第71話 勇者パーティー25:クリストフ編終幕4

「ねえ、クリストフ。なんで冒険者は心臓を守らなきゃいけないか分かる?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「もちろん、心臓が身体を動かすための根本的な部分だからよ。足がなくても心臓は動く。でも、心臓がないと足は動かない。まあ、足がなくなっちゃったクリストフには関係ない話か」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「でもね、もうひとつ理由があるの。心臓の裏側にはもうひとつ、冒険者にとって大事な器官があるの。知ってた? 知らないよね。だって、クリストフはおバカさんだもんね。私が教えてあげないとなにも知らないし、私がやってあげないとなにも出来ないもんね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「でもね、私は知ってるの。回復術師だから。ニンゲンの身体のことはよ〜〜〜〜〜〜く知ってるの。だから、どうすれば治せるかも分かるし、どうやったら壊せるかもよ〜〜〜く分かるんだあ。クリストフも身をもって知れてよかったねええええ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「もう、クリストフがおバカさんだから、話が進まないじゃないのお。悪い子ね。お仕置きしちゃうよ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「痛い? 痛い? お腹蹴られて痛い?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「心臓の裏側にある器官。二つの肺と繋がっているアメ玉くらいの小さな器官。この器官がね、冒険者にとっては心臓の次に大切なの。なんでか分かるう? 分かんないよねえ。おバカさんだもんんんねええええ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「このちっちゃな器官にはね、『経験値』が詰まっているの」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「さすがにおバカなクリストフでも、『経験値』って言葉くらいは知ってるよね。最初の講習で習うもんね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「そう。モンスターを倒すと得られる『経験値』。これを貯める場所がこの器官。名前は『験臓(けんぞう)』」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「ここを傷つけると、せっかく貯めこんだ『経験値』が体の外に流れ出て行っちゃうんだ。レベルも下がるし、せっかく覚えたスキルも忘れちゃう」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「今はどれくらいかな。うん、レベル97か。なかなか減らないね。97っていうと、ファースト・ダンジョンクリアした頃。二年前ね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「二年分の努力が消えちゃったね。強くなりたくて、あれだけ頑張ったのに、数分でムダになっちゃったね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「あ、ジョブも戻っちゃった。【剣士】だよ。ジョブランク1の」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。



「今のクリストフのジョブは【剣士】だよ。平凡でありふれた、ただの【剣士】だよ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「【勇者】になれて、あんなに喜んでいたのにね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「あの頃に戻っちゃったね。でも、もっと戻るんだよ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「ほら、今も87…………86……85……」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。



「80。どんどん下がっていくね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「78。『俺様は選ばれし者だ』って豪語してたのにね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「75。でも、もう一般人に戻っちゃったね。五年間頑張ったのにね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「74。残念でした」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「72。なんでこんな事しているかって?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「68。あなたを手に入れるためよ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。



「65。あなたを私のモノにするため。私だけのモノに」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「63。そのために、5年間も必死に我慢したの。クウカちゃんはエラいでしょ? 褒めてよ。もっと褒めてよ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「とか言っているうちに、もうレベル60切ったわ。後少しね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「58。あなたが大切にしていた【勇者】という肩書きを失い、強さの指標であるレベルも失われていく」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「55。怖いよねえ。怖いよねえ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「54。でも、やめてあげない」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「53。あなたはここで覚えるの。私に逆らったら、大切なものを奪われる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「50。失われていくレベルとともに、それをちゃんと覚えるのよ。」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「48。なんで、足を切断したかわかる?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「46。足があるとクリストフは他の女のところに歩いて行くから」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「44。なんで【勇者】の肩書きを奪ったかわかる?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「42。【勇者】の肩書きに群がる女がいるから」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「41。それに、あなたがヘンな勘違いしちゃうでしょ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「40。俺は【勇者】だって」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。



「38。あなたは『選ばれし者』。でも、女神に選ばれたわけでも、世界に選ばれたわけでもない。わかる?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「37。あなたは選ばれたの」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「35。これからは私のためだけに生きるの」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「32。だから、【勇者】という肩書きは」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「31。必要ない」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「30。それに強さも必要ない」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「29。だって、私が守ってあげるから」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「28。あなたは私に守られ、私だけを愛せばいいの」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「27。それがあなたの残りの人生、ただひとつの役目。わかった?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「26。だから、必要ないものは全部奪ってあげる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「25。足も、肩書きも、強さも」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「24。あなたに必要なのは、その完璧な顔立ち。美しく完成された、理想そのものの顔立ち。それだけ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「22。でもね、腕は残しておいてあげるね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「20。あなたの腕は剣を握るためにあるんじゃないの。私を抱くためだけにある。だから、腕は残しておいてあげる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「19。耳も残しておいてあげる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「18。私の言うことを聞けるように」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「17。口も残しておいてあげる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「16。私への愛を紡げるように」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「15。目は悩んだんだけど……やっぱり、残しておいてあげる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「14。本当はあなたの瞳に他の女が映るのですら許せなかったのよ。でも、残しておいてあげる」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「13。あなたの目は綺麗だから」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「12。その綺麗な瞳に映るのは私だけ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「11。素敵だと思わない?」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「10。ということで、もういい頃合いね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「9」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「8」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「7」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「6」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「5」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「4」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「3」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「2」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「はい。レベル1」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「おめでとう、クリストフ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「五年前に戻ったわ」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「私とあなたが出会った五年前に」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「これから二人でやり直していきましょうね」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


「大丈夫よ。全部私が面倒見てあげるから」


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。

 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。

 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。






「――愛してるわ、クリストフ」

















   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】

 書いてて頭がクラクラしました。


 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは。


 クリストフ編はまだ完結してないです。


 次回――『ファースト・ダンジョン制覇報告』


 ミルちゃん(第17話)も再登場!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る