3-2 会長との密会
昼休み、言われた通りに資料庫に向かった。
資料庫は、地下にある部屋であり中に入れるのは生徒会長と教師のみである。
中には、生徒のことが書かれてあるファイルがあるのはもちろんのこと、重要な書類も沢山管理されている。
「会長〜、来ましたよ〜」
「来たか。って、ここで弁当広げて食ってるんじゃない!」
「弁当持って来いって言ったのは会長でしょ!」
「言ったが、ここで食うバカが居るか!せめて廊下や階段とかで食べろ!」
「ちぇっ」と思いながら、渋々と弁当を閉じた。廊下や階段で食べる方もバカでは無いのかなんて思ったが、ここは我慢する。
閉じた後に会長は、5冊程のファイルを持ってこちらに来ると目の前にドサッと置いた。
1冊手に持ってペラペラめくると、生徒の顔写真、名前、異能の詳細が書かれていた。
「これはこの学園にいる異能者の全データだ。来週までに目を通しておけ。」
「多すぎますよ!大体全員見てこいつ怪しいとか言えますか!?」
「うるさいヤツだな…。ほら、俺が独自に集めたデータでこいつが怪しいと思うのをまとめたやつだ。」
そのファイルには、「警戒リスト」と書かれていた。
ペラペラと捲っていくと、全生徒の名前とその横にΩ、S、A、
B、Cまでのマークがあった。
Cは、警戒する必要は無い。Bは、注意。Aは、警戒。Sは、厳重注意。Ωは、最重要警戒人物。という流れになっている。
(…Cには私と琴葉。Aには…戒と沙羅?Ωには神咲蒼空か。)
「なんで戒と沙羅はAなの?」
「不振な動きがあるからだ。神咲と、会話したところを見かけた。人目を気にしていたし…あれは何かある。」
その発言を聞いて、私は驚愕した。神咲蒼空とものの数日で仲良くなったというのか?いや、その確率は無いに等しかった。関わりがあれば、知っていると言うはずだ。
そして、私は2人に関しても考えた。
戒と沙羅か…。あの二人はたしかに怪しいと思う。
戒は、入学式後に戦闘を挑んできた。あそこで争う必要もなかったはずであるのに…。沙羅もだ。唐突に仲間にしてくれと言ってきた。あれは何かが確定である。
しかし、本人達にデットキングと関わりがあるかと聞いて、素直に答えるわけが無い。ここは様子見だ。
「…信じられないという顔をしているな。」
「当たり前です。今は…様子見ですか。」
「そうだ。いいか?絶対神咲から話しかけられたら警戒をしろ。こちらでも奴の事を調べる。何せ…あいつの能力は不明なんだからな。」
「不明…?」
「あぁ、なんせこの学園の異能を全て使えると発言しているんだ。だが、それを見たことがないため確証がない。」
学園の異能を…全て?嘘をついているんじゃないのか?聞いたら普通はそうなる。
しかし、あいつは学園1位。発言的におかしくは無い。
…まさか、な。そんな異能があってたまるか。そんな異能があったら…世界はどうなることやら。
「分かりました。では、私はこれで。」
「どうかしたのか?まだ時間はあるぞ?」
「…調べることが出来ました。神咲蒼空のクラスは何組ですか?」
「3年1組だ。行けばすぐ分かる。」
「ありがとうございます。それでは失礼します。」
一礼をして、私はその部屋を後にする。
そこからは駆け足だ。ただただ急ぐ。私がやるべきことは、3年生への聞き込みと、あいつを問い詰めることだけだ。神咲蒼空の異能と素性を…全て吐かせてやる。
その思いで、私は駆け出した。
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