第22話 決心
羽島さんが泣き止み、帰りがけ。俺はこんなことを聞いてみた。
「羽島さん、今は上峯のことどう思ってるの……?」
羽島さんは、元気になったいつもの笑顔で言う。
「んー……。まだわたしの中で整理できてないしわかんないや」
羽島さんは少し恥ずかしそうな笑顔で言う。
羽島さんは、きっとまだ俺の事が好きじゃない。羽島さんにとって俺はまだ、ただのモブキャラだと思う。
でも、それじゃあ絶対に我慢できない。
俺が、この物語の主人公になりたいんだ。
これは、俺のラブコメだ。俺が主人公で、ただ真っ直ぐ進む物語だ。
かっこよくなる、俺が羽島さんの好きな人になる、俺が羽島さんを惚れされる。上峯になんて負けてられない。
「そっか」
俺は挑戦的に笑った。
✿
家に着き、鏡を見る。
顔にあるニキビ、中途半端に伸びた坊主頭、垢抜けない顔。
「これじゃあ……だめだな」
羽島さんは、あのかっこいい上峯が好きだったんだ。
今の俺じゃあ、羽島さんに相応しくない。
俺のかっこよくなる決意の瞬間だった。
✿
物語の結末は唐突にやってくる。でも、それと同時にまた新しいストーリーが始まるんだ。
そして、この物語も新たなステージへと進む。
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