第17話 決意

 俺はまさに絶望と形容される表情でベットに倒れ込んだ。ベットに倒れ込んだとたん、涙が溢れてきてしまう。

『私……好きな人がいるの』

 羽島さんの言葉がフラッシュバックする。

 冬の寒い空気が胸を刺す。

 好きな人に、好きな人がいる。それは、こんなにも辛いことなんだな。

 自然と、ぽろぽろと涙が出てくる。

 羽島さんには、好きな人がいた。もちろん、それは俺じゃなかった。

 羽島さんの話の内容としては、羽島さんに好きな人がいて、その相談を俺に乗ってほしい、ということだった。

 とんだ勘違いだった。

 羽島さんと少しはいい感じだと思ってたのに、羽島さんは全く俺のことなんて意識してなかった。それどころか、俺じゃない好きな人がいた。

 俺はこんなに想っているのに、相手は俺の事を全く見ていないで、他の人を見ている。

 初めて感じる片想いの辛さに胸が痛む。

 今日の朝まで羽島さんとのイルミネーションデートなんかの妄想していた自分が馬鹿らしい。

 思えば思うほど、辛い気持ちになる。ただ、とにかく大きな悔しさが俺の胸を覆う。

 あぁー。これからどうしような……。

 俺はベットにうつ伏せになりながら、考えていた。

 辛い気持ちの中でも、考えていてるのは……、もちろん羽島さんのことだった……。

 こんな時でも、羽島さんの笑顔が思い浮かぶ。かわいい羽島さんのことを考えてしまう。羽島さんの姿が脳裏から離れない。

 気持ちが、なくなっていない……。

 修学旅行のひょんなことから始まった俺の恋だけど、その想いはとても強いものだった。

 恋の痛みの中、俺はきっと胸の芯にある、強い気持ちに気付いた。

 俺は――、俺は、きっと――。

 俺は溢れる涙を気合いで止める。

 そして、暗闇の中で立ち上がる。

 俺は――きっと、まだ羽島さんのことが好きなんだ。

 かわいくて、明るくて、愛おしい。羽島さんがまだ好きなんだ。

 この気持ちは、羽島さんがで揺らがなかった。

 それだけ好きだった。それだけの恋なんだ。

 それに……、俺がまだ振られたわけでもない。好きな人がいたって、諦めなきゃいけないわけじゃない。

 可能性は低くても、諦めない権利はある。

 今の俺は、羽島さんの主人公じゃない。俺は羽島さんの恋愛物語の、モブキャラでしかない。

 そんなので、たまるか……。俺の恋がモブでたまるか。

 これは、俺が主人公の恋愛物語だ。

「負けない……!」

 まだこの恋は終わっていない。

 そんな想いを込めて、俺は暗闇に向かって力強く笑ってみせた。



 こうして、俺の物語はまた新しいステージへと進む。

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