第3話【大谷吉継《オオタニヨシツグ》】

第3話【大谷吉継オオタニヨシツグ


佐吉(石田三成イシダミツナリ)の朴訥とした純情さが儚くまぶしかった。

私や佐吉等は豊臣に於いてこそ輝ける吏僚リリョウなのだ。

元より内府殿(徳川家康トクガワイエヤス)の下で働く余地などないのだ。

佐吉にはそれすらも思考の隅にも入れてはいない。

成り行きの中で毛利輝元モウリテルモト公を総大将に担ぎ内府殿との対決に及んだ。

緒戦を繰り広げ両軍は関ヶ原に布陣した。

「布陣図のみを見れば我らの勝ちだがやはり一番危うい位置の金吾(小早川秀秋コバヤカワヒデアキ)が怪しい..」

そう感じた私は金吾に備えて陣を構えた。

いよいよ先端が開かれた。


-不安的中-


「小早川秀秋殿裏切り‼小早川秀秋殿裏切り‼」

伝令の叫びが聞こえる...

「金吾よ...やはりか...」

「押し返せ!」

我が手勢はよく耐え良く押し返してくれた...が。

「お味方裏切り!」

私の配下からも裏切りが出た為に軍勢のテイをなさなくなっていった。

「もはやこれまで...我が首敵に渡すでないぞ!」

言うやすかさず私は腹を切った。


大谷吉継オオタニヨシツグ】討死(自害)享年42歳(或は36歳)

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