物語を彩る、素敵な文が詰まっている、優しく悲しい冒険を予感させる物語

悲しみと同時に美しい冒険を予感させる、そんな素敵な物語です。
(現在最新話の1-7まで読了)

もっと多くの人に読んでもらわなければと思い、初めてレビューを書きました。



この物語の概要にはこう書かれています。

-------引用ここから-------
優しくも切ない、死の物語

先天性の色盲と戦争で足を失った少女「アネモネ」は、自分を育ててくれた機械人形の父を探すため旅に出る。
行く先々で出会うかつて人殺しだった機械人形たちとの優しくも切ない死の物語。
-------引用ここまで-------

そう、色盲の少女が主人公です。
ただそれと対比するかのような、彩りを感じさせる文章。直接的な色の表現ももちろんありながらも、文章全体から感じる彩りが素晴らしい。


こちらの小説は、たまたま私と同じ時間に投稿されていて、名前が一文字共通だったので目に付いたというだけの理由で読み始めたのです。

それがまさか初めてレビューを書きたい、いや、書かなければと思うようになるとは全く想像していませんでした。

この物語を読んで最初に感じたことが「綺麗」でした。ストーリー構成、物語を彩る色や情景、そしてそれを表現する文章力。素晴らしいです。

それと同時に嫉妬しました。
自分もこんな綺麗な物語を、綺麗な文章で綴りたい、と。悔しい。レビューを書くという使命感を感じさせるほどの物語を書かれてしまうとは。真似事とは言え、物書きをしている自分との差を、ありありと感じさせられてしまいました。

物語を読み進むほどに、ストーリーと文章の美しさで物語の世界観に引き込まれ、そして悲しみの予感に心が締め付けられます。

それでも、物語全体に滲み出る優しさ、彩り、そして冒険の予感。

現時点で、直接的な剣戟も銃撃も魔法も出ていません。戦闘というものが出てくるかどうかも不明です。

それでも「冒険」の予感がするのは、主人公たる色盲の少女の、悲しい結末を迎えるのでないかという旅が、彼女の成長へと繋がるのだろうという思えるからです。

「冒険」とは「成長」と「発見」の物語であり、彼女の旅はそうなるのだろうと予感し、そうなって欲しいと願って止まないのです。

続きを楽しみに待っています。

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褒めすぎているのではと自分でも思います。もっと綺麗な文章の物語はあるだろうと。例えば、三島由紀夫とかです。

ただ、それでもこの物語が、私の琴線に触れる何かが、文字の一つ一つから伝わってきたのでしょう。その何かが、自分自身あまり書く事がない、こんな感情的な文章を書かせているのかと思うと、それにもまた嫉妬してしまうのです。


※色覚障害という表現ではなく、あえて使われているであろう表現を原文ママ使用しています。