グルメ小説コンテスト用 第7話 従業員早くも減る
男性が帰った後。俺と香良洲はまた話していた。
「とりあえず真菅さん。得体のしれないものは出さないように」
って再度注意されていた。
「いや、食材が届いていたからな」
「なら試食してください」
「あれは……キツイな」
「ホントに――まだゾクゾクしてますよ」
「でも頼まれたものを出す場所だからな。っか。香良洲。このままだとずっと手伝いすることになるぞ?さっきも言ったが。早く出た方がいい気がするし」
「そういえばさっきの人も――ですよね」
「ああ、消えたな」
俺がドアの方を見つつ言うと――。
「やっぱり。ここはそういう流れなんですかね。留まるのは、ですね」
「ああ」
「……わかりました。その「塩むずび」ごちそうさまでした」
「いやいや。ってかホント塩むすび代なんか軽く超える働きだったからな」
「ちょっと後半は楽しかったですね。あっ、また機会があったらお手伝いしますね」
香良洲はそんなことを言いつつエプロンを解いた。
「いやいや、もう来るなよ」
「—―お店なのに不思議ですね。お客さんに来るなって」
呆れたように香良洲はいい。エプロンを畳んでカウンターに置いた。
「仕方ない。そういうところだ」
「なんか寂しいですね」
「慣れたよ。じゃ――もう来るなよ?」
「何回言うんですか」
「出てかないからだよ」
「なるほど、じゃ、やり直してきますね」
「—―ああ」
俺が言うと香良洲は手を振りつつお店を出て行った。
カランカラン……。
……そして誰もいなくなった。
香良洲という女性がお店を出てからしばらくお店にお客は来なかった。先ほどが忙しすぎただな。まあこのお店には人が来ない方がいいんだよ。そんなことを思いつつ俺はのんびりと過ごしていた――のだが。
カランカラン……。
やっぱり今日はよく人が来るらしい。俺はそんなことを思いつつ入り口の方を見ると――少し暗めのベージュ色の髪を揺らした同年代くらいの女性が苦笑いをしつつ立っていたのだった。
――あれ?
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