第3話 露出

少女は窓際から校庭を見ていると、近くの雑談が聞こえてくる

「男がコートを着ててキモイ」

「まじ卍ありえない」

下校時の帰り道に変質者がいるらしい。

らしいというのも、実害が出た話は聞かないからだ

よくある警察案件なのだろうが、報告もない


単に、うわさ話としてコートの男の話が出ている。

口裂け女と同じかもしれない。

数十年前に流行った、口裂け女は低学年だけではなく

未成年の間で目撃証言が出ていた


だれかが見たと言えば

集団ヒステリーのように、証言が続いたらしい

それを冷静に批判をすれば、逆に白い目で見られる

一種の興奮状態で、見たと言わないと仲間はずれされる

今回のコートの男も

同じだろう


学校からの帰り道に、そいつは居た

油断をしたと少女は覚悟した

たしかにコートを着ている

手に紙袋を持っている。


こちらを見ているようで、うつむいている。

「なにか用ですか」

ぶっきらぼうに男に、声をかけた

露出狂は見せるのが目的の場合が多い

次の段階に進むのは、マレらしい。


強く出た事で、逆にスイッチが入ったらしく

男はゆっくりとコートを広げた。


まじまじと、コートの中身を見た後で

「今日は塩をもってきてないの」

「コンビニで買ってくる?」

コートの男は困惑したように、薄れて消えた。


最近の地縛霊は、内臓を見せるのが流行ってるのか。

グロを見せられて不愉快な少女は、

明日の下校時に塩をぶちまけてやると

ぷりぷりしながら家に帰る。

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