ガイルside

魔獣に襲われている子供を見つけた。

助けたのはほとんど反射と言っていい。


黒髪に金色の瞳の10歳前後の子供で、高そうな服を着ていたから貴族の子がなんらかの事故で1人になっていたのだと思った。


しかし助けた子供はこちらの言葉をわかっていないようで、この国の子供ではないようだった。




予想通り多分魔獣など見たことも、野宿などしたことないであろう反応をしていたが、こちらが粗暴な態度を取っても怒る様子もなく従順に従ってきた。

プライドが高いだけの貴族だと思っていたが、この森の中で俺からはぐれたら自分が生きていけないことはわかるくらいの頭はあるようだ。


従順だし、他国の貴族の子供なら今後の取引などに使えるかもしれないと思い行動を共にすることにした。



「ガイル***」


森を進んでいる間、イリスと名乗った子供が指す。

そのすぐあとに、その方向から魔獣がこちらに向かって飛び掛かってきた。


それを俺はスキルを使い難なく倒す。

今回はストロングベアーか…。普段は森の奥にしかいないはずだが最近魔獣の分布に乱れが出てきている。


魔獣は生き物を見たら見境なく襲ってくる生き物だ。もとは動物だったのだろうが、自然界の魔力に触れ体が発達し凶暴化している。並の人間ならやられるだろうが普段から狩っている俺らにしたら大したことのない相手だ。


それに――


(来ることと方向がわかってたら、なおさらな)


イリスと行動を共にしてから、魔獣が襲ってくることは何度かあった。

その度にイリスは魔獣が来る方向を俺に教えてくる。


こいつ何かしら探知系のスキルを持っているのか……?


その能力は暗くなってからも正確に使えるようで、休む前にイリスに目をやると、首を横に振ったりして周りに敵がいないことを伝えてくれる。


そんなこんなでイリスと過ごしたが、森の魔獣の数を減らすと言う役目を終えたためアジトに帰ることにする。




「他国の貴族の子だと?」

「ああ。たぶんそうだと思う」


うちのボス、赤髪のセイにイリスについての情報を伝える。

「言葉は通じねぇが動きが上品だし、何より今は汚れちまったが、着ている服が見たこともねぇくらい上等なもんだ

あと感知系か何かしらのスキルは持ってそうだ。」


「なるほどな。もし貴族じゃなかったとしても何かしらの役には立つ…か。わかった

とりあえず、サキに面倒を見させるか」


サキは俺の幼馴染で面倒見のいい女だ。

とりあえずイリスをここに置いていいみたいで少し安心した。

いつのまにか情がうつっていたらしい。


子供などいない殺伐としたアジトだが少しは空気がマシになるかな、とその時の俺は軽く考えていた。


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