【完結】復讐してさしあげますわ そのためなら悪役令嬢にでもなりましょう ~婚約破棄された私は闇落ちした後に愛を知る~

新川ねこ

第一話 復讐の決意

「アンネリア、私はお前との婚約を破棄する」


 レンツィオから言われた突然の宣言にアンネリアは驚いた。


「え……。レンツィオ様、なぜですか!? 理由をお聞かせください。わたくしが何かしてしまったのでしょうか?」


「理由なんてなんだっていいだろう。 あるのは婚約を破棄するという事実だけだ。そもそも幼いころに親同士が決めた婚約。愛なんてないだろう?」


「ありますわ! 小さい頃からレンツィオ様と幸せな家庭を築くことを考えておりました。レンツィオ様は違うとおっしゃるのですか?」


「残念ながら違う。お前は私の何を知っている? きっと小さい頃から周りに私との結婚について言われているから意識しているだけだ」


「そんなことはございません!」


 アンネリアは目を真っ赤にしながら強く否定した。涙でレンツィオがぼやけて見えた。


「とにかくこれは決まったことだ。私の気持ちが変わることはない」


 アンネリアは下を向き、ただ泣き続けた。しばらく泣いた後、レンツィオに尋ねた。


「わたくしとの婚約を破棄したいというお気持ちは理解いたしました。ですがジェローム様、理由をお聞かせください。わたくしが何かしてしまったのでしょうか? 理由を聞かせていただくまではわたくし納得が出来ません」


 ジェロームは少し間を置いて理由を話した。


「最愛の女性が出来たのだ。私はその女性と婚約する」


「最愛の女性……ですか? その方はどなたなのですか?」


「男爵令嬢のツィアーナだ。彼女のことしか考えられなくなってしまった。彼女もそう言ってくれている。両想いなんだ」


(ツィアーナ、あの小動物みたいな女……。男に媚びるのだけしかとりえのない女)


「ツィアーナですか。確かに素敵な女性ですね。レンツィオ様のお気持ちが変わらないということはわかりました。婚約は破棄いたしましょう。ただし後悔はなさらないでくださいね?」


 アンネリアは満面の笑みでそう言った。相変わらずその目には涙がにじんでいた。


「ああ、後悔などしない。私は最愛の女性と幸せになるだけだ。わかってくれて感謝する」


「ええ、頑張ってくださいませ」


(婚約者だから体まで許したのに……愛していたのに。一方的に婚約破棄されるなんて。しかもあんな女を選んでわたくしを捨てるなんて……こうなったら復讐してさしあげますわ。そのためなら悪役令嬢にでもなりましょう。レンツィオ様にもツィアーナにも復讐よ。それしかないわ。ふふっ何をしてやろうかしら。今から楽しみね)

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