第10話 失恋

小学校の頃から、不思議な娘として扱われていた。

クラスの中で浮くのは、当たり前でいじめも受けた

一回だけ鳥小屋に閉じ込められて、足を鶏につつかれた事もある

今はなんでも無いが、当時の私は鶏は怖かった。

鱗のある足は恐怖でしかない


そんな私だから掃除当番でも、一人だけ残って掃除をする事もよくある

当番を押しつけられるのが普通だった。

きれいにした教室で、椅子に座り窓から外を眺めると

なぜか心が安らぐ。


「玲子、あんたでしょ消しゴムを盗ったのは」

いいがかりもよくある定番だ。

わざと私の机に隠して、暴き立てる作戦だろうが

そこは見抜いている


「あそこに、入ってない?」

私がゴミ箱を指さす。

「あるわけないでしょ」とゴミを箱を見ると入ってる。

「あんたが捨てたのよ」

ヒステリーを起こして、騒ぐと

クラス委員のメガネ君が、「間違って誰かが捨てたかも」と

助け船を出した。


優等生のメガネ君は、野内という名字だったろうか。


素直でおとなしく小学生としては大人びて勉強ができる。

親から見れば、最高の子供だろう


彼は単にクラスが、もめていると不愉快だったのかもしれない

それでも私は嬉しかった

休憩時間に「ありがとう」と声をかけると

少し緊張して「なんでもないよ」と応える。


これを恋と呼ぶならそうなのだろう。

彼に好意はあったと思う。


いつものように、一人で掃除をしていると野内君が手伝ってくれた

「ぼくも掃除するよ」

どこか恥ずかしそうに、手伝う彼がキラキラして見えた。

「一人でも大丈夫よ」

私はうれしさを隠しながら手伝ってもらう。


繊細な子供だったのかもしれない、私との仲が良くなると

クラスの女子達は委員長を無視するようになる

子供からすれば、学校は世界全体だ

否定されるつらさは、想像を越えていたのだろう。


「野内君が事故で無くなりました」

先生が状況を説明するが

噂で、自殺したと、ささやかれた

クラスで葬式に行くが、泣いている子供も大勢いた


私は涙は出なかった

いじめていた同級生が「あんたのせいだからね」

罵る声に嫌悪感しか感じない。

私は何も言わずに家に帰る。


小学校を卒業するまで、私は一人で掃除をする

野内君は、そばで見てるだけだ。

おしゃべりもしない。

なぜか安心感がある。


6年になり、お別れを言うとニコニコして、かすれて消えた。

「さよなら」

教室を出るまでは、泣かないつもりだったが

涙があふれる。


「そんな悲しい恋があったのね」

舞子がつられて泣いている。

「あなたが初恋の話をしてと言ったのよ」

思い出したら少し泣けた。

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学校のふしぎな話 窓辺の少女 WsdHarumaki @WsdHarumaki

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