クロウの子

「ただいまぁ〜〜、お父さんギルドにおつかい行ってきたよ!」


 玄関の扉が開き、娘のルナが帰ってきた。

ルナのやつ耳をピンと立て尻尾をフリフリご機嫌そうだ。


「おかえりルナ、お客さんが来てるんだ!」


「お客さん? 誰?」


「なんといつも美味しいお弁当作ってくれてる、弁ちゃん達だ!!!」


「えっ! お姉ちゃんが弁ちゃんなの♪ いつもお弁当美味しからルナ大好き♪」

 ルナは興奮気味に尻尾をブンブンしている。



「ルナちゃん! 私の名前は『平野 慶』よ『慶ちゃん』って呼んでね! 弁ちゃんはね、あなたのお父さんが勝手に呼んでいるだけだからね!」

 弁ちゃんはルナの頭を撫でるフリをして頭を軽く締め上げている。


 弁ちゃん怖え〜よ、ルナの頭ギギギギ変な音なってるよ、子供の無邪気にも容赦ねえよ!


 痛みに耐えながらルナは「ハイ、慶ちゃん」と涙目で答えてた。


 返事をしたルナに気を良くしたのか弁ちゃんは楽しそうだ。


「やあルナちゃんはじめまして、俺が『本田宏王』『オーちゃん』だ!」

 オーちゃんは右手の親指をグッと立てて凄い笑顔だった。

「こんにちは、オーちゃん!」


「僕は立川星也だよルナちゃん、僕の事はダンちゃんって呼んでね♪」


 最後に会った5年前はダンちゃんは人間不信だったのに、改善されてるぞ、なんかめっちゃ嬉しいわ。

「うん!よろしくねダンちゃん♪」


 うちの子も当然ちゃんと挨拶できるんだぜぇ、マジで良い子。




「ルナちゃんは私達のことどれくらい知ってるの?」


「慶ちゃん達のこと? う~ん、オーちゃんとダンちゃんとアウト3人でスリーアウト!」


 ぶはっ、その言い方は違うよルナ、殴られちゃうやつだよ。


 弁ちゃんはまたルナの頭に手を置き、キリキリ締め上げながら「私とオーちゃんとダンちゃんで『スリーアウト』というパーティをやっているが正解ね♪」


 ルナはまた涙目になりながら「ハイ」と答えてた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る