1-2 学年1位と学年2位

期待と不安が入り交じる中、学園内へと入っていった琴音ことね琴葉ことは。学園内には、在校生も居た。新入生を一目見ようと来ているらしい。

何故か緊張する。いや、緊張しない方がおかしいのでは?と思ってしまう。先輩から見られ、あの子はあれだ。あの子はこうだ。などと言われているのだから、自分がどのように思われているのかが気になってならない。


とりあえず、昇降口に着いた。靴を脱いで、下駄箱に靴を入れていく。どうやら、出席番号とかは決まってはいないらしい。

一先ず、教室に向かうことにした。廊下は綺麗で、アニメでよく見るような廊下の構造をしていた。教室も似たような感じ。黒板には、私たちのことを歓迎するように大きな文字で


「入学おめでとう!」


と書かれていた。黒板に、文字と絵が描かれていた中学の入学式を思い出す。懐かしいなと、感慨深く思いながらどこに座るかを決める。

席も自由と、黒板に書かれてあった。とりあえず、琴葉の隣に座ることにした。名字が似ているため、誰かから間違えられるのではないかと思っている。現に、転生前にはよく間違えられたりしていたからだ。


「はぁ…疲れた…」

「琴音…まだ学校着いてすぐだよ。もう疲れたの?」

「長距離歩いて疲れたの!」


琴葉に構ってもらおうと思い、疲れたと言ってみたが呆れ顔でサラッと返されたためつい声を大きくして言ってしまった。だが、教室に人はまだ居ない。そう考えればまだいいほうだ。

だが、久しぶりにこんな大きな声を出したなと恥ずかしさを覚える。

暫く時間が過ぎ、徐々に人が増えてきた。男女比率は、11:9で、ちょうどいいくらいであった。だが、話しかける気が起きない。自分が今、男子であれば平気で話しかけていたと思う。だが、今は女子で異性だ。話しかけようと思っても中々出来ない。まぁ、明日には自己紹介なりなんなりするだろう。そう思いつつ、琴葉と話し続ける。


「そういえばさ、学年TOP3って誰なんだろ…」

「名前は分かってても…顔がわかんないからな。」

「まぁ、入学式の時に紹介されるんじゃない?」


と、そんな会話を耳にした。


(目の前にいるから!)


なーんて心の中でつい思いつつ、話を続けていく。教室でワーワー騒いでいる中、ドアが開いて担任の先生が入ってきた。正装で、優しそうな感じの女の先生だ。良かった、怖そうな人でなくて。

転生する前自分が通っていた高校の時の担任なんて…思い出したくもない。ほぼ毎日誰かを叱ってたし、すぐ大きな声を出すから心臓に悪いのなんの。まぁ、今回は運が良かったということにしておこう。そして、担任の先生から今日の日程を伝えられる。まぁ、入学式が終わったらすぐ帰っていいらしいのだが。そして、話が終わった後体育館に向かう。


体育館に向かうまでは、皆静かだった。まぁ、入学初日ということもあり若干緊張しているのだろうと思った。そして、体育館の中に入って席に座る。体育館はかなり広い。恐らく、実践の際に体育館が大きくないと色々と問題が起きるからなのかもしれない。そして、指定された席に案内されて着席する。

在校生も全員見守る中で式が始まる。そして、クラスメイトが言っていた通りに学年TOP3の紹介もここであるらしい。


「学年3位、夜来 琴葉。学年2位、終夜 戒。そして、学年1位、紅薔薇 琴音。」


3人の名前が呼ばれ、壇上に上がるように指示をされる。

私たち3人は、返事をして壇上に上がっていく。左から、琴葉、私、戒という順番である。そして、拍手を送られて礼をする。なんだか嬉しい。こんな感覚になったのは久しぶりではないだろうか。

その後は、在校生代表として学園1位と名高い神咲 想良かんざき そらが壇上に上がる。最初の印象は、おっとりとした感じの女性であり、どこかかっこよさを覚える。


「春の息吹が感じられる今日この頃、ここに新しい生徒の皆さんがご入学してきました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私は、学園1位と言われている神崎想良と申します。」


歓迎の挨拶とかは全く詳しくないため、よく分からないが声が透き通るように綺麗で聞き心地が良かった。まぁ…途中で寝かけたのだが。一先ず、挨拶も終わり入学式はこれで終わり。後は帰るだけ!


「琴葉〜帰ろ〜!」

「早いよ…今準備してるから待ってて。」


琴葉のことを急かすように、早く帰ろうとねだる。そして、学園を出ようと思った瞬間にある人物から襲撃を受ける。

その人物とは、学年2位である終夜 戒。

攻撃に関しては、先の鋭い氷柱を投げつけられた。だが、それを交わして相手と向かいあわせの状態になる。相手の見た目は、髪の毛は短髪でクールな雰囲気を醸し出していた。だが、なぜ攻撃してきたのかは不明。しかし、理由もなしに襲撃しない訳が無い。


「…なんか用?正直、私はさっさと帰りたいんだけど。」

「勝負しろ。紅薔薇。学年1位と学年2位…俺が強いと証明してやる。」

「良いよ。ねじ伏せてあげるから。」


そう氷柱を構えて言う相手に向かって、目をガン開きにして睨みつけるようにし言い放つ。正直、上手く戦えるかは分からない。だが、売られた喧嘩は買う。上手く戦えないとしても、何とかなるはずだ。なるようになれだ!


「だが…ここで戦うのは被害が出るかもしれない。ここの、実習室でやるのはどうだ。」

「構わないよ。琴葉、先に帰ってる?」

「琴音の戦いを見守る。それだけだよ。」


そして、入学式後ではあるが初戦闘だ。絶対に勝つ。それだけの話だ。

実習室に着き、お互い対面で、そして制服のまま戦う。初日で破れたとしてもどうってことは無い。


「では…降参したら負けということにするか。」

「おっけー。じゃあ…バトルスタート!」


紅薔薇は、薔薇をナイフに。戒は、氷を剣のようにした。

そして、戦いの火花が切られる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る