第4話

 ダークワームを喰らい終えた俺は、自らのステータスを確認する。

 確かさっき、進化可能と出ていたはずだ。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種族:ドラゴンエッグ

状態:通常

Lv :5/5(MAX)

HP :5/9

MP :5/5

攻撃力:5

防御力:8

魔法力:3

素早さ:15

ランク:F


特性スキル:

〖卵の殻:Lv--〗

〖神の声:Lv1〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv1〗〖落下耐性:Lv2〗〖飢餓耐性:Lv1〗

〖毒耐性:Lv1〗〖孤独耐性:Lv1〗


通常スキル:

〖転がる:Lv2〗

〖ステータス閲覧:Lv1〗


称号スキル:

〖竜王の息子:Lv--〗〖歩く卵:Lv--〗

〖ドジ:Lv2〗〖ただの馬鹿:Lv1〗

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 上がってる上がってる!

 ステータス上がってるじゃん!

 俺のLVも最大になってんじゃん。


 Lvが上限いっぱいになったら進化できるってこったな。

 で、なんだ? どうやって進化すればいいんだ?


【進化先を表示しますか?】


 お、俺の思考に反応してか、言葉が脳裏にくっきりと浮かんでくる。


 陰湿で冷たい奴だと思ってたけど、意外と気が利くじゃん!

 頼んだ、俺は卵を脱するぞ!



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

【未来】

〖ベビードラゴン〗:ランクD-

〖リトルドラゴン〗:ランクD+

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

【現在】

〖ドラゴンエッグ〗:ランクF

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

【過去】

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 なんだこれは。

 〖ベビードラゴン〗、〖リトルドラゴン〗、どっちか好きな方を選べるということか?

 んなこと急に言われても、さっぱりわからんぞ。

 ランクにプラスがついてるから、リトルの方がいいのか?


【〖リトルドラゴン:ランクD+〗】

【小型種のドラゴン。とはいえドラゴンにしては小型というだけであり、そのサイズは熊よりも大きい。】

【火のブレス攻撃は冒険者達から恐れられている。】


 お、説明来た。

 なんだよ、今日は妙に優しいな。ツンデレのデレが来たか?

 そろそろ孤独死しそうだったから嬉しいぞ。


 肝心の〖リトルドラゴン〗だが……ふむ、良さげに見える。

 これでもう他のモンスターとも張り合えるんじゃないのか?

 まぁいい、もう片方も一応見せてくれ。


【〖ベビードラゴン:ランクD-〗】

【肉が柔らかく、食べると非常に美味。ソースがよく馴染む。】

【爪や牙も短く、戦闘力も低い。ただ潜在能力が高く、多種のドラゴンに分岐して進化する。】

【もっとも、そのほとんどが他のモンスターや冒険者に狩られてしまうが。】


 なにそれ切ない。

 序盤が食レポと化してんぞこれ。


 ないな、これはないわ。

 リトル安定だわ。こっちは明日を生きるのにもビクビクもんなんだよ。

 進化したら今までのように石になりきってモンスターに見逃してもらう作戦も上手く行かなくなるだろうし、まともな戦闘力を確保したい。


【強くなれ。】


 お? なんだ、今頭に文字が……〖神の声〗か?

 にしても、なんか今までとは異様というか……。


【強くなれ。】【強くなれ。】【強くなれ。】

【強くなれ。】【強くなれ。】【強くなれ。】


 え? え?


【目指すはただ一つ。】【頂上のみ。】

【それ以外は。】【変わり映えしない石ころ。】

【キミには。】

【期待している。】


 これ、神の声だよな?

 いったいなんで……。


【〖神の声〗がLv1からLv2に上がりました。】


 今? このタイミングで?

 Lvが上がると、途端に神の声は止まった。


 焦った、ビビった。

 ゲームでバグったときの気分だったわ完全に。ああいうのって、なんか異質な怖さがあるよな。


 どうしよ、やっぱりベビーの方にしとくか?

 神の声ちゃん完全に怒ってたし、そっちのがいいか。

 目に見えるモンスターより、ひたすら意思擦り込んでくるこっちのが遥かに怖い。


 目指すは頂上のみ、か。

 本当にそれが貫けるのなら、俺だってそうありたいもんだけどよ。


 ベビーでも今よりは強くなるだろうし……それならまぁ、確かに身を守るくらいは充分できると思うんだよな。

 外敵よりも、神の声に逆らう方が怖い気がする。

 それにまぁ……期待してるっていわれちゃうと、応えたくなっちゃうと言いますか。

 腹括るか。俺も、最強って響きに惹かれるものがないわけでもない。


 よし決めた、俺はベビードラゴンを選ぼう。

 来い来い、最後に決めたのは俺だ。後悔はしねぇぞ。


 決心した瞬間、俺を覆っている卵の殻がバキバキと割れていく。

 かなり身軽になった。


【特性スキル〖卵の殻:Lv--〗を失いました。】

【特性スキル〖竜の鱗:Lv1〗を得ました。】


【称号スキル〖竜王の息子:Lv--〗により、所持しているLv5未満の耐性スキルのLvが上昇します。】


 マジでか?

 それって結構チートなんじゃね?


【通常スキル〖ベビーブレス:Lv1〗を得ました。】

【通常スキル〖ホイッスル:Lv1〗を得ました。】

【通常スキル〖甘噛み:Lv1〗を得ました。】


 おいおい、順調にスキルも増えてくじゃん。

 でもなんかちょっと可愛らしいというか……役に立つんだよな、これ?


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種族:ベビードラゴン

状態:通常

Lv :1/25

HP :5/15

MP :5/5

攻撃力:6

防御力:5

魔法力:6

素早さ:10

ランク:D-


特性スキル:

〖竜の鱗:Lv1〗

〖神の声:Lv2〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv2〗〖落下耐性:Lv3〗〖飢餓耐性:Lv2〗

〖毒耐性:Lv2〗〖孤独耐性:Lv2〗


通常スキル:

〖転がる:Lv2〗〖ステータス閲覧:Lv1〗〖ベビーブレス:Lv1〗

〖ホイッスル:Lv1〗〖甘噛み:Lv1〗


称号スキル:

〖竜王の息子:Lv--〗〖歩く卵:Lv--〗

〖ドジ:Lv2〗〖ただの馬鹿:Lv1〗

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 これで大器晩成型の方の進化なのか?

 Lv1でこれとか、今までなんだったんだって話だぞ。

 まぁ、卵だったもんな。戦えただけ奇跡か。


 湖の近くに移動し、自らの姿を確認する。

 黄色い体表に、つぶらな瞳、ちょっと幼児体型気味でちっちゃい翼が申し訳程度に背中に生えている。

 おっ可愛いじゃん。

 でも特にスキルも増えてないし、まだ空は飛べんのだろうな。


 頑張って力を込めてみても、翼は揺れる程度にしか動かない。

 これからに期待ってこったな。


 目指すは頂上のみ、か。

 いいさ、全力で目指してやろうじゃねぇか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る