3-1 内通者の可能性
次の日、琴葉は休んだ。というか、私が休ませた。
まぁ、昨日のこともあったし先生には、風邪で休んでいると伝えておいた。
私は、腕に包帯を巻いて昨日負ったけがを隠すことにした。
あの後、すぐに治るだろうと思っており、何の処置もしないで寝た。だが今朝、腕を見たら散々であった。集合体恐怖症の人が見たら絶対やばそうな感じだった。
それに、この腕を他人に見られてしまっては心配はされることはほぼ確実。何としてもそれだけは避けたいからである。
前世であれば、こんなことをしなくてもだれも興味を示したりしないが、いまはなぜか私の親衛隊なる集団がいるらしく、ちょっとしたことでも過敏に反応してくるたので、こうする必要があるのだ。
「琴音ちゃんおはよ~」「おはよん!」
「琴音様!今日もご無事にとうk」「やかましい!お前は私の執事か!」
友達は多いほうではある。その代わり、なぜか様付けして突撃してくる輩もいるため、ビンタして追っ払っている。
初めに挨拶してくれた子は、琴葉から知り合った子。能力は、猫と話せるという能力。
おとなしく、真面目そうな子であり髪はロングで大人のような雰囲気を醸し出している。
そして…さっき私がビンタした男子は実習後、急に話しかけてきた自称親衛隊隊長こと、木上集字。
能力は知らない、というか知りたくもない。とにかくめちゃくちゃな奴なのだ。それに尽きる。
何とか教室までたどり着いた。目の前には、戒と沙羅の姿があった。
「昨日は大丈夫だったか?すまねえな、一緒に帰れなくて。」
「心配しましたよ!連絡くれれば助けに行けたかもしれないのに…」
「気にするなって。しかし、よく私がデットキングからの襲撃にあったってことがわかったな。」
「あぁ、高校生がマフィアに襲われたって話を誰かがしててな。」
「ともかく、無事で何より…」
「はは、ありがと。」
その後、2人は教室に戻った。「ふぅ…」と、ため息を付く。
襲撃の後、考えていたことがある。なぜ奴らは私たちの帰り道を知っていた?あのルートは琴葉と帰る時以外は全く使わない。4人で帰る時は、市街地で買い物したりするから別ルートを使っているからだ。
しかし、普段誰かに付けられてる気配を感じない。
となると、遠くから見ているのか?それとも能力を使ってなのか?
それはまだ分からない。ともかく、この学園の中に内通者がいることはほぼ確実だと私は考えている。
かといっても、全校生相手ではきりがない。内通者探すには、まず怪しいのを数百人から絞り込まなくてはならない。
「はぁ…あの人に頼るしかないか…でも絶対色々言われる気が…」
「あの人ってのは俺か?紅薔薇。」
横を振り向くと、不服そうな顔をした生徒会長の創がいた。
思わず顔がひきつった。まさかここに来るとは思わなかった。
私が頼ろうとしていたのは生徒会長だったのだ。
生徒会長であれば、全生徒のことを知っていると思ったからという単純な理由で。
会長は私に手を伸ばしてきた。叩かれるんじゃないかと思って目をつぶった。しかし会長は、私の頭に手を乗せた。
「昼休み、弁当持って資料庫まで来い。話がある。」
そう言い、教室を出ていった。周りの生徒からは、私と会長が付き合うんじゃないかと噂が流れ出した。
「…変な噂生み出しやがって。」
今度は私が不服そうな顔になった。
まぁ…昼休みになったら行ってみるか、何の話か全く分からないけど。
その後体を伸ばして、午前の授業に臨むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます