第2話 そして俺は1人

いろいろとあり――ホントいろいろとあって、俺が実家の店へと戻って来てからのこと。親から料理などの指導を受けしばらくしたころだな。

ちなみにだが。超スパルタ。俺の姿を見て覚えろ。とかいうことは最後までなく。平和にのんびりというのか。雑談しつつの指導だった。まあでも教えることはちゃんと教えてくれるという感じだったな。

一応俺も真面目にメモ取ったりいろいろ勉強したしな。うん。俺頑張ったである。

ってか。俺の親たちが真面目――というか。真剣にというのがね。いや、真剣なのはわかるが――今までの雰囲気。2人の行動を知っているとね。なんか真剣なのにいつも通りというか。ゆるい。ふんわりとした感じ多めだったな。ってまあ、そのことは置いておいていいか。


でだ。ほんとそれは突然のことだった。思いついたからやってみよう。というような感じで、両親が「そろそろ試験だな。もう大丈夫だろう」みたいな事を言いだして――このお店へお客として来るとか言いだしたのだった。いや、試験というかさ。お客役?ならどちらかでもよくない?だったのだが。二人で客としてくるとなったのだった。理由は……面白そうだから。などと言っていたか。マジでこの両親謎な行動が多くて困る。ってか。こういうことが多いから。教えてもらっている時の雰囲気がピシッとしないんだよな。

ちょっと真面目に話していると思ったら――だからな。ってマジで試験はするらしく。俺が何を言ってもだった。そしてとっととやろうだったのか。その日のうちに、両親は本当にちゃんとしたお客とでも言うのか。そのまま店内の席に座るではなく。一度お店を出て行って――数時間後に来店という形をとっていた。

個人的には、そこまでするのかだったが……いや、お店を出て行って数時間帰ってこないとかなんだよ。だからな。すぐ戻って来るのかと思ったら戻ってこないしよ。まあその待ち時間の間に「あー、これはマジで二人は楽しんでいる。面白がっているな」と俺の中で確定したんだがな。

まあこの試験やらが、実は両親が練った作戦なのかなどは全くわからなかったのだが……でも一応俺の為にやってくれている。と、その時の俺は思うようにしたんだったな。うん。頭の片隅には、楽しんでる二人だな。という思いが残っていたが――。


ってか、俺は親が戻ってくるまでは本当に、大変暇な時間を俺は過ごしていたというね。一人で店番になったのたのだが。営業中でも人が来なくてね。超暇だったよ。俺が指導されている時は――まあまあお客は来ていたんだがね。今日は――全くだった。まるで――今日は臨時休業ですと外に張り紙でもされているのじゃないかと途中で思ったくらいだからな。まあもちろんそんな紙は貼られてなかったが――いや、確認したよ。親が何かしてるんじゃないか。っていう可能性が少なからずあったのでね。


ってか。そういえば――数時間といえど親が店を離れるのは珍しいな。と。いや基本店か家に両親は居るし――まあそりゃ俺が怪我したときとかにはチラッとだが、病院まで来てくれていたが――でも基本お店が好きすぎるのか。離れることなかったよな――まあ俺が知らないところで、どこかに行ったりはしていたと思うがな。


カランカラン……。


俺が暇で暇でいろいろなことを考えていると。やっとお店のドアが開く音がした。


入り口の方を見ると――いつも通り。楽しそうな表情で戻って来た両親だった。うん。確定だ。この親たち。今の状況をめっちゃ楽しんでいるだな。

まあでもやっとお客が来た。ということで俺は動くことが出来た。


ってか。そもそもだが、。試験といえど俺がすることといえば、両親に教わった通りの事を行うだけだだ。難しい事ではない。何度も練習したことだ。それにお客といえで無駄によく知っている両親だ。それに今の二人も雑談をしている状況で――緊張感という物がなくてね。なかなか試験という感じを感じれなかった俺だった。


ちなみにだが、この店はふざけていると言ってもいいかと思うが。メニューがない。前にも言ったと思うがな。言ったっけ?言ってない?いやー暇すぎてちょっと忘れたよ。まあとりあえず説明しておくとメニューはない。お客さんが言ったものを作るである。だから俺は親が注文してくるのを待っていると――。


――えっ?それだと食材困るんじゃないか?まあ俺もそれは思ったよ。でもな、なんか不思議なことがあってね。このお店にはいつの間にか。食材などが勝手に届いているというね。謎過ぎることがあるんだよ。

そういえばその理由に関しては企業秘密なのか未だに両親からもまだ聞いていないな。指導の時は――冷蔵庫とかにある物を使っていたし――ってそういえば両親が買い物へと行ってる姿――俺見たことあったっけか?うーん。朝っぱらとかに行っている?いやー、そういえばだな、料理に関してはある程度教えてもらったが――他の事はまだ全くだな。もしかしたこの試験がクリアなら教えてくれるのか?

ってか、もしかしたらこのお店事前予約制というか。どこかで事前に注文の確認でもしているのだろうか?ともチラッと頭に浮かんだ俺だったが――それは違うかな。両親がそんなことをしている雰囲気がなかったのでね。なので結局今のところ、本当に食材が勝手に現れるカラクリは何もわからない。謎ということだ。


にしてもこの両親は何を注文するんだろうか?と俺が思いつつ――両親が注文を言ってくる前に、冷蔵庫とかの中にはそもそも何があるのだろうか?ということで確認してみると――食材はあった。ちゃんと入っていたのだった。どうやら親は自分たちが頼む食材を先に準備済みだったらしい。

注文後。俺が食材ないんですけどーという意地悪はないみたいだ。


ってか。今冷蔵庫などにあった材料から考えられる料理は……どう見ても野菜炒めかと思われたが――いや、野菜多めでね。まあ野菜炒め以外にも作れるものはあるだろうが――俺の頭に浮かんだのは野菜炒めだった。何故かって?いや、近くにね。野菜炒めをする際に使う便利なものも見つけていたんでね。


まあとりあえずいつの間にか材料は準備されていたということだ。あとは――早く注文してくれないかな?なのだが――両親は注文の前に二人でお店の雰囲気に関して語っていたのだった。うん、注文してからでもいいかと思いますがね――多分注文してからでも十分話す時間はあると思うんだが――自分たちが一番知っているはずなのに、何故か――はじめてきたお店の――いや、懐かしむかのように?二人はしばらく話していたのだった。


もう訳がわからんが――今はいいか。他のお客さんも居ないし。

ってか。食材に関しては謎だな。うん。俺の知らないことは多いだ。


それから少ししてからの事。両親はやっと注文をしてきたのだが――おい。だった。


何か料理名が来るものだと俺は思って待っていたのだが――。


両親が注文してきたのは「お前の男飯」が食いたいだった。


……何を意味の分からない注文をしてくるんだよだった。なんだよこの客だな。まあメニューがない店側に問題があるのか。


だが。一応注文が入ったらそれを作るのがこの店らしいので――俺はとりあえず調理をすることにした。まあ何を作るかは食材を見つけた際には決まっていたのでね。

あれだ。まずは野菜をザクザク切る。キャベツやニンジン、ピーマン。玉ねぎとか。とりあえずあった物。見つけたものを一口大に切る。そしてフライパンで炒める。味付けは――焼き肉のたれだ。うん。これ最強。いや、これを先ほど見つけていたんでね。冷蔵庫に普通にあったこれをかけて少し炒めればOKだ。

ちなみにタレも最近は種類がいろいろあるからな。数種類ストックしておけばいろいろな味のものが作れる。まあ今は一種類だったんだがな。発注?とかいうのかは知らんがその作業も教えてもらったら、タレは頼んでおかないとな。

あと本当は肉もあるとさらに美味しくなりそうだったんだが――肉は探しても無くてね。無い物は入れれないからな。俺は代わりに野菜を炒めているいる横でもう一つフライパンを出し、目玉焼きを2つ作っていた。たまごは何故かたくさんあったんでね。たくさんある物は使えである。


とりあえず切って炒めて、タレかけてさらに炒めて、後はどんぶりにご飯の準備――そうそう、ご飯は何故か炊いてあってね。完全に親準備済みというね。確か普段は――下手するとお客さんが来てから炊いていることもあったが――今日は炊いてあったんでね。ご飯は使えた。

まあご飯を一から炊いて両親を待たせてみるというのも。メニューのないお店に来たお客がどれだけ待たされているのか。二人が知るきっかけになるかと思ったんだが――今回はそれは出来なかった。

そうそう、準備したご飯には少し焼き肉のたれをこちらにもかけて――その後野菜炒めを乗せて、さらに目玉焼き乗せるである。最後にちょっとピリッとさせるために、七味唐辛子はお好みで、ということで隣に置いて……いや、今回のタレはちょっと甘めみたいだったんでね。まあ味は調節くださいだな。


そうそう、超簡単にだが。同時進行で作っていたわかめだけが入っている中華風スープを隣に置いて出来上がりだ。


にしてもこれは――普通に家の食事というか。俺が親に家であったものだけで作っただけという感じだな。お店の料理という感じはないが――でもまあ注文通りの料理ではあったと思うので――いいだろう。


向こうは息子が注文したら冷蔵庫やらやらにあったのをザクザク切って、超万能タレぶっかけてるよ。あとは簡単になんか周りで作ってるよ。くらいの評価だと思うが――まあそれを注文したんだからな。俺は注文通り動いたはずだ。

にしても、作っていた本人は――やっぱりこれタレだけでご飯進むな。と香りで思っていたのだった。にしても初めは何を注文するんだよ。だったが……今考えるとめっちゃ簡単な料理を注文してきただな。簡単な料理を注文してくれた親に感謝感謝だな。


その後両親は黙々と食べて――うん。先ほどまで雑談していたくせに食べる時は静かに食べていた。まるで最後の晩餐をしっかりと楽しんでいるみたいに――ってそんなことはないな。あれか。ちょっと来てから話を過ぎていた試験の雰囲気が――と両親も思い食べる時は静かにしたのだろう。


それからしばらく両親が食べる音だけがお店には響き――完食後だった。


「……美味いじゃないか。うんうん。ああ、ありがとう。これで

「良いじゃない。これで大丈夫ね。


そんな声が聞こえてきたのだった。

にしても本当にしばらく黙々と2人が食べているからなんか気まずいというか。普段両親はうるさい方だからな。急に真面目に試験なのか?とか俺は思っていたが……。

食べ終えたら、2人して似たような感想を俺に言ったのだった。まあとりあえず美味かったらしい。よかったよかっただな。


そうそうこの後すぐだが。俺はこの時に両親が言っていた言葉の意味を知ったというか。気が付いたのだった。

いや、両親がつぶやいた言葉から「って?何がだ?」とか俺は思っていたのだが。すぐにピンと来たことがあったのだった。


いや、両親がここに戻ってきた俺に必死に指導したのは、今までは2人だけでお店をしていて、代わりがいなかったからだろう。だから遠出。店を長く空けることができなかったので、俺という代わりができて、これで旅行やらやらも――みたいなことを言っていたのだろうと、その時俺は思っていたのだった。

まあそうだろう。それくらいしかって言葉でピンとくるものがなくてね。


現に両親は俺が作った料理を綺麗に完食したあとすぐに、再度「—―美味しかったぞ。ありがとう」とわざわざ言い。二人何か場所?だろうか「どんなところなんだろう?」的なことを話しつつ。まるで本当のお客のように、お店から出て行くところまでちゃんとしていたからな。話す内容も決めていたのかよ。ってくらい自然な感じで二人は話していたからな。準備しすぎだろうである。


ちなみにお店にやって来る。出て行く。というのはちゃんとしたくせに、この二人――金は払ってなかったがな。うん。ってかそういえば――この店レジどこだ?それに今までのお客さんは――多分母親の方がメインで接客をしていたと思うのだが――お金のやり取りの姿って見たことあったっけか?いや、まさかだが。事前払い制?というのか――先払いなのか?やっぱりこの店実は超最先端?の事をしている?

……いやいや。二人が機械に強い雰囲気は全くないんだがね。

どこかではお金のやり取りはしていると思うのだが――しないと店出来ないだろ?えっ?まさか――いやいやそれはないな。


まあとりあえず、俺はほんとまだまだお店に関しては、何も教えてもらってないらしい。料理はいろいろ作った気がするが……その他は知らないことだらけだぞ?という俺だったな。

……ってか、何かさっきの雰囲気からして、ちょっと代わりができたから、お店を丸投げして二人は、あのままちょっと遊びに行くんじゃないだろうな?などと俺は思いつつ「—―もう来るなよ。こんな面倒な客いらないよ」と心の中で呆れていたのだった。


両親が出て行ったその後俺は、両親が綺麗に食べ空っぽになった皿などを洗ったり、机の上の片付けをしながら、わざわざ本当のお客みたいに再度お店を出て行った両親の帰りを待っていたが……いや、早く帰ってこいよだったな。いろいろ謎なことを聞きたいしさ。食材のこともだし。お金に関してとか。って、料理以外も早く教えてくれだな。

ってか、やっぱりだが。お客をすると二人は言ったんだからお金払うまでやるべきだったのでは?みたいなことをいろいろ言いたくてね。うん。言いたいことがたくさんあるから早く帰ってこいだった。


――まあ俺の両親がこの場所へと戻って来ることは2度となかったんだがね。


この時。俺はいきなりお店を継ぐことになったのだった。

また――この場所に囚われることになったのだった。

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