第二話 復讐の方法
アンネリアは悩んでいた。今までの人生で復讐など考えたことがなかったアンネリアは、どう復讐すれば効果があるのかがわかっていなかった。
(復讐……何をすれば良いのか。レンツィオ様とツィアーナの評判を悪くするためにも婚約中に浮気をされたと皆に言ってまわらないと)
*****
学園にて、アンネリアはさっそく浮気されたことを友人に話してまわった。
ある友人にはこう話した。
「婚約者であるレンツィオ様とツィアーナがお付き合いされているらくし、わたくし婚約を一方的に破棄されてしまいました」
数日後、別の友人にはこう話した。
「婚約者であるレンツィオ様とツィアーナに屈辱的なことをされましたの。わたくしを馬鹿にするように裏でこそこそ付き合ってましたのよ。わたくしもうどうしたらよいか……」
そしてさらに数日後、別の友人にはこうも話した。
「わたくし本当に苦しいんです。婚約者であるレンツィオ様とツィアーナがまさかわたくしを裏切って肉欲に溺れていただなんて。わたくしはゴミのように捨てられましたの。捨てられたわたくしは修道院に入らねばなりません」
アンネリアは婚約破棄について段々と大げさに言うようになっていた。晴れるどころか、
日に日にアンネリアの恨みは大きくなっていった。
そして、婚約破棄の話は幼馴染のミリアーノの耳にも入ってきていた。
「アンネリア!! 大丈夫か!? レンツィオとツィアーナに騙されて自殺未遂をしたと聞いたのだが」
ミリアーノはアンネリアの数少ない異性の友人であり、もっとも信頼している幼馴染である。
「ちょっと話が大きくなってるけれど大体は合っているわ。レンツィオ様がツィアーナと婚約するからと私は一方的に婚約破棄されてしまったの」
「それは残念だったね。でもアンネリア、つらいだろうが話が大きくなっているならキミが否定しないと」
「なぜ? 私を苦しめたんですもの。もっともっと評判が悪くなってもらわないと」
アンネリアは口角をあげながらそう言ったが、目は笑っていなかった。
「ちょっと待ってくれ、もしかして話を大きくしたのはアンネリアか? それは良くないことだよ。なによりいつものキミらしくない!」
「私らしいって何よ!? 私はもっと酷いことをされたのよ!! 私は悪役になったっていいの! そうだ、これから呪術師に頼んで呪いをかけてもらおうと思っているの。一緒に行かない?」
「待ってくれ。いつもの純粋で優しいキミに戻ってくれ……お願いだよアンネリア。お願いだよ」
ミリアーノは目に涙を浮かべながら懇願した。しかし、ミリアーノの必死な願いはアンネリアには届かなかった。
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