その2 準主要人物

・龍華 彌能末(タチハナ やたすえ)

 埼玉県警。鬼立の直属部下。

 陣内しか知らないが、実家は上海。龍華も本来はタチハナとは読まない。血みどろの跡継ぎ問題に関わりたくないため逃げるように来日するも、敵対勢力に人質にされるが命からがら陣内に助けられる。「一人くらい国家権力に明るい人間がいたほうがいろいろと便利でしょう?」と実家サイドを言いくるめて警察官になる。本当の狙いは陣内の傍にいるため。陣内に気があるので、陣内が気にかける鬼立のことは憎しみの対象でしかない。

 鬼立が左遷された曰く付きの事件の被害者兼、いわば中心人物だが、鬼立はそれを知らない。



・右柳 優輔(ミヤギ ゆーすけ)

 世界コンクール最年少優勝。その記録はいまだ破られていない。「天使の妙音」と名高いプロピアニストだが、父の強引なやり方に反発しピアノを辞めてしまう。高校卒業後、父に頭を下げ再度ピアノを弾くことを条件にドイツに留学する。ドイツにいる母と兄に会うため。

 地毛は金に近い茶だが、視線誘導のためオレンジに染める。ナンパでチャラい性格を演じているが、本当は気が弱く、本音をなかなか言えない。優しすぎるがゆえ。近視だが眼鏡が似合わないのを苦にしドライアイにもめげずソフトコンタクトを使用。一応有名人なので学園外に出るときは変装用にメガネをかけるようにマネージャにきつく言われている。

 羅城学園高等部副会長。生徒会長と人気を二分するが、学園内ファンクラブが存在するのは彼だけ。別高校に同い年の彼女がいるが、現在疎遠。右柳家内のゴタゴタに巻き込みたくないのか、父が認めないのかは、どちらとも言えるしどちらとも言えない。

 育った家は東京にあるが、右柳家本館は千葉。本人と父以外はほぼ一族全員そこに住んでいる。

『SEA and So on―神淵の踪音―』『ゆろびと微笑んでshe ENDEd Sound.』主役。



・中榧 燈留(ナカヤ ともる)(ゆーすけと同い年)

 陣内が護衛する御曹司。ゆーすけのライバル(本人談)。

 ジュニアコンクールで日本一、世界一に輝く。フランスに留学中。ゆーすけと対になる「悪魔の誘響(ゆうきょう)」の異名を持つプロピアニスト。持ち味は光速の指捌き。もはや人間業ではない。まるで悪魔の指の如く。その速さは単に技巧的に留まらない。流れるような響きで甘美な世界へと誘う。

 父は小料理屋板前。母はファッションデザイナで、国内外を飛び回っている。姉が2人いるが、両者とも結婚して自立。

 プライドが高いが、それを裏打ちする努力も怠らない。ゆーすけがピアノを辞めたことを最も怒り、悲しみ、認めなかった人物。

 陣内に出会う前、えんでのピアノの生徒だった。ピアノのある離れで小火が出てその直後ピアノが引けなくなった時期があったが、そのときのことは本人はあまり思い出したくない。えんでの面影を亜洲甫に重ね、憧れと尊敬の念を抱く。




・亜州甫 夏奈真(アスウラ かなま)

 元は唐栖栗 星月(カラスグリ せつき)というが、えんでに徹底的に壊されたのち、ユリウス博士に保護され、結佐の治療によって新たに生まれた人格。唐栖栗だったときの記憶はほとんど残っていない。外見は男だが、体のつくりは女。

 過去生徒だったこともあり、えんでに憧れ、えんでの前衛的な奏法を踏襲している。細々と演奏活動を続けていたが、ミヤギ・クラヴィア社長の目に留まり、プロデビュー。イケメンすぎる見た目からは想像もつかない独特のパーソナリティと圧倒的な実力が相まって、若い女性を中心にコアな人気を博す。

 結佐に引き取られ熱心なアプローチも受けているが、いまいち響いていない様子。世界一位になった頃のゆーすけの記事を見て勇気をもらい、再度ピアノを弾こうと思ったの経緯から、ゆーすけには一方的な感謝をしている。

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