第6話 幻想を歌う獣(1)

 ひとまずカイロンの脅威が去り、庁舎に避難していた市民たちが港に移動を始めた。ギルバートや彼の仲間が誘導を買って出たこともあって、夜が明けるまでには避難が完了しそうだという。


「……父と、公爵様との密約だったそうです」

 アリスは私たちに、静かに真相を語った。

「発端は、ジュノー政府がシーバート家の秘密――カイロンを操る術――のことを知り、その秘密を明かすよう公爵様に迫ったことでした。当時のジュノーは、兵器としてカイロンを利用するため、カイロンに最大限の能力を発揮させつつ操ることのできる方法を模索していたのです。公爵様はこれ以上カイロンが争いに巻き込まれないよう要求を拒み、島は攻撃を受けました。公爵様は夫人や側近たちと共に自害されましたが、息子だけはと父に託したのです」


 アリスはそこで、シャノンを見た。彼はアリスの話を継いで口を開く。

「僕は当時、アリーチェ様の兄上が危篤状態だと聞いて王都に来ていました。そしてリト公国の崩壊の少し前に、兄上も亡くなられました。父と約束を交わしていたジェフリー様は、そのご遺体をユアン・シーバートのものとして、埋葬されたのです。その後僕はシャノン・クロフォードという名で、ジュノーで暮らしていました」

 アリス以外にエルも真相を知っていたようだが、他の面々は突如明かされた真相に驚きを隠せずにいた。もちろん私も驚いている。まさかシャノンがユアン・シーバートだったなんて、想像もしていなかった。


「さあ、皆様も早く港へ。あと数時間で、帝国軍は到着するでしょう」

「あなたはどうするの?」

 アリスに問われ、シャノンは当然のように答えた。

「ここに残るよ。残って、やるべきことを終わらせる。そして、この島の最期を見届ける」

「それは許さないわ。当主である父の代理として、あなたに命じ――」

「もうそのお芝居は終幕だよ、アリス。僕はユアン・シーバートに戻る」

 広場の向こうに、馬車が見えていた。優しく彼女の背中を押そうとした彼は、不意に動きを止めた。


「少将閣下、それは何の真似ですか?」

 ユアンの背中に、少将は銃を突き付けていた。

「君もあの馬車に乗るんだ。カイロンを言葉で従えることのできる能力は、失われてはならな――」

 一瞬の出来事だった。ユアンは素早く身を翻すと、少将の右手をねじり上げ、地面に膝をつけさせた。銃を奪い取って、ユアンは言う。

「おわかりいただけなかったようですね。あなたのような人間がいるから、何もかも無にするしかないんですよ」

 うめき声が聞こえてそちらを見ると、警察署長が悔しそうに手首を押さえていた。少将と同じ手段に出ようとしたところを、エルが阻止したようだった。


「……皆様、港へ向かいましょう」

 アリスが目を赤くさせながらも、凛として言った。渋々ではあったが、少将も署長も、その言葉に従うつもりのようだった。

 アリスたちの後に続いた私は、エルに尋ねた。

「あなたも残るの?」

「ああ、俺もシーバート家とは縁が深いからな。俺の父はリト公国時代、牧場を任されていたんだ。……もし会えたら、クレアによろしく伝えてくれ」

 やはり、彼はクレアと親しい仲だったのだ。私は納得したが、こんな形では知りたくなかったと思った。

 すれ違う時、シャノンと呼びそうになって、私は慌てて口を噤んだ。目が合った彼は、寂しげに微笑んだ。


「アレッタ……」

 彼にしては珍しく、すぐに言葉が出てこないようだった。

「もっと早くに出会えていたら良かった。……今までありがとう」

 さようなら、と彼は言った。

「私は、諦めないわ。信じてる、もう一度会えるって」

 彼はもう、何も言わなかった。エメラルドの輝きは消え、夜の海のような目をして、穏やかに私を見ていた。そして、曲がり角に差し掛かるまで、馬車に乗り込んだ私たちを見送っていた。




 港に到着すると、船員たちが早く乗るようにと声を張り上げていた。足の不自由なお年寄りたちがまだ残っているらしく、私と母、アリスは彼らの手を引いたり荷物を持ったりして手伝った。

「さて、私たちも行きましょうか。久しぶりの本土だわ」

 敢えて明るい顔で言う母に、頷き返す。

 しかし、桟橋を歩いている途中で、私は空の向こうに見慣れた影を見つけた。カイロンが二騎。帝国の軍用騎かと思ったが、まさか二騎だけでは来ないだろう。そうなると、ジュノーからだろうか。


 当然ではあるが、今、管制室は空だ。ここから見ると軍の管制塔も明かりが消えており、稼働していないことは確実だった。私は桟橋の途中で立ち止まり、母の背中に叫んだ。


「お母さん、ごめんなさい!」

「アレッタ!? どこに行くつもり?」

「ジュノーから来たカイロンを誘導しなきゃ。管制官がいないと、降りられないわ!」

 母が私を引き留める声が聞こえていたけれど、止まることはできなかった。ユアンが――いや、シャノンが彼のやるべきことを果たすというのなら、私も管制官としての役割を果たす。その方が、ただ彼の無事を祈るよりも寄り添える気がした。


 私は港から管制塔に走り、階段を駆け上がった。担当の管制官たちも慌てて避難したのだろう、電灯は消えていたが、施錠はされていなかった。

 肩で息をしながら管制室に入ると、暗闇の中、ちかちかと点滅する緑のランプが見えた。私はヘッドセットをもぎ取り、装着する。


「トゥーレアプローチです! 所属をお願いします!」

 ノイズに混じって、はっと息をのむような音が聞こえた。

「アレッタさん! ですよね? ウィンベリー中尉です。覚えてますか?」

「シャノンの部下の……」

 弾んだ声で、彼はそうですと答えた。

「いやあ、これは幸先が良い。状況がわからないままとりあえず飛んできたんで、着いたはいいもののどうしようかと思っていたんですよ。一緒にナイトレイ曹長もいますが、誘導してくださればオレから伝えます」

「わかりました。では、滑走路への進入を許可します」


 シャノンや少将の話では、トゥーレは見捨てられたはずだ。なぜ彼らが来たのだろう。二騎のカイロンが降り立ったのを見届けて、私は一旦下に降りた。

「エヴァンス様、大変助かりました。しかし、避難されなくてよろしいのですか?」

「アレッタで構いません、ナイトレイ曹長。私も船に乗るつもりではあったのですが……」

 どこから説明すれば良いのだろう。あまりに目まぐるしく状況が変わって、頭の中はぐちゃぐちゃだった。気づけば視界がぼやけていて、私はぎゅっと唇を噛んだ。ナイトレイ曹長が、労わるように私の背を撫でてくれた。


「帝国軍がカイロンの部隊を組織してこちらに来るという情報があり、この島は抵抗しないことを選びました。アリーチェ様やハリス少将閣下、警察署長殿は、先ほど出た連絡船に乗られています」

「なるほど、それは一安心ですね。反乱を起こした革命軍を名乗る者たちはどうしていますか? 少佐の話では、外部から扇動した者がいるとか」

「はい、ヴァイナーと彼が引き連れてきた者たちです。彼らは帝国が攻撃する隙を作るよう、依頼されていたようでした。さらに牧場から強奪したカイロンをけしかけてアリーチェ様を襲い、シャノン……クロフォード少佐が、それを止めたんです」

 二人の顔に、緊張が走った。ウィンベリー中尉が言う。


「まさか、少佐は――」

「無事です。怪我もありません。ただ……」

 私は二人に、広場で起きたことを話した。シャノンが事態を収めるため、シーバート一族にのみ使える術でカイロンを操ったこと。彼が、死んだと思われていた一族の末裔、ユアン・シーバートであったこと。二人の顔には純粋な驚きが広がっていた。


「なんとまあ、さすがに予想外だ。只者じゃないとは思っていたが……」

「しかし、思い返せば少佐の操縦は時々、あまりに常人離れしていました。訓練中の緊急事態であわやという時、まるでカイロンと意思疎通ができているかのように動いて部下を救助していましたし」

 それで大体の説明は終わりかと問われ、私は頷いた。衝撃の事実を知らされたにしては淡々としているように見えるが、これが軍人のあるべき姿なのかもしれない。


「それで、少佐は今どちらに?」

 具体的にどこに行くとは言っていなかった。彼の言動に何か手がかりがなかったか考えてみるが、思いつかない。

「お役に立てなくてすみません。強いて言えば、“終わらせる”、“なくす”という言葉が引っかかっていて……」

「終わらせる……。十年前と同じように、焼き払うつもりなのか?」

「十年前に公爵様が火を放ったのは、一族とカイロンの秘密を守るためだと思います。今、街を焼き払う意味はあるでしょうか?」

 私の意見に、ナイトレイ曹長が頷く。

「おそらく帝国に渡って困る資料などは、もう残っていないでしょうね」


「そういえば、彼が少将に銃を突き付けられた時……」

 カイロンを操る能力を利用する話をした時、シャノンは即座にそれを拒絶した。

「……カイロンを兵器として使いたくなかったから? 争いを、“終わらせる”ということ……?」

 中尉と曹長は、声をそろえてそれですと叫んだ。


「そうなると、カイロンを逃がすつもりかもしれません。飼育施設は、どちらですか?」

 私はナイトレイ曹長に方角を示した。二人はカイロンに乗って、様子を見に行くという。再びカイロンに乗り込もうとする彼らに、私は尋ねた。

「あの、お二人がいらしたのは上からの命令ではないですよね?」

「ええ、王都の防衛を固めよと言われました。命令に背いた上カイロンを勝手に乗り回したとなれば、懲罰ものでしょうね」

 ナイトレイ曹長は涼しい顔でとんでもないことを言った。


「ですが、来て良かったと思っています。彼我不明騎を追って少佐が王都に戻られた時、いつもと様子が違ったことが気にかかっていたのです。その靄が今ようやく晴れて、自分が何を求めていたのかわかりました。少尉も、同じ思いでしょう?」

 カイロンの座席に飛び乗ったウィンベリー中尉が、陽気に答える。

「ああ、そうさ。とても単純なことだよ。オレはあの人に生きていてほしい。あの人の背中を、もっと追い続けていたいんだ。軍の命令に反しても全く後悔していないことは、我ながら驚いちゃいるけどな」

 二人は清々しい笑顔で頷き合った。その姿に、私も力をもらった。


「私は管制塔に戻ります! 通信ができるようにしておいてください」

 帝国のカイロンが最初に見えるのは、管制塔だ。方向や数の情報があれば、ある程度準備ができる。圧倒的に不利でも、情報が全くないよりはましだろう。

 私は大通りを軽やかに駆けていく二騎を見送ると、急いで管制塔に戻った。



 

「……うん、とりあえずこれで良し、と」

 たぶん、と心の中で付け加える。

 私は一人で管制業務ができるように、環境を整えていた。といっても、パラス帝国側に面した窓際に机を置き、通信に必要な機器類を載せただけだ。重いものは動かせないので、コードを目一杯伸ばして繋いだ。こうしておけば、目視でカイロンの姿を確認しつつ、通信ができる。

 とはいえ、戦闘時のオペレートの仕方なんて全くわからない。そんなものは当然研修にもマニュアルにも含まれていなかった。


 それでも、やるしかない。父もきっと、同じような思いで管制塔にいたのだろう。子供の頃はなぜ逃げなかったのかと不思議だったが、父にもどうしても譲れないものがあったのだ。

 そして空が白み始めたころ、ついに帝国からのカイロンの姿が見えた。五騎で編隊を組み、こちらに向かっている。全騎が黒い兜で頭と顔を覆っていて、私の知らない、止めようのない怪物が襲って来たようだった。


 私は震える指を動かし、ウィンベリー中尉のカイロンと交信を試みた。

「ハーイアレッタさん、調子はいかがですかー?」

 おどけた声に、緊張が少しだけ和らいだ。私は彼に、帝国の騎影が見えたと伝えた。

「そいつら、機銃も装備してます?」

 私は双眼鏡を手に取り、確認した。左右に黒光りする鉄製の筒が見える。腹の下にも何かを装着しているようだ。そのまま伝えると、爆撃機かなあ、と呟きが聞こえた。


「そちらはどうですか? シャノンとは合流できました?」

「ええ、ばっちりです。革命軍の残った奴らと一緒に、カイロンを一か所に集めているところでした」

 それから少し間をおいて、話しますか、と中尉は私に聞いた。

「今は地上にいるので、短い時間なら少佐と話せると思いますけど」

「……いいえ、やめておきます。邪魔をしたくないので」

 本音を言えば、シャノンの声が聴きたかった。でもそれは今ではないと、私は自分に言い聞かせた。ここを生きて切り抜けたら、会いに行く。その時まで待とうと、私は思った。


「それより、何か私に手伝えることはありますか?」

「こっちはギリギリまで引きつけてから仕掛けます。五騎じゃまだ少ない。もっと数が増えたら、教えてください」

 詳しいことはわからないが、何か策があるようだ。

「それから、少佐から伝言です。民間の施設とはいえ、管制塔は狙われやすい場所です。危ないと感じたらすぐに逃げること。なんならもう逃げても構わないそうですよ」

 シャノンらしいと、吹き出した。

「わかりました。考えておきますと伝えてください」

 ウィンベリー中尉の苦笑が聞こえた気がした。似た者同士、とぼやく声も聞こえたから、次に会ったら文句を言っておこう。


 それから三分後、先頭の五騎が管制塔の横を通過していった。そのころには、空の一部が雨雲のように黒く覆われていた。あの全てが、武器を携えたカイロン。さっき強がったことも忘れて、すぐにでも逃げ出したくなった。

 私は息を整えてから、中尉に再び通信を繋いだ。今度の通信は短時間だった。

「ちょっとすごいことが起きますよ」

 自信に満ちた声を最後に、通信は切れた。


 カイロンの影がどんどん大きくなる。私はテーブルの下に潜り込み、姿を隠した。カイロンたちの翼が起こす風で、窓ガラスがビリビリと揺れる。怖くてたまらない。それでも、意地で目は閉じなかった。

「あれは……?」

 牧場の方から、一斉に何かが飛び立った。鳥にしては大きい。双眼鏡で覗くと、カイロンの群れだった。

 中にパイロットがいたら、あんな真似はできない。そもそも、あれだけの数のパイロットはいないはずだ。シャノンがカイロンたちに群れを成して飛ぶよう、命じたのだろう。


 しかし、帝国軍にはそんなことはわからない。編隊が乱れ、動揺しているのがわかった。

 このまま、敵が多いと判断して帰ってはくれないだろうか。私はそう期待したが、やはりそこまで甘くなかった。飛び立ったカイロンたちは武器を装備していない。帝国軍は躊躇なく発砲し、トゥーレのカイロンたちを蹴散らした。被弾したカイロンが、力なく地面へと落ちていく。

 だがよく見れば、鉄の兜をつけた帝国軍のカイロンも、何騎かが落ちていく。どういうことかと双眼鏡で確認してみると、トゥーレのカイロンたちに混じって、武装したカイロンが二騎見えた。


 二騎は器用に群れの間を縫うようにして飛び、帝国軍のカイロンを攻撃しては群れに隠れるのを繰り返している。神出鬼没、まさに神業だ。しかも二騎が連携することによって、どちらかが標的になるのを回避していた。

「すごい……」

 私はしばらくの間、ウィンベリー中尉とナイトレイ曹長の華麗な操縦を眺めていた。


 カイロンの群れが広がり、トゥーレの上空からいなくなると、また次の群れが飛び立った。二人はまた群れをうまく隠れ蓑にしながら、攻撃を繰り返す。帝国軍が翻弄され苛立っているのが、ここからでもわかった。

 しかし二人がどれだけ奮闘しても、数の差は歴然だった。撃墜された帝国軍のカイロンなど、百分の一にも満たない。


 帝国軍は徐々に勢いを増し、トゥーレ上空を覆うように展開していった。カイロンの腹からパラパラと黒い物が落ちたかと思うと、それは炎と黒煙を噴いて破裂した。爆弾だ。

「ひどい、クロフォード家の屋敷が……」

 庭で飼われていた二頭は、無事だろうか。絶望的な思いで、私は燃える屋敷を眺めていた。


 このままでは、島が再び炎に包まれてしまう。シャノンはきっと、ヴァイナーの思惑に気づいた時からそれを覚悟していた。ナイトレイ曹長の言葉から推測するに、彼はかなり早い時点でトゥーレが標的になる可能性に気づいていたのではないだろうか。そして森の中でヴァイナーが、王都が狙われていると敢えて漏らした時、確信したのだ。

 それならなぜ、彼は何も言わなかったのか。早くに警告していれば、本土からの応援も間に合ったかもしれないのに。


「“終わらせる”ことが、彼の一番の願いだったから……?」

 カイロンが兵器として利用され続ける限り、トゥーレに真の平和は訪れない。この島が滅び、カイロンがいなくなれば、争いに巻き込まれることはなくなる。

「でも、だからって、どうしてあなたやエルが犠牲にならなくちゃいけないの?」

 死なせたくない、誰も。その思いの強さは負けない自信があるのに、私にできることはあまりにも少ない。


「何か、こっちにも気を引ければ……」

 管制塔には、災害時の呼びかけなどに使う、全島放送ができるスピーカーが設置されている。そこから、大音量の音楽でも流してみようか。

とりあえず放送室の様子を見に行こうと足を踏み出した時、つま先に何か堅いものが触れた。美しいティアドロップ型の石がついた、ピアスだ。それには見覚えがあった。


「ハンナったら、また落としてしまったのね」

 拾い上げた私は、この石がベイレイと呼ばれる、カイロンの体の一部だったと思い出す。こんなに透き通った美しい宝石がカイロンの体内に存在するなんて、本当に不思議だ。

 この一粒で、どのくらいの値段なのだろう。母の話では、加工にも気を遣う必要があるということだった。金曜日に出荷するために加工は木曜日までに終わらせる必要があり、その加工には全部で三日間も――。


 その時、頭の片隅で何か引っかかった。


 加工に三日間。木曜日に終わる。つまり、加工が始まるのは火曜日だ。そう、カイロンが暴走する、火曜日から。

「火曜日にやることは……」

 私は必死に、母との会話の記憶を引っ張り出した。確か、外殻と同じ成分に覆われたベイレイを削り出すのだ。その作業を、工場で一斉に始めたらどうなる?

「ベイレイが振動する……振動、つまり音が発生する!」

 耳を覆ったカイロンは影響を受けなかったと、アリスが言っていた。その結果にも一致する。それに、その前の週の火曜日、カイロンが平然としていたことにも説明がつく。嵐で連絡船が来られず、本土から運ばれるはずのベイレイが到着しなかったのだ。だから、火曜日の作業も中止だった。


 矛盾はない。でも、本当にこの答えが正しいのか、自信はなかった。誰かに意見を聞きたいが、今は誰もいない。

「一か八かだけど……」

 試してみる価値はある。カイロンを暴走させることができれば、戦況は確実に変わる。このまま徐々に追い詰められるだけなら、何でもやってみればいい。

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