第106話
とりあえず、玉兎を豹から引き離す。
焼いた方が美味いからいったん離れろって。
睨むな睨むな。
抵抗するな、爪が刺さるぞ!
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族:小玉兎
状態:通常
Lv :6/12
HP :10/31
MP :0/18
攻撃力:12
防御力:18
魔法力:25
素早さ:20
ランク:E-
特性スキル:
〖隠匿:Lv1〗〖食再生:Lv2〗
耐性スキル:
〖飢餓耐性:Lv4〗〖毒耐性:Lv1〗
〖過食耐性:Lv1〗
通常スキル:
〖穴を掘る:Lv2〗〖灯火:Lv2〗〖死んだ振り:Lv1〗
〖鞭乱舞:Lv1〗〖丸呑み:Lv1〗〖体内収集:Lv1〗
〖魅了:Lv1〗〖食い千切る:Lv1〗
称号スキル:
〖砂漠のアイドル:Lv2〗〖共喰い:Lv1〗〖寄生Lv上げ:Lv2〗
〖大喰い:Lv3〗
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
あれ、これまた中途半端なレベルだな……。
ランク格上だから、一気にLvMAXまで跳ね上がるか、実質闘ってねぇから0かのどっちかだと思ってたのに。
俺が〖歩く卵〗の経験値ドーピングあるから感覚違うのかもしんねぇけど、にしても全然上がってねぇな。
俺が初進化でFからDに跳んだ人だから、Eランクが進化する必要経験値の加減がわかんねぇっつうのもあるけど……。
ひょっとして〖寄生Lv上げ〗の称号のせいで、経験値が減少してんのか?
まぁ経験値ってぐらいだし、実際先々役立つ経験を積んだかどうかが大事なのかもしれねぇな。
その点からいわば、格上とは闘ったけど瀕死で動けない敵を喰いちぎっただけなわけで、これくらいが妥当なところか。
いや、むしろこれだけ経験値入ったのがありがてぇくらいだな。
Dランクまでは持っていけそうだが……でも、そっからはちっと、この調子だと厳しそうか。
次の進化で、俺の家掘ってくれるくらいデカくなってくれればいいんだけど。
自分のサイズよりもでかいサソリに嗾け、寝てる間にボディプレスで潰しかけ、唾液でベタベタにしたの三連コンボのせいで好感度が死んでそうなんだけど、俺の家作ってくれるよな?
とりあえず、玉兎から引き離した豹の解体作業に入る。
頭部と臓物、皮の部分の取り除いて喰いやすい部分だけ掻き集めて持ち運びやすいようにし、腕に抱える。
なんか、こういう作業もすっかり慣れちまったもんだな。
そのうち〖肉解体〗、〖精肉〗みたいなスキル生えてきそう。
残りは砂漠に捨てて行くつもりだったんだが、玉兎が余った内臓に喰らい付いていた。
こいつ、喰えたらなんでもいいのか。
うわっ、自分よりデカイ頭部を丸呑みしやがった。
なかなかグロテスクだったぞ今の、夢に出そう。本当にどうなってるんだあいつの体内。
喰っても太らないタイプって次元じゃねぇぞ。亜空間にでも転送してるんじゃないのか。
俺の涎が滴る玉兎を頭に乗せ、海へと向かう。
やっぱ口に入れて転がるの楽だったな。
あれ、使っちゃ駄目? これから海入るし、ちょっとくらい汚れてもいいんじゃね?
俺の意思を読んだように、玉兎が両耳で俺の頭をぺちぺちと叩いてくる。
やっぱダメだよな、うん。
しばらく歩き、浜辺につく。
にしても海が横にあんのに、なんでこんな乾燥地帯なんだか……。
まぁ、魔法のある世界で前世の常識引っ張ってきても仕方ねぇんだろうけどさ。
でもそういや、川のある砂漠ってなんか聞いた覚えがあるな。確か、気流のせいで雨が降らねぇんだったか。
ここもそういう感じなんだろうか。
そういや、あんまし波とか来てねぇな。どうなってんだここ。
異世界の常識は置いといて、早速肉の調理に入るか。
とりあえず頭から玉兎を降ろす。
一枚だけ持ってきておいた豹の毛皮を置き、その上に切り分けた肉を並べる。これで砂がつくのは防げる。
浜辺に穴を掘り、手で掬ってそこに海水を溜めていく。
ある程度溜まったところで、〖灼熱の息〗を吹きかける。
水が蒸発し、塩だけが残る。ちょっと磯臭い。
もうちっと火加えたら臭い抜けるか?
いや、敢えて磯の香りを残してみるのもありかもしれねぇ。このまま行こう。
生肉の上に、磯の香りの残る塩をまぶす。
そして威力を抑えながら〖灼熱の息〗で熱を加え、両面の色が変わるのを待つ。
ミディアムくらい、中はまだ赤が残ってそうな程度で止める。これくらいが俺は好きだ。
固いけど、結構ありだな。
ピペリスがねぇから肉食獣独特の臭みがモロに来るのが難点だが。
虫喰ってた頃は臭いなんか全然気にならなかったのに、洞穴ライフが充実してたから舌が肥えちまったかな。
海水を追加で掛け、海の臭いで誤魔化すことにした。
これだともうちっと塩味あった方が良さげだし。次はもうちっと、薄めにした方がいいか。
一回塩漬けにしてから干して水分落とせば臭み取れっかな。ハーブで臭いを消そうと思っても、ここにはサボテンしかないわけで。、
なくなってからわかる、ピペリスのありがたみ。
【称号スキル〖コックさん〗のLvが3から4へと上がりました。】
お、久し振りにこれ上がったな。
いつか人型になったら、このスキル活かせるといいんだけど。
色々改善を加え、肉を焼いていく。
匂いにつられ、水浴びをしていた玉兎がフラフラと戻ってきた。
濡れた耳を引き摺るから、めっちゃ砂ついてやがる。
ま、そのうち落ちるか。気にしてたらキリがねぇわ。
すんすんと鼻を鳴らし、俺を見上げて喰っていいかどうか、目で問うてくる。
目がきらっきら光ってやがる。
やっぱ飯だけ用意しとけば、いくらでも機嫌は取れそうだな。
これは移動方法に〖転がる〗視野だわ。
あれが一番手っ取り早いし、玉兎が怒ったらまた肉に塩振って喰わせたら機嫌取れることがわかっちまったわけだし。
……とか考えてたら、めっちゃジト目で睨んできやがる。
肉喰いながら睨んできやがる。
なんだ? 別に玉兎、〖読心〗とかそういうスキルないよな? 俺、表情に出てる?
ま、まぁ、あの移動方法を取るのは緊急手段にするか。
あの大ムカデから追われることになったら、〖転がる〗で逃げる必要があるし。
俺単体ならステ差によっては返り討ちにできそうだけど、多分その場合、巻き込まれた玉兎が高確率で死ぬ。
豹肉を喰い終わったら海で唾液のついた頭を洗って、そっからまた玉兎のLv上げと、〖病魔の息〗の検証だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます