第4話

要塞に来て数日が過ぎた。

あれから毎日ピンクの髪の女の人――サキというらしい――と行動を共にしている。


ここの人たちは魔獣以外に人間とも戦っているようで、傭兵のような格好をした男の人が何人もおり、毎日体を鍛えていることがわかった。


情報を得るため何人かの視界を覗いてみたから間違いないだろう。


「イリス***どうしたの?」


ぼーと窓の外を見ていたからだろう、サキに声をかけられる。


なんでもないと伝えるように首を横に振る。

前のところで他国語を学んでいたからか、聞き取れる言葉もだいぶ増えた。

しかし発音はなかなか難しくまだ彼らの名前を呼ぶことしかしていない(それも発音も崩れているが)


窓の外ではいつもと違い何人かの男たちが慌ただしげにバタバタと走り回っている。


ちらりと窓の外を見ていると、突然大きな音を立てて部屋のドアが開く。

ガイルだ。


「!?****!!」


驚いたサキがガイルに怒っているが、当のガイルはいつもの様子と違い無言だ。


「****?」

「…………***」

「!!****!?」


2人で何か話しているが早口で聞き取れないが、何か起きたようだ。

2人で連れ立って部屋の外に行ったと思ったら、数分後に先ほどの気が立った様子とは違いどこか意気消沈したガイルだけ戻ってきた。


ここに来てから数日に一回は様子を見に来ていたガイルだが、こんな様子は初めて見る。


「……聞いて**?*****。***仲間」

僕の向かいの椅子に腰掛けたガイルは静かに話し始めた。そして一枚の写真を見せてきた。精巧な絵のように見えるそれは写真と呼ばれるもので、見た物事を切り取る、元のところにはなかった物だ。


その写真には紫色の髪の男とガイルとサキと赤髪の男、緑の髪の男が写っていた。みんな今よりどこか幼く、そして楽しげな雰囲気だ。


「*****。**捕まった**」


その中の紫色の髪の男を指差し小さな声で話すガイル。

推測するに、この写真に写るガイル達は仲よしで、その中の紫色の髪の男が敵に捕まったのだろう。


要塞の外に行った男たちの中には大怪我を負って帰ってくる人もいた。動物の牙などの傷ではなく明らかに刃物で切られたと思われる傷は彼らには何らかの敵対勢力がいることを指していた。

それらに彼は捕まったのだという。


捕まれば待っているのは拷問の上の死か、捕虜になっても良い待遇は望めないだろう


そんな表情だった。


「…………」



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