第194話
「グゥォオオオッ!」
四足で砂漠を駆け、獲物への距離を詰める。
標的は三つ首のラクダ、モータリケメルである。
あいつ、普通に美味しいんだよな。
いつかピペリスを掛けて喰ってみたい。
「ノグェッ! ノグェッ!」
よったよったと三つ首ラクダが逃げる。
三つ首ラクダの素早さは俺の十分の一程度である。
〖転がる〗を使うまでもない。
走っている内に、身体の変化にも慣れてきた。
元々、厄病竜と体格はそこまで変わらない。せいぜい腕の長さくらいだ。
そういう意味では大丈夫だな。
「グァァッ! グァァッ! グァァッ!」
……ただ、俺の横の頭が煩い。
吠えるだけならまだしも、ぶんぶん首動かしやがる。
走り辛いから本当に勘弁してほしい。
ひょっとしてコイツ、赤ちゃん状態なんじゃなかろうか。
これ、大丈夫だよな?
かなり足引っ張られそうな気がするんだけど。
俺は走りながら、身体を思いっ切り横に倒してもう一つの頭を地に叩き付けてやった。
頼むから大人しくしててくれ。
当たり前かもしれないが、俺も痛かった。
「グァァ……」
とりあえずは暴れなくはなった。
俺は三つ首ラクダの背に、前足の鉤爪を打ちつける。
三つ首ラクダは、血を噴出しながら砂地の上に倒れる。
【経験値を27得ました。】
【称号スキル〖歩く卵:Lv--〗により、更に経験値を27得ました。】
【〖ウロボロス〗のLvが1から5へと上がりました。】
三つ首ラクダでもこれだけ上がるんだよな。
低レベルの内は上がり易いから、赤蟻狩りが上手く行けば一日でLv40くらいは十分狙えそうだ。
今までの経験上、前回の進化の最大Lvくらいまではすぐに持っていける。
とりあえず、どれくらいステが上がったのか見てみるか。
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〖イルシア〗
種族:ウロボロス
状態:通常
Lv :5/125
HP :419/424
MP :430/430
攻撃力:253
防御力:204
魔法力:256
素早さ:250
ランク:A
特性スキル:
〖竜の鱗:Lv7〗〖神の声:Lv4〗〖グリシャ言語:Lv3〗
〖飛行:Lv7〗〖竜鱗粉:Lv7〗〖闇属性:Lv--〗
〖邪竜:Lv--〗〖HP自動回復:Lv8〗〖気配感知:Lv5〗
〖MP自動回復:Lv6〗〖双頭:Lv--〗〖精神分裂:Lv--〗
耐性スキル:
〖物理耐性:Lv5〗〖落下耐性:Lv6〗〖飢餓耐性:Lv5〗
〖毒耐性:Lv5〗〖孤独耐性:Lv6〗〖魔法耐性:Lv4〗
〖闇属性耐性:Lv4〗〖火属性耐性:Lv3〗〖恐怖耐性:Lv3〗
〖酸素欠乏耐性:Lv4〗〖麻痺耐性:Lv4〗〖幻影耐性:Lv3〗
〖即死耐性:Lv2〗〖呪い耐性:Lv2〗
通常スキル:
〖転がる:Lv7〗〖ステータス閲覧:Lv7〗〖灼熱の息:Lv5〗
〖ホイッスル:Lv2〗〖ドラゴンパンチ:Lv3〗〖病魔の息:Lv6〗
〖毒牙:Lv7〗〖痺れ毒爪:Lv6〗〖ドラゴンテイル:Lv2〗
〖咆哮:Lv2〗〖星落とし:Lv2〗〖くるみ割り:Lv3〗
〖人化の術:Lv7〗〖鎌鼬:Lv3〗〖首折舞:Lv4〗
〖ハイレスト:Lv3〗〖自己再生:Lv5〗〖道連れ:Lv--〗
称号スキル:
〖竜王の息子:Lv--〗〖歩く卵:Lv--〗〖ドジ:Lv4〗
〖ただの馬鹿:Lv1〗〖インファイター:Lv4〗〖害虫キラー:Lv4〗
〖嘘吐き:Lv3〗〖回避王:Lv2〗〖救護精神:Lv9〗
〖ちっぽけな勇者:Lv6〗〖悪の道:Lv7〗〖災害:Lv7〗
〖チキンランナー:Lv3〗〖コックさん:Lv4〗〖卑劣の王:Lv6〗
〖ド根性:Lv4〗〖大物喰らいジャイアントキリング:Lv3〗〖陶芸職人:Lv4〗
〖群れのボス:Lv1〗〖ラプラス干渉権限:Lv1〗〖永遠を知る者:Lv--〗
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お、さすがAランク。
結構がっつり上がってるな。
この調子でどんどん上げていきたいもんだ。
さてと、ラクダを持ってとっとと帰るとするか。
俺は血塗れのラクダを咥え、身体を翻す。
「グァァッ!」
また相方が急に吠えた。
何かと思えば、パァッと光が出てきた。
相方の頭部を覆い、顔にできていた掠り傷が塞がっていく。
……勝手に〖ハイレスト〗使いやがったな。
ちょっと頭擦っただけじゃねぇか。そんくらいすぐ回復するぞ。
なんのための〖HP自動回復〗だと思ってやがる。
しかし、勝手に魔力使われるのはちょっと困りもんだな……。
〖MP自動回復〗もあるから、そんな酷いことにはならんはずだが。
コイツ、何も考えてなさそうだしな。
絶対RPGでも上級魔法覚えたらそれしか使わなくなるタイプだろ。
MP節約とか絶対しないだろ。
ん……?
そういやツインヘッドって、頭によって使えるスキルが違ったよな。
いや、あれはお互いの役割を明文化するために敢えてそうしていただけという線も……。
ちょ、ちょっと試しにやってみるか。
「グォォオッ!」
俺は咥えたラクダを置いてから頭を上に向け、〖ハイレスト〗を使った。
見事に何も起きなかった。
思わず、俺は相方を凝視した。
「グァ?」
『なんか用?』とでも言いたげな相方。
すぐに俺から興味を失ったらしく、遠くを見ながらコキコキと首を回す。
マジかよ……俺の回復魔法、この何も考えてなさそうな馬鹿頭に持っていかれたのかよ……。
最悪じゃねぇか。
どうすんだよ。この種族選んだ利点、相方に全部持っていかれたぞ。
〖自己再生〗があるから自分の回復はできるだろうけど、万が一玉兎やアドフが大怪我負ったらコイツに土下座しなきゃいけねぇ。
一応試しに〖病魔の息〗と〖灼熱の息〗を使ってみる。
こっちは普通に使うことができた。
良かった。
この二つのスキルを戦術に組み込めるのは大きいという意味合いもあるが、それよりも相方が勝手に〖病魔の息〗を散布し続ける心配がないと知ってほっとした。
コイツならやりかねない。
「グゥァ……?」
『何やってんのお前?』みたいな目で見られたが、お前のせいでこっちは大騒ぎしてるんだからな。
他人事みたいな顔してるんじゃねぇよ。
これ、相方が危ないスキル覚えたら最悪なんじゃねぇのか?
あの説明文によれば俺はこれから『神に背き、生命を冒涜するような魔法』を操るようになるはずなんだけど。
あっちの首捻って頭振ってる馬鹿がそんなもん覚えたらどうすりゃいいんだ。
なんかどんどん残念進化に思えてきたぞ。
ステだの性能云々以前に、相方が駄目な子過ぎる。
多分これ、赤蟻のがまだ賢いぞ。
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