第3話

 僕は生きる意味を失った。ただ辛いだけの毎日を淡々と過ごしていく。なんだかもう疲れた。いっそ消えてしまいたい。いっそ死んでしまいたい。どうせそんな勇気もないくせにそんなことを考えて心を傷つける日々。こんなことなら初めから優しくしないで欲しかった。君のことを好きにさせないでほしかった。それならいっそ君のように。


 全部演じて。全部嘘で。全部本当にしてしまえば。何も恥ずかしくない。何も苦しくない。言いたいことは言える。やりたいこともできる。完璧になろうと思えばなれる。苦しい思いをしなくていい。全部演じてしまおう。全部捨ててしまおう。それが一番楽だから。楽しいふりをして。悲しいふりをして。甘えてるふりをして。泣いてるふりをして。

 きついふりをして。苦しいふりをして。無理しているふりをして。死にたいふりをして。消えたいふりをしよう。そうして本当の感情を心の奥に仕舞えば。全部作っているからどれが本音か分からない。誰も分からなくなる。そしたら何も気にせずに言葉を言える。それが一番楽だから。もう、壊れてしまおう。疲れたから。

 おやすみ。今までの僕。さようなら。今までありがとう。お疲れ様。ゆっくりやすんでね。じゃあね。ばいばい。あとはよろしくね。僕はもう無理だから。ごめんね。本当にごめんね。

 こんなことをしたって何も変わらないことは分かってる。無駄なことだって分かってる。僕はそんなに器用ではないから。君みたいに上手くできないことも分かっている。

 だけど、一度休ませて。少しだけ休ませて。少しだけ逃げさせて。少しだけ忘れさせて。その後は、もう一度頑張るから。無理してでも考えるから。無理してでも笑うから。


 だから。今だけは。

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