第102話
さて、まずは玉兎のLvが上がったかどうかの確認だな。
これでLvが最大になってたら、ちゃっちゃっと進化まで持ってけるんだけど。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族:手乗り玉兎
状態:通常
Lv :5/5(MAX)
HP :5/7
MP :0/6
攻撃力:2
防御力:3
魔法力:5
素早さ:3
ランク:F-
特性スキル:
〖隠匿:Lv1〗
耐性スキル:
〖飢餓耐性:Lv4〗
通常スキル:
〖穴を掘る:Lv1〗〖灯火:Lv2〗
〖死んだ振り:Lv1〗〖鞭乱舞:Lv1〗
称号スキル:
〖砂漠のアイドル:Lv1〗〖共喰い:Lv1〗
〖寄生Lv上げ:Lv1〗
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
おうおう、上がってる上がってる。
〖灯火〗のスキルLvも上がってんじゃねぇか。
〖鞭乱舞〗のスキルも増えてるし。
……名前格好いいけどこれ、耳でぺちぺちする奴だよな?
このスキルで闘えるのか?
……まぁ、それはいいとして、なんか変な称号スキル増えてんだけど。
〖寄生Lv上げ〗って……多分これ、あんまし上げちゃ駄目な奴だよな。
なんかペナルティーでもあんのか?
でも手助けしねぇと、Lvの上げようがねぇしなぁ……。
玉兎はぐぅっと背伸びをし、身体と耳を引き摺ってサソリの死骸へと向かう。
何をする気かと思いきや、玉兎は大口を開け、サソリに齧りついた。
あれこれ動いてスキルまで使ったため、腹が減っていたらしい。止める間もなかった。
玉兎の歯はサソリの鎧を喰い破れはしなかったものの、俺が爪で切った隙間からサソリの肉を吸い出そうとしているようだった。
俺は一瞬呆気に取られたものの、素早くサソリの死骸を爪で掻っ攫い、遠くへとぶん投げた。
「ぺふっ!?」
玉兎は目でサソリを追い、がっかりしたように上げた目線を地へと落とす。
いや、あいつ、毒持ちだからな!
お前のHPで毒なんかくらったら本格的に死ぬからな!
飢えた経験が長そうなだけあって、かなりの悪食気質らしい。
毒とわかって好んで喰ってる黒蜥蜴の悪食っぷりには勝てねぇだろうけども。
毒、なってねぇよな?
一応確認しとくか。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族:手乗り玉兎
状態:毒(微小)
Lv :5/5(MAX)
HP :5/7
MP :0/6
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
きっちり毒もらってんじゃねぇか!
「べぷぅっ!」
玉兎は一声鳴くと、げぇげぇと今食べた肉片やら体液を吐き出していく。
俺は爪で刺さないよう気をつけながら、指で玉兎の背を撫でる。
まぁ、あいつの毒そこまで強くなかったし……喰ったのも少量だし、口から吐けるから問題ないだろ。
むしろ耐性がつく。俺はその根性で今まで生きてきた。
毒が落ち着いた頃には、HP2と引き換えに、玉兎は〖毒耐性〗を手に入れていた。
こいつのHPだと、2でも命懸けなんだけどな。
もう残りHPが3しかねぇぞ。
いつも思うことだけど、俺が回復魔法覚えてたらもっと楽だったのになぁ……。
次は回復魔法特化の進化がいいな。
MP量が多くて人化持続時間が長くて、そんで回復型だな。目標が定まってきた。
回復特化に変なドラゴンはいねぇだろ。そう思いたい。
早速進化してほしいところなんだが、なかなかその素振りを見せない。
よほど疲れているらしく、地面の上でぐったりしている。
あの~HPもMPも空っぽだからしんどいのはわかるけど、先に進化してもらえねぇかな、ほら。
LvMAXなのに、なんで進化しねぇんだ?
ぐぅっと、小さく腹の音が聞こえてきた。
さっきサボテン腹いっぱい喰ってたはずなのに、もう腹減ってんのか……。
しょうがねぇ、先にこいつに何か喰わせてやるか。
また頭に玉兎を乗せ、さっきのサボテンがあるところまで戻る。
食べやすいよう、サボテンを爪で切り裂いて辺りにブチ撒ける。
思えばさっきここに来たときは俺の食べ残ししかなかったから、喰いたいだけは喰えてなかったっつー説もあるな。
ひょっとしたら、この体型に似合わず大飯喰らいなのかもしれねぇ。
俺の予想を肯定するように、玉兎はもの凄い勢いでサボテンの中身を喰い荒らしていく。
食い意地張りすぎじゃね?
ま、まぁ、仕方ねぇか。
なんせF-ランクで〖飢餓耐性:Lv4〗まで持ってっからな。
共喰い疑惑まであるし、よっぽど壮絶な生活を送ってきたんだろう。
喰えるうちに喰って、喰えないときに備える性質でもあるのかもしれねぇ。
豚にそういう習性があるって俺聞いたことあるぞ。
結局、玉兎は俺が切った分を全部喰い尽くしやがった。
マジかよ。つーか、体型変わってきてんじゃねぇか。どんだけ喰うんだよ。
まぁ、これで満足したろ。
玉兎は身体と耳を引き摺って、俺の傍へと寄ってくる。
「ぺふっ! ぺふっ!」
……なんか必死に俺に訴えてるみたいだけど、ひょっとしてまだ喰い足りねぇのか?
これ以上こいつの小っちゃい身体にサボテンが入るんだろうか。
本当にこのまま喰わせてていいのか?
身体壊すんじゃねぇのか? 自力で歩けなくなるんじゃねぇのか?
称号スキル〖砂漠のアイドル〗持ってたけど、サボテン喰い散らかして激太りするアイドルがどこにいるんだよ。
ブログ炎上ってレベルじゃ済まねぇぞそれ。
色々不安に思いつつも、俺はサボテンを切り刻む。
その欠片を、玉兎は次々に喰らっていく。
すげぇな、明らかにあいつの質量以上喰ってるぞ。腹の中どうなってんだ。空間魔法的な奴か。
こうなったらもう、玉兎がどこまで喰えるか、徹底的に試してみるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます