第5話 なんでもありなのだろうか?
はじめての事に戸惑っている俺だったのだが――このお店はやはり勝手に何か起こる。何と言えばいいのだろうか――イレギュラーなことが起きてもちゃんと対応というか――または……これは予定通りなのかはわからないが。とりあえず問題なく今という時間は進んでいるらしい。
現在俺の横では、
あれだ。お金がないのに料理を食べた。と言えばいいのか。持っていると思っていたのに無くなっていたというか。まあとりあえず代金が払えないから。おにぎり分お手伝いします。とやらの流れで、初めてのパターンを俺に経験させてきたお客が従業員?として立っている。
香良洲の姿を説明しておくと。普通にエプロンを付けている。いや、ホント何故か知らないが。突然エプロン増えていたである。エプロンの予備みたいなのなかったんだがな。ちなみに両親が使っていたのは探してもなかったから……多分2人が持って出て行った。または俺がたまたま見つけれないだけ。などと思いつつ。手伝うと言い切っている香良洲に何かあるかなー、などと思っていたら。唐突に新品のエプロンご登場である。袋にまでちゃんと入っていたエプロンがふと気が付いたら机の上にあったのだった。ホントなんでもありだな――と、俺が思っていると。
香良洲がこちらを見てきた。
「えっと――準備出来ましたけど、私は何をしたらいいですか?」
「いやー、まさかの予想外でな何をしたらと言われても――」
「ホントなんでもお手伝いしますよ?食べた分は働きます」
「いや――暇だと暇だしな。それに今まで普通に俺1人でやっていたから――」
「掃除でもなんでもします」
「どうしたこうなったのか……」
いや、従業員増えるとか。全く予想してなかったし。俺戸惑うだった。
本当にこれは――どうするべきか。でも下手にいろいろ香良洲にこのお店の事に関して隠すと――あとあとややこしくなる可能性もあるので……うーん。である。
そもそも俺自身もこの場所については、はっきりわかっているわけではないのだが――何となく理解していることと言えば、ここに来る人は、1回きりが普通だったからな。なんて言ったらいいのか……今回は残ったというのか。出てかなかったというかだからな。これは――いいのだろうか?と、ちょっと思いつつも。
そもそももしかするとこういうお店の説明を関係ない人にするのは、ダメなのかもしれないという考えも浮かんだりして来て――頭の中パニック。でも逆に説明したことで自分の行先をこの女性。香良洲が思い出してくれるかもしれない。などと俺は本当にいろいろなことを考え――考え。香良洲と話していて、やっぱりこの場所について俺が知っていることを話した方がいいかな?と、思い話そうとした時だった。
カランカラン……。
お店の入り口のドアが開く音がした。
今日はお客さんが多い日らしい。タイミングが良いのか悪いのかだな。
俺と香良洲が音の方を見ると――上品な見た目のおばあちゃんが立っていた。身なりがすごくしっかりしている。いや、ホントちゃんとしているだった。どこかの会社とかの社長?いや、会長?みたいな感じのおばあちゃんだった。なんか高そうな宝石も見に付けているし。すごい。輝いているよだった。
上品なおばあちゃんはお店の中に入って来ると、まるで常連客のような流れで――。
「フルーツをお願いできるかしら?」
注文を言いながら席に座ったのだった。まあこういうお客さんがいないことはないのだが――って、俺はとりあえず香良洲への説明は後回しにして接客をすることにしたのだった。これメインですからね。上品な見た目のおばあちゃんに待って。という選択肢はもちろんなかった。
「いらっしゃいませ。ご希望のフルーツは何かありますか?」
とりあえずは目の前の事。目の前の事。と頭の中を切り替えつつ。まずはいつものように俺は接客をすることにした。
俺が声をかけると上品な見た目のおばあちゃんは店内を見つつ――。
「そうねー。バナナかね。あと、みかんもよく食べたね。りんごも。それをいつも朝ごはんにヨーグルトに入れてね食べていたから。そういうのがいいかしらね。できるかしら?」
ヨーグルトとフルーツか。御飯というよりはスイーツ。おやつに近い?でも、このおばあちゃんは朝ごはんに食べていたと言っているから――料理か。って、そもそもここなんでも出すんだった。香良洲というイレギュラーが居たから余計なことを考えてしまった。と俺が思っていると。
「——ここってフルーツとかもあるの?」
上品なおばあちゃんから注文を聞いた後。香良洲がこそっと俺に聞いてきた。
「届くんだよ」
「届く?」
「勝手にな。食材が来るんだよ。うん、食材からやって来るだな」
「—―えっ?食材から?うん?どういう――」
俺が食材についてちゃんと話すと、さすがに香良洲が驚いた表情をしていた。まあ普通そうなるわな。食材が勝手に来るとかないからな。
俺は準備をしつつ香良洲に説明を続ける。
「ちなみに香良洲の時はその前からあったからか、何も届いてないがな」
「えっと?どういう――なんかわからないんだけど――」
「まあとりあえず今は接客だ。香良洲は水と手拭き。そこにあるから出してくれ。いろいろすぐにわかるはずだからさ。まあ今は接客だな」
俺がそいう言うと、香良洲は「接客の経験は無いんですけど――」とぶつぶつ言いつつも無難に接客。上品なおばあちゃんの話し合い相手をしてくれたのだった。コミュニケーション能力は俺よりはるかに高そうだ。水と手拭きを渡しつつ自然と会話を初めて――雑談を今もしている。マジで俺なんかより能力高そうだわ。
それからも俺は料理を作りつつ2人の会話を聞いていると。上品なおばあちゃんは昔は高級品だったフルーツを最期に食べたくなったとか。そんな話が聞こえてきていた。ちょっと香良洲が途中で戸惑った感じになっていたが……まあそれは後で説明すればいいだろうということで俺は上品な見た目のおばあちゃんの話し相手は香良洲に任せて料理を作ったのだった。
そろそろ香良洲が話題が。ネタが尽きそうです――という感じになって来たころ。俺は上品な見た目のおばあちゃんの前に料理を出した。
「お待たせしました。フルーツヨーグルトサラダとなります」
――えっ?何でサラダになったかった?いや、冷蔵庫開けたらさ。ヨーグルトとともに野菜。レタス類が何故か入っていてね。こうなったである。ある物は使う。基本現れた物は使え的な感じなんでね。などと俺が思っていると。
「あらあら、懐かしいわね。そうそう昔のお手伝いさんが野菜も食べてください。って言ってこんな料理作ってくれたわね。あっそうだわ。パンもあるかしら?追加でパンも欲しいわ」
「少々お待ちください」
追加のパターンもレアだな。今日はレア祭りか?と俺が思いつつ。先ほど一度開けた棚などを確認すると――パンあったよである。やわらかそうな白パンがあったのだった。ホントどのようにいつ登場しているんだろうな。確かフルーツを確認した時にも全部棚は開けた気がするが――なかったぞ?ってか今更かもだが。食材が出てくる音とかいうものも全くないんだよな。まるで注文が入ったらその場にパッと出てくるというか――まあいいか。おかしなことは今に始まったわけじゃないからな。
ということで、上品なおばあちゃんへの料理は「フルーツヨーグルトサラダ。パン付き」となった。上品なおばあちゃん曰く「安心できる朝ごはん」らしい。
ちなみに白パンはまるで出来立ての状態だったので――。
「いつの間に、って予知?予知して作っていた?でもそんなそぶり――そもそも急にパンの香り――えっ!?」
上品な見た目のおばあちゃんの話し相手をしていた新人従業員がパニックになっていたが。まあいいだろう。ちなみに上品な見た目のおばあちゃんは香良洲のパニックは見えてなかったのか触れることなく。その後は昔話をしながらゆっくりと食べていたのだった。
「美味しかったわ。ありがとうね。わがまま言って、やわらかくておいしいパンだったわ」
「いえいえ大丈夫ですよ」
俺が言うと上品なおばあちゃんは出口の方へと歩いて行く。後ろ姿。歩き方までなんかオーラがあるな。と思いつつ俺が見送っていると――。
カランカラン……。
「あれ?おばあちゃんお支払い――」
上品なおばあちゃんがお店を出て行く際に、香良洲がそんなことをつぶやいていたのだった。俺の方を見て――いいの?的な表情のち。上品な見た目のおばあちゃんに声を――という感じになりつつも。でも俺が何も言わないからだろう。香良洲は何か言いたそうな表情をしたまま――俺を見たり。上品な見た目のおばあちゃんを見たり。という感じだった。
まあ後で説明してやるよ。と俺が思いつつ上品なおばあちゃんを2人で見送ったのだった。
上品な見た目のおばあちゃんの姿が見えなくなったら、俺は片付けをしつつ。香良洲に話していくか――と考えていたいのだが――そう簡単に物事は予想通り進まなかった。いや、その後大変でね。めっちゃ大変なことになったんだよ。
先に言っておこう。多分お店オープン以来過去最多の来客となったのだった。
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