第665話

「オ……オオオ……グォォオオオオオオオオオオオオオオ!」


 俺は咆哮を上げた。

 声が轟き、大地を揺るがす。


【特性スキル〖竜の鱗〗のLvが8から9へと上がりました。】

【特性スキル〖気配感知〗のLvが5から7へと上がりました。】

【耐性スキル〖即死無効:Lv--〗を得ました。】

【耐性スキル〖呪い無効:Lv--〗を得ました。】

【称号スキル〖竜王:Lv--〗により、所持している耐性スキルのLvが上昇します。】


 どんどん体表が頑強になっていくのがわかる。


 〖即死無効〗と〖呪い無効〗……か。

 正直、経験則だとあまり重要だとは思えないスキルだ。

 即死魔法も呪いも、格下相手でないとまともに作用しないスキルのはずだ。

 まあ、ないよりはあった方がいいのは間違いない。 

 神の声や、奴のスピリット・サーヴァントが使って来ねぇとも限らない。


【通常スキル〖痺れ毒爪〗のLvが6から7へと上がりました。】

【通常スキル〖ドラゴンテイル〗のLvが2から4へと上がりました。】

【通常スキル〖自己再生〗のLvが5から6へと上がりました。】

【通常スキル〖デス〗のLvが7から8へと上がりました。】

【通常スキル〖ヘルゲート〗のLvが5から6へと上がりました。】


 通常スキルのレベルもどんどん上がっていく。

 この中だと、一番ありがてぇのは〖自己再生〗だな。

 それより、新スキルの方が気になるが……。


【通常スキル〖カースナイト:Lv4〗を得ました。】

【通常スキル〖リンボ:Lv4〗を得ました。】

【通常スキル〖ディーテ:Lv4〗を得ました。】

【通常スキル〖コキュートス:Lv4〗を得ました。】

【通常スキル〖終末の音色:Lv--〗を得ました。】

【称号スキル〖最終進化者:Lv--〗を得ました。】


 ……なんか、物騒そうなスキルだな。

 特性スキルはなしで、通常スキルが五つ、か。

 今更こんなに手に入るとは思っていなかった。

 ただ、まあ、必要なスキルは既に揃ってる感じもするから、正直新スキルの恩恵はそこまでなさそうな気もするんだよな。


 進化が落ち着いて、目線の高さが明らかに変わった。

 さすがにトレントの通常サイズには及ばねえが、五割増しくらいの大きさにはなったんじゃねえだろうか。

 俺は足許のアロとトレントを見下ろす。


 アロもトレントも、どこか不安げな表情で俺を見上げていた。


『……やっぱし、そんなおっかねえ外見してるのか、俺?』


 俺が尋ねると、トレントがビシッと直立し、あたふたと翼を振った。


『い、いえ! とても格好よくあられますぞ!』


 ふと、視野が変わっていることに気が付いた。

 俺は目を瞬かせ、どうやら額にも目があるらしいと判断した。


『〖ミラーカウンター〗』


 俺は自身の前に、魔力の壁を展開させた。

 そこに自身の姿が写り込んでいる。


 赤黒いゴツゴツとした体表に、大きな悪魔を思わせる巻き角がついていた。

 頭部から背に掛けて、青白い鬣が伸びている。

 翼は背全体を覆うほど広く、不気味な瞳のような模様がついている。

 太い尾の先には大きな水晶がついているのだが、それは眼球のような外観をしていた。


 俺は前足の鉤爪へと目を向ける。

 足は、カラスのそれを強靭にしたような外観をしていた。

 毒々しい紫の爪。

 常人が掠れば、それだけで死に至る猛毒の塊だと、俺は本能的にそう理解した。


 苦笑すれば、口許に並んだ鋭利な牙が目についた。

 牙の一つ一つが、まるで禍々しい魔剣の類のようだ。

 

『こりゃ、一生人里には入れそうにねえなあ……』


 人化の時間もかなり長くは取れるようになっているはずだが、元の姿をひと目でも見られればそこまでだろう。

 それに人化状態も、ある程度元のドラゴンの影響を受けている。

 相応の姿になるはずだ。


 アポカリプスだの、物々しい名を冠していただけはある。

 世界を終わらせるために地上に降りてきた怪物だと、そう称されるだけの貫禄があった。


 ……まあ、外見は今更だ。

 タナトスにあったらしい、精神面の妙な影響はほとんどないみてぇで安心した。

 

「だ、大丈夫です、竜神さま! えっと……もし竜神さまを受け入れないような土地があったら、私が力づくでも……!」


 俺を慰めようとしてか、アロがぎゅっと握り拳を作ってそう口にする。


『それは絶対にやめろよ!?』


 ……人里に入るのがどうこうとか、んなこと言える段階じゃなくなってんだよな。

 神の声は、俺が止めなきゃいけねぇ。

 失敗すれば、そのときは今後も奴の手で、何千万という命が弄ばれることだろう。

 そしてその先に、神の声はいずれフォーレンとやらを復活させて、この世界をぶっ壊しちまう。


 しかしそう考えると、聖神教で世界の終わりに現れるドラゴンだと言い伝えられているアポカリプスに進化したのは、あんまり縁起がいいとは言えねぇな。

 迷信に踊らされて進化先変えるような猶予はなかったわけだが、俺の代でフォーレンの封印を解くようなことになっちまったら現実になっちまうわけだ。


 とりあえず、ステータスを見てみるかな。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

〖イルシア〗

種族:アポカリプス

状態:通常

Lv :1/175

HP :363/2979

MP :358/2411

攻撃力:2575

防御力:1421

魔法力:1697

素早さ:1651

ランク:L+(伝説級上位)


神聖スキル:

〖人間道:Lv--〗〖修羅道:Lv--〗〖餓鬼道:Lv--〗

〖畜生道:Lv--〗〖地獄道:Lv--〗


特性スキル:

〖竜の鱗:Lv9〗〖神の声:Lv8〗〖グリシャ言語:Lv3〗

〖飛行:Lv8〗〖竜鱗粉:Lv8〗〖闇属性:Lv--〗

〖邪竜:Lv--〗〖HP自動回復:Lv8〗〖気配感知:Lv7〗

〖MP自動回復:Lv8〗〖英雄の意地:Lv--〗〖竜の鏡:Lv--〗

〖魔王の恩恵:Lv--〗〖恐怖の魔眼:Lv1〗〖支配:Lv1〗

〖魔力洗脳:Lv1〗〖胡蝶の夢:Lv--〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv6〗〖落下耐性:Lv7〗〖飢餓耐性:Lv6〗

〖毒耐性:Lv7〗〖孤独耐性:Lv7〗〖魔法耐性:Lv6〗

〖闇属性耐性:Lv6〗〖火属性耐性:Lv6〗〖恐怖耐性:Lv5〗

〖酸素欠乏耐性:Lv6〗〖麻痺耐性:Lv7〗〖幻影無効:Lv--〗

〖即死無効:Lv--〗〖呪い無効:Lv--〗〖混乱耐性:Lv4〗

〖強光耐性:Lv3〗〖石化耐性:Lv3〗


通常スキル:

〖転がる:Lv7〗〖ステータス閲覧:Lv7〗〖灼熱の息:Lv7〗

〖ホイッスル:Lv2〗〖ドラゴンパンチ:Lv4〗〖病魔の息:Lv7〗

〖毒牙:Lv7〗〖痺れ毒爪:Lv7〗〖ドラゴンテイル:Lv4〗

〖咆哮:Lv3〗〖天落とし:Lv4〗〖地返し:Lv2〗

〖人化の術:Lv8〗〖鎌鼬:Lv7〗〖首折舞:Lv4〗

〖ハイレスト:Lv7〗〖自己再生:Lv6〗〖道連れ:Lv--〗

〖デス:Lv8〗〖魂付加フェイクライフ:Lv6〗〖ホーリー:Lv5〗

〖念話:Lv4〗〖ワイドレスト:Lv5〗〖リグネ:Lv5〗

〖ホーリースフィア:Lv5〗〖闇払う一閃:Lv1〗〖次元爪:Lv7〗

〖ミラージュ:Lv8〗〖グラビティ:Lv8〗〖ディメンション:Lv8〗

〖ヘルゲート:Lv6〗〖グラビドン:Lv8〗〖ミラーカウンター:Lv8〗

〖アイディアルウェポン:Lv9〗〖ワームホール:Lv1〗〖カースナイト:Lv4〗

〖リンボ:Lv4〗〖ディーテ:Lv4〗〖コキュートス:Lv4〗

〖終末の音色:Lv--〗


称号スキル:

〖竜王:Lv--〗〖歩く卵:Lv--〗〖ドジ:Lv4〗

〖ただの馬鹿:Lv1〗〖インファイター:Lv4〗〖害虫キラー:Lv8〗

〖嘘吐き:Lv3〗〖回避王:Lv2〗〖チキンランナー:Lv3〗〖コックさん:Lv4〗

〖ド根性:Lv4〗〖大物喰らいジャイアントキリング:Lv5〗

〖陶芸職人:Lv4〗〖群れのボス:Lv1〗〖ラプラス干渉権限:Lv8〗

〖永遠を知る者:Lv--〗〖王蟻:Lv--〗〖勇者:LvMAX〗

〖夢幻竜:Lv--〗〖魔王:Lv6〗〖最終進化者:Lv--〗

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 やはり思った通りだ。

 魔法力が若干低く、その分、攻撃力、防御力、速さに長けたステータスになっている。

 だが、魔法力が極端に低いわけでもない。

 魔法スキルを決定打にはし難くなったが、今までの主戦法であった、遠距離スキルで牽制して近づいてぶん殴るのに適したステータスだといえる。

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