第2話 以前とは違う場所

ガイルと行動を共にし、言葉は通じないがジェスチャーでコミュニケーションがとれているため大きな弊害もなく数日が過ぎた。


その間に森を抜け草原に出てきている。

どうやら僕がいるところは今までいたところとは大きく違う場所、

もしくは世界規模で違うことがわかった。

まず何かしらの特殊な力が存在し、その力を使うことで人間も動物も大きな力を操っていると言うことだ。

そう、娯楽として読んだ物語に出てくるようなスキルや魔法といった力だ。

ガイルはこの力を使うことで身体能力を大きく引き上げているのか、凶暴な動物(角や牙が異常に発達したりしていて動物と呼んでいいのか怪しい物ではある)をいとも簡単に倒している。


僕がいたところにはこんな力を操る人間はいなかったし、動物?も空腹時や子育て中に襲いくるだけで、こんなに無差別に攻撃をしてくるほど凶暴ではなかった。


ガイルやこの地の生き物の体には、前のところにいた生物にはない特殊な流れがある。

血液のように体を巡るそれは、その力を使うことで少しずつ量が減っていき時間が経つと徐々に回復すると言う物だ。物語に出てきた言葉で表すのなら魔力にあたる、と思う。


「**ごはん***」


ガイルの体を眺めてぼーとしていると声をかけられた。

ここにきて数日、簡単な単語ならわかるようになってきた。


「ありがとうございます」


ガイルが差し出してきた肉を受け取る。

これは先程倒した熊のような生き物の肉だ。この地の生き物には魔力があるが絶命するとその不思議な力はなくなり普通の生き物と変わりない肉に変わる。


「*****?」

ガイルがまた何か言っているが知っている単語がなく、全くわからなかった。




そのまま草原を進んでいくと立派な建物が見えてきた。

要塞のような建物は外敵から身を守るような頑丈なつくりであることが見てとれた。


「*****」

その要塞の門番と思わしき男と短い会話をするとガイルは中に入っていく。

僕も一緒に入ったが、特に何も言われることはなかった。





中はシンプルな作りだが、所々に装飾が施してあり、ある程度の地位や力のある存在が住むところであると推察できた。

しかし隠し扉や罠、覗き穴のような物もあり、ここがただの住居ではないこともわかった。


その建物の中の奥まったところ、__建物全体の真ん中に当たる部分、おそらく一番地位が高い人物の居住地___にガイルは向かっていた。


その部屋には人が何人かいて、その中心に座る人物とガイルは何かしら話している。


中心に座る人物は赤い髪のするどい眼光の年若い男で、ガイルと話しながらチラチラとこちらに視線を送っていた。

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