戦車 弐

鋼の鎧をまとった戦車が駆けている。

突然、敵が最後の叫びをあげるように飛んできた砲弾が研ぎ澄まされた刃のように戦車の脇腹を貫いた。

動きを止めた戦車を、歩兵が追い越してゆく。止まるものなどいない。

突然悲鳴のような爆炎が轟き、血の炎を上げた

戦車が炎を上げたままのたうち回った。

戦車の悲鳴に耳をすませば、中に乗った兵士の地獄から響く叫びが聞こえただろう。

最後の力を振り絞る虎がごとく砲塔が大きく振られ、がくんと肩を落とした。

兵の悲鳴は、消えた。

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