第557話
俺はリリクシーラ目掛けて〖次元爪〗を放つ。
「〖ホーリーウィング〗」
リリクシーラの背に、光の翼が生える。
俺の〖次元爪〗を先読みした様に動き、螺旋状の軌道を描きながら自在に飛び回り、紙一重で躱していく。
浮遊魔法〖フロート〗を補佐する魔法、とでもいったところか。
人間の身で、俺の〖次元爪〗を避ける奴がこうも何人も出て来るとは思わなかった。
俺はリリクシーラへの距離を詰めながら、奴を〖ステータス閲覧〗で確認する。
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〖リリクシーラ・リーアルム〗
種族:アース・ヒューマ
状態:クイック(大)
Lv :100/140
HP :887/1241
MP :958/1615
攻撃力:942+76
防御力:666+98
魔法力:1557+110
素早さ:951
装備:
手:〖聖国の権杖:A-〗
体:〖聖国の祭服:A-〗
神聖スキル:
〖餓鬼道:Lv--〗〖畜生道:Lv--〗
特性スキル:
〖神の声:LvMAX〗〖光属性:Lv--〗〖グリシャ言語:Lv7〗
〖魔術師の才:LvMAX〗〖気配感知:Lv8〗〖忍び足:LvMAX〗
〖光の衣:Lv--〗〖真理の瞳:Lv--〗
耐性スキル:
〖物理耐性:Lv8〗〖魔法耐性:Lv9〗〖闇属性耐性:Lv9〗
〖幻影耐性:Lv9〗〖毒耐性:Lv7〗〖呪い耐性:LvMAX〗
〖石化耐性:Lv7〗〖即死耐性:LvMAX〗〖麻痺耐性:Lv7〗
通常スキル:
〖ステータス閲覧:LvMAX〗〖ハイレスト:LvMAX〗〖ハイケア:LvMAX〗
〖ホーリー:LvMAX〗〖ホーリースフィア:LvMAX〗〖ホーリースピア:LvMAX〗
〖念話:Lv9〗〖スピリット・サーヴァント:LvMAX〗〖フロート:Lv8〗
〖ハイクイック:Lv7〗〖ハイパワー:Lv7〗〖ミラーカウンター:Lv7〗
〖グラビティ:Lv7〗〖グラビドン:Lv7〗〖グラビリオン:Lv9〗
〖コンフュージュ:Lv6〗〖ミラージュ:Lv6〗〖ファイアスフィア:Lv6〗
〖魅了:Lv6〗〖スロウ:Lv6〗〖ディメンション:Lv6〗
〖ストーンカース:Lv6〗〖ホーリーウィング:Lv6〗〖メタモルポセス:Lv1〗
称号スキル:
〖選ばれし者:Lv--〗〖英雄:LvMAX〗〖聖女:LvMAX〗
〖魔獣王:Lv1〗〖白魔導士:LvMAX〗〖黒魔導士:Lv9〗
〖闘杖術:Lv9〗〖ちっぽけな勇者:LvMAX〗〖救護精神:LvMAX〗
〖狡猾:LvMAX〗〖嘘吐き:LvMAX〗〖ラプラス干渉権限:Lv5〗
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……なるほど、確かにかなりステータスが強化されている。
レベルは変わっていないが、各パラメーターは四割前後上がっているのではなかろうか。
これが神聖スキルを取り込んだことによる能力の上昇なのだろう。
スキルも以前からかなり増えている。
『だが……俺と戦うには、圧倒的にステータス不足だ。んなこと、とっくにお前にはわかってたんじゃねぇのか?』
俺は〖次元爪〗を躱すのに必死だったリリクシーラの背後へと回り込み、前脚を振り上げていた。
リリクシーラは俺へと振り返り、杖を向けて来る。
杖先には、眩い光が集まっていた。
「ここでそう来るのは、わかっていましたよ。〖ホーリスフィア〗!」
光の球体が俺へと飛来して来る。
俺はそのまま前脚を振り下ろした。
リリクシーラの〖ホーリースフィア〗が俺の爪で四散する。
体表に罅が入り、己の体液が飛び散ったが、大したダメージじゃなかった。
俺は力押しで、そのままリリクシーラに爪を立てて地面へと叩き落した。
彼女は背を崖の淵に打ち付けた。
ローブが大きく裂け、夥しい量の血が出ている。
〖ホーリースフィア〗のせいで力がやや相殺されたが、それでもリリクシーラにとっては大ダメージだったはずだ。
確かに彼女のステータスは大幅に向上した。
それに、リリクシーラが神聖スキルを二つ手にしたことで宿ったらしい額の魔眼の模様……アレは恐らく、俺の動きを先読みしている。
〖ハイクイック〗の力もあり、一番致命的な速度の不利を最小限に抑えに来ている。
だが、それでもまだ、遠く及ばない。
ここまでやって、せいぜい魔法特化のエルディアといったところだ。
『……こうなるって、わかってなかったのかよ?』
いや、わかっていたはずだ。
だからこそ、リリクシーラは、俺への盾としてハウグレーを使い倒して行動を阻害し続け、アルアネによってアロ達を奪って精神的なアドバンテージを稼ぎに来る作戦だったはずだ。
しかし、ハウグレーはヴォルクが引き受けてくれている。
アルアネだって、アロやトレントが何とかしてくれたはずだと、俺はそう信じている。
何にせよ、この場にハウグレーとアルアネが駆けつけられていない時点で、リリクシーラの計画は破綻したも同然なのだ。
「ええ……わかって、いましたよ。だから、ほら……」
リリクシーラが息を荒げながら、俺へとまた杖を向ける。
背に、異様な気配を感じ取った。
尻目に、巨大な顔岩が浮かんでいるのが見えた。
こいつは……!
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種族:クレイガーディアン
状態:スピリット
Lv :85/85(MAX)
HP :785/785
MP :225/225
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しくじったか。
クレイガーディアンは、レベル最大の〖忍び足〗を持っていた。
元々、無生物を装って自爆する厄介な奴だった。
俺が気が付いたときには、既に顔面に罅が入っていた。
奴のお得意技〖ダイレクトバースト〗の前兆だった。
リリクシーラは自身を囮にして俺の気を引き、〖スピリット・サーヴァント〗で俺の背後にクレイガーディアンを呼び出したのだ。
よくこんな、自分の命をギリギリまで賭けた攻撃に出て来られたものだ。
エルディアが死んで枠が空いた後に、完全に一発攻撃を叩き込むためだけに、〖クレイガーディアン〗を〖スピリット・サーヴァント〗にしていやがったんだ。
避ける間もなく、〖ダイレクトバースト〗の爆発が俺の身体を貫いた。
今気づいたが……こいつの爆発技は恐らく、防御力や装甲への貫通効果を持っていやがる。
体表がぶっ飛ばされ、肉が焼かれるのを感じる。
「〖ホーリースフィア〗!」
ここぞとばかりに、リリクシーラは血塗れの身体を起こし、再度俺へと光の塊をぶつけて来た。
〖ダイレクトバースト〗で体表を剥がされたところに、〖ホーリースフィア〗の聖なる光が染みる。
リリクシーラは……大した奴だ。
本気でまだ俺を倒すつもりでいやがる。
ここまで来て、俺に有効打を叩き込んでくるなんて思ってもいなかった。
確かにここに俺では対処困難なハウグレーがいて、アルアネと奴に操られたアロ達がいれば、きっと俺は敗れていた。
だから、結局はきっと、俺とリリクシーラの差は仲間の差だったのだろう。
『この程度、俺にとっては大したものじゃねえよ。奥の手がそれだったっていうのなら、もう終わらせるぞ、リリクシーラ』
俺は血塗れのリリクシーラへと、前脚を振り上げた。
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