまあもし俺が出て行って……香良洲にここでバトンタッチしたらそのまま死ぬのかもしれないな。ちょっと俺の昔話をするとな。俺数回——うん。数回事故にあっているからな。もしかしたらそのどこかで死んでいたのかもしれない――まあそれをいうと親もだが――そうだな。そういえば俺が入院している時親は来ていた――って、いまいち仕組みというか。ここの事がわからないんだよな――」
「えっと――真菅さん的には――今後どうするんですか?ずっとここで?」
香良洲に聞かれてふと考えてみる。まさかこのままずっとここで――というのもまあありなのかもしれないが……な。でも死んでるならとっとと成仏というのか。居なくなった方がいいのだろうし。生きているのならちゃんと生きている側に行かないといけないような気もするんだよな――でも今俺の頭の中にある答えと言うと……。
「いや、特に何もだな。ここに居れば困ることはないし。いや、待てよ。香良洲という従業員が出来たことは困っただな。ここ給料出ないし。雇うとか――なかったからな。なんか自分の事はどうでもだが――香良洲の事をどうするか……」
「いやいや私の事は。それはいいんですが。私本当に何も持ってないみたいですから。今更お金とか要らない感じですし」
まあそうだろうな。この場所に居る時点で――何もなくても困ることはないだろう。
「ってか。香良洲。香良洲も一応食ってるし。ここから出たら、すぐにやり直せると思うぞ?途中で見せたと思うが。多分ここで料理を食べる。または飲む。そして外に出たら――なんだよ。俺が見てきた流れで言うとな」
「そういえばそうでしたね。でも私――見送りとかで外に出たんですが――」
「——それは――まだ店内扱い?」
もしかしてエプロンが何か効果ある?まさかな。突然出てきた普通のエプロンだしな。
「どこまでがお店なんですかね?」
「わからん。まあでも、あまりここに留まるのも。だと思うぞ?おかしなことになるとだからな。既に今日はこの店おかしなことが多発していた気がするが――」
「やっぱり私は早くお店を出た方がいいんですかね?」
「まあ――俺の勝手な考えだが――留まるべきではない気がするな」
俺の話を聞いていた香良洲がちょっと考えだすと――。
カランカラン……。
またドアの開く音が聞こえてきたのだった。
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