第86話
黒蜥蜴を背に乗せて歩き、俺は洞穴を目指す。
黒蜥蜴や猩々が〖竜鱗粉〗によってどの程度の影響を受けるのか、それはわからない。
実際暮らしてみて、悪影響がありそうだったら一人で出るか……いや、悪影響が出てからだったら、手遅れになるんじゃねぇのか?
……あんまし頼りたくはねぇけど、猩々と会ったら〖神の声:Lv4〗のシミュレーション能力で確かめてみるか?
鵜呑みにするわけじゃねぇっつうか、本当はあんなもん使いたくもねぇが。
あくまで、一つの参考として使おう。
崖淵までついて、さて飛んで越えようかと翼を広げかけたとき、嫌な気配を感じた。
恐らく厄病竜に進化したときに得た、〖気配感知:Lv2〗の力だろう。
感知を辿れば、水溜りのような何かが、地を這って移動しているのが見えた。
しばらく前に俺が洞穴周辺で見た、〖ステータス閲覧〗に失敗したスライムらしきモンスターだ。
認識を阻害するスキルでも持っているのか、〖気配感知〗に引っ掛かるまでまったく気づけなかった。
ひょっとすると奴は、今までも俺の周辺をうろついていたのだろうか。
スライムが、真っ直ぐに移動していく。
まさか、村を目指しているのか?
ひょっとすると、こいつがドーズを操っていたのではないだろうかと、俺はそう考えていた。
俺が〖ステータス閲覧〗に失敗したのは、ドーズやマハーウルフの状態異常を除けば、あの妙なスライムだけだからだ。
はっきり根拠と言えるものはそれだけだ。
だが、後はあいつから感じる嫌な気配が、その説を裏付けている。
このタイミングで村の方向へ移動しているということもまたきな臭い。
「キシッ?」
俺の背に乗る黒蜥蜴が、急に動きを止めた俺を疑問に思ってか、声を掛けてくる。
俺は、スライムのステータスを確かめる。
これで白黒ははっきりするはずだ。
あれから俺の〖ステータス閲覧〗もLv5まで上がったわけだし、詳しく見ることができるかもしれねぇ。
無理でも、怪しいもんくらいは見つかるはずだ。
【通常スキル〖ステータス閲覧:Lv5〗では、正確に取得できない情報です。】
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
譁�カ:フォルテ・スライム
隱マ縺:通*
N曚 :27/35
隆モ゜:148/148
玄d\ :67/67
zノZy劉:88
フ・゜ネガ:77
癇ア現゛ウ:75
盈lヒ叢Z:68
Cv徐シ者:D
*****:
〖**道:Lv--〗
*****:
〖スラ*ムボ*ィ:Lv--〗〖忍*足:Lv--〗〖帯毒:Lv--〗
〖HP*動*復:Lv--〗〖*の声:Lv--〗〖亀の甲*:Lv--〗
〖*感知:Lv--〗〖グ*シャ言*:Lv--〗〖MP*動回復:Lv--〗
〖支*☆:Lv--〗〖魔力*脳☆:Lv--〗〖隠匿:Lv--〗
〖*三の目:Lv--〗〖魔法**信:Lv--〗〖*法波受信:Lv--〗
〖嗅*:Lv--〗〖剣*の才:Lv--〗〖衝撃殺し:Lv--〗
〖超再生:Lv--〗〖過回復:Lv--〗〖暗視:Lv--〗
*****:
〖物**性:Lv--〗〖魔*耐性:Lv--〗〖混乱*性:Lv--〗
〖**耐性:Lv--〗〖水属*耐性:Lv--〗〖孤*耐性:Lv--〗
〖落*耐性:Lv--〗〖*餓耐性:Lv--〗〖精**染耐性:Lv--〗
〖火属**性:Lv--〗〖木属性**:Lv--〗〖闇*性耐*:Lv--〗
〖呪術*性:Lv--〗〖*バフ耐性:Lv--〗〖催**性:Lv--〗
*****:
〖変*:Lv--〗〖スキル*イク:Lv--〗〖噛*つく:Lv--〗
〖衝*波:Lv--〗〖*炎斬:Lv--〗〖恫喝:Lv--〗
〖蜘**糸:Lv--〗〖*痺舌:Lv--〗〖毒毒:Lv--〗
〖硬化:Lv--〗〖受け流*:Lv--〗〖地獄鋏:Lv--〗
〖ス*ータ**覧:Lv--〗〖殻に**:Lv--〗〖ア**ンタックル:Lv--〗
〖スロウ:Lv--〗〖レスト:Lv--〗〖ライフド*イン:Lv--〗
〖膨張:Lv--〗〖自*再生:Lv--〗〖マナ*レ*ン:Lv--〗
〖転*る:Lv--〗〖黒霧:Lv--〗〖宝石の檻:Lv--〗
〖死の針:Lv--〗〖水*砲:Lv--〗〖鎧破り:Lv--〗
*****:
〖突**異:Lv--〗〖災害:Lv--〗〖卑*の王:Lv--〗
〖奪う*:Lv--〗〖魔王**鱗:Lv--〗〖狂*:Lv--〗
〖他力*願:Lv--〗〖人形*師:Lv--〗〖*面相:Lv--〗
〖死体喰*い:Lv--〗
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
頭を、焼けるような熱が襲う。
高密度の情報が流れ込んで来て知恵熱を起こした、みたいな、そんな感じがする。
ランクは変わってるが、やっぱり前と同じ奴だ。
あんなのが二匹もいて堪るかっつーの。
異常なほど多すぎるスキルに、〖魔法**信〗と〖*法波受信〗。
間違いない。
こいつが、マハーウルフとドーズを操ってやがったんだ。
〖魔法波送信〗と〖魔法波受信〗を持ってやがるのなら、遠隔でマハーウルフに指示を出せていたはずだ。
問題は、なぜまったく別種族のこいつがそんなスキルを持っているのか、だが。
ステータスは以前見かけたときと比べれば高いが、それでも猩々程度だ。
スキルが多すぎる上にスキルLvを確認できないのが不気味だから下手に干渉したくないが、そういうわけにもいかない。
奴は、明らかに村に向かっている。
それに、以前よりも格段とパワーアップしている。
前回会ったときに逃げずにこいつを倒しておけば、ドーズ騒動は起きなかったかもしれねぇ。
いや、今放置したら、後々もっと厄介なバケモノになる。
〖グ*シャ言*:Lv--〗〖剣*の才:Lv--〗
〖衝*波:Lv--〗〖*炎斬:Lv--〗〖恫喝:Lv--〗
間違いない。
この辺りのスキルは、ドーズの持っていたはずのものだ。
マハーウルフのスキルを持っていたことといい、こいつは多分、他者の持っているスキルを奪うスキルを持っていやがる。
今までを見るに他者を操るスキルも持っているはずだが、制限か、何かしらの条件があるはずだ。
弱いマハーウルフを使っていたことや、わざわざドーズに卵を運ばせていたことからも、それは明らかだ。
リトルロックドラゴンを操れるのならば、最初からそんなことをする必要がないのだから。
しかしどうにせよ、目的不明のバケモノであることには違いない。
それも、かなりヤバイ奴だ。
迎えに来てもらってなんだが、黒蜥蜴は先に戻ってもらおう。
俺は頭を下げ、黒蜥蜴を降ろす。
「キシ?」
俺は顔を、崖の方へ向ける。
先に戻ってくれ、と伝えたかった。
遠回りすれば崖は越えられる。
あの敵は、今までの奴とは明らかに何かが違う。
弱いか、強いか、それさえもまだはっきりとはわからない。
スキルを使って魔物を操ってこそこそ動いていたくらいだから、案外あんまし強くねぇのかもしれない。
ただ、滅茶苦茶強いか、滅茶苦茶弱いかのどっちかだ。
多分、そのどっちかだ。
人間に特に肩入れする想いもない黒蜥蜴を、こんな危ない闘いに巻き込むわけにはかない。
「ガァッ」
未だ状況が呑み込めずに混乱している黒蜥蜴に小さく鳴き、俺は首先をスライムへと向ける。
黒蜥蜴はそれでようやくスライムに気付いたようだった。
俺も多分、感知スキルがなかったら見逃していた。
今でも気が緩んだら見失っちまいそうだ。
「キシッ!」
黒蜥蜴は力強く鳴き、俺の背に飛び乗る。
俺の頭にまで登り、大口を開けて舌を伸ばし、臨戦態勢であることを俺にアピールする。
「ガァ……」
確認するように俺が鳴けば、黒蜥蜴は歯を噛み鳴らし、スライムを見据える。
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