第490話
俺はアロ、トレントさん、アトラナート、黒蜥蜴、ヴォルク、マギアタイト爺を連れ、山を登った。
目的は、クレイガーディアン共の奥地に何が隠されているのかの確認だ。
藪を突いて蛇を出すことにはなりかねないが、やはりリリクシーラとの戦いで不確定要素を残しておきたくはない。
山を登るにつれて、やはり霧がだんだんと濃くなっていく。
……前にそれなりに登った時も霧の正体は見つけられなかったが、この段階で既にそれなりに霧が深いことを思えば、やはりこの霧の主はシンよりも強力な存在なんじゃなかろうかと推測できた。
裸の大地に、歪んだ形の葉のない木が並ぶ殺風景な道を、淡々と登っていく。
そしてぞわりと、寒気が走った。
俺の〖気配感知〗が、覚えのある魔力を捉えたのだ。
霧に二つの大きな影が浮かび上がり、奴らが姿を現した。
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種族:クレイガーディアン
状態:通常
Lv :85/85(MAX)
HP :785/785
MP :225/225
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種族:クレイガーディアン
状態:通常
Lv :85/85(MAX)
HP :785/785
MP :225/225
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浮かび上がったのは、二つの大きな顔岩である。
ウロボロス時代には奴らに散々苦しめられたものだ。
なかなかダメージが通らずに肉弾戦を強いられた上に、スキルでこちらの動きを縛ってから自爆魔法の〖ダイレクトバースト〗を喰らわせられた。
アロ達のレベリングを行っておきたかったが……〖ダイレクトバースト〗の事故は怖い。
A級モンスターであり体力特化型ドラゴンであるウロボロスの俺でも死にかけたくらいだ。
奴らは、即効で仕留めさせてもらう!
俺は口を開き、〖グラビドン〗の黒い光を溜める。
近づいてもやらねぇ、間合いを保ったまま吹き飛ばしてやる。
ウロボロスの間はクレイガーディアンの防御力の前には地道に殴って打点を稼ぐしかなかったが、今の俺の〖グラビドン〗ならば、奴のHPが倍以上あっても一撃で破壊することができる。
二体のクレイガーディアンが浮かび上がり、左右に分かれて飛んだ。
奴らの目が、赤い光を帯びる。
来る! 超射程スキル、〖熱光線〗だ!
幸い目は俺の方へと向けられている。
俺の〖グラビドン〗をどうにか止めようという算段だろう。
下手に避ければ、熱線の射程にアロ達が入りかねない。
俺はその場に留まり、攻撃を受けた。
四本の熱線が、俺の肩から胸部に掛けて移動する。
砂漠で俺を散々苦しめてくれたクソスキル〖熱光線〗は、放射し続けている間の持続ダメージがある。
さすがに直撃をもらうのは舐め過ぎだったかとも思ったのだが……。
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〖イルシア〗
種族:オネイロス
状態:通常
Lv :85/150
HP :3548/3581
MP :3694/3694
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……なんだ、こんなもんか。
これくらいじゃ、俺はビクともしねぇな。
俺の今のステータスは【防御力:1634】ある。
B+級程度だと、攻撃特化型じゃねぇとまともにダメージを通すのは不可能だな。
「グゥオオッ!」
俺はグラビドンの黒球を放った。
右側を飛んでいたクレイガーディアンに直撃する。
土塊の身体が黒球の中央に引き寄せられ、全身が満遍なく圧迫されているかの様に押し潰されていく。
変形し、罅が入り、クレイガーディアンが粉々になった。
【経験値を3400得ました。】
【称号スキル〖歩く卵Lv:--〗の効果により、更に経験値を3400得ました。】
【〖オネイロス〗のLvが85から89へと上がりました。】
やはりクレイガーディアンの経験値は美味しい。
B+の最大レベルというだけはある。
左側を飛んでいたクレイガーディアンの口が動き、口内に黒い光が渦を巻いていく。
俺と同じく〖グラビドン〗を撃ってくるつもりらしい。
よく同じ土俵で勝負しようと思えたものだ。
奴は移動速度が遅いため遠距離スキルを使うしかなく、〖熱光線〗が利かなかったことは確認済みであるため、当然と言えば当然だが。
しかし、わざわざ射出を待ってやるつもりはない。
俺は腕を振るい、〖次元爪〗をクレイガーディアンへ叩き込んだ。
右払いの一撃目、左に戻す二撃目、そして振り下ろす三撃目!
クレイガーディアンの土塊の身体が地へと叩きつけられ、縦に大きく罅が入った。
【経験値を3400得ました。】
【称号スキル〖歩く卵Lv:--〗の効果により、更に経験値を3400得ました。】
【〖オネイロス〗のLvが89から92へと上がりました。】
【通常スキル〖次元爪〗のLvが6から7へと上がりました。】
【通常スキル〖アイディアルウェポン〗のLvが6から7へと上がりました。】
【通常スキル〖ヘルゲート〗のLvが2から4へと上がりました。】
……レベルアップボーナスなのか、スキルのレベルが上がっていく。
まだ素早い相手には難しいかもしれないが、最初の頃に比べて〖次元爪〗の精度は順調に上がっている。
夢の剣を造り出す〖アイディアルウェポン〗も、B級の武器〖大厄刀〗が限界だったが……スキルレベルが上がった今なら、もう少し上の武器もひょっとして作ることができるのだろうか?
……で、いるんだろ?
気配でわかってんだ。あの二体のすぐ背後に控えてたっていうのはな。
俺があの土の守護者共を瞬殺しちまったんで、出て来る機会を逃したらしいな。
俺は霧の奥を睨む。
霧にぼんやりと、巨大な凹凸と、そこから伸びるひょろ長い五本の脚の影が映り込んでいた。
前回俺が逃げ出した化け物〖シュブ・ニグラス〗だ。
だが、今は互角以上に戦える。
俺はしばらくその影と睨み合っていたが……ふっと、その影が消えた。
俺は思わず周囲を見る。
な、なんだ? 逃げたのか?
俺が〖幻影無効〗を持っている以上、姿を何らかの術で晦ましたとは考えづらい。
瞬間移動の類かと思ったが、周囲にも姿がない。
単純に距離を置いた、としか考えられない。
もっとも、地中に潜った可能性もないわけではないが……。
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