第5話 やべぇ

私、高橋たかはし春花はるかは絶賛ピンチ中です……


四時間前…


「これどういう事かしら? 春花さん?」


そこには服を一緒に買う私と秋斗君あきとくんの姿があった。


「⁉ ゴホッ!」

「あら何かしら、いきなりせきこんじゃって? 大丈夫? 早退する?」

「それならちゃんと訳があって……」

「へぇ~訳があるんです? じゃぁお話してくれると助かりますわ~」


こわぃぃ! 陽キャって怒るとこんなに怖いものなの⁉ マズイよこれは……


「おっはよー!」

式羽田君しきはたくん!」

秋斗君あきとくん!」


ギロンッ!


ヒィィィ! 名前呼んだだけでそんなに睨まなくてもー!


「っえ? 何々? なんかあった?」

「大丈夫だよー。何にもないよ式羽田君!」

「心配しないで大丈夫だよー。お話してただけー。(棒読み)」


やべぇ。さっきのは棒読み過ぎたか? さすがにバレ…


「そうならいいや!」


バレなかったー!! 不思議!


「ここだと目立つので昼休みに体育館裏で話します。」

「あらそう? 逃げないでね春花ちゃん?」


グゥゥゥゥゥ! 怖いよぉぉ!


「は、はい。失礼します。」


ピロンッ


ん?


(ホントに大丈夫? 何かあったでしょ?)


さすがにバレるか…


(昨日一緒に買い物してたとこばっちり撮られてた…)

(うそ! かなりヤバくない?)

(昼休みに体育館裏で説明することにした。)

(なんていうの? 二人でデートしてたーって?)

(違う! 実は西岡にしおかさん、秋斗君のことが好きなんだけど、幼馴染おさななじみって言ったら好みを聞かれて、それを探ってた。って言っとくことにする。)

(それは知ってたけど、そんなにうそを言って大丈夫かな?)


いや、知ってたんだ……


(きっと大丈夫だよ。西岡さん自分のためとなると態度凄い変わるから)

(ウゲェェ。俺そういう女嫌いー。そう言っといてー)

(はいはい。あんまり学校で話しかけないでね)

(ひどいなー。わかったよー。じゃあね大好きだよー(⋈◍>◡<◍)。✧♡)


最後の最後までこれだよぉ。恥ずかしいからやめてくれないかな。絵文字可愛いな!


「一時間目始めるぞー」


五分後…


うぅぅぅ。さっきからずっとにらまれてる気がする……

何か背中の方から殺意のこもった視線がグサグサ刺さってくる……

このままあと三時間も頑張るのかぁ。大丈夫かなぁ、私


昼休み……


「じゃぁ、訳を話してくれるかしら?」

「何でそんなに人がいるんですか?」

「万が一よ、万が一」


万が一って、私何もしないけど?


「これは西岡さんにしか伝えられない有力情報だからダメです。」

「……いいわ。戻っててくれる?」


でも、西岡さんと二人ってのも危ないなぁ


「それで訳って?」

「え~っと、西岡さんって秋斗君のこと好きでしたよね?

それで好みを聞いてたんです!」

「ホント⁉」


よしよし。食いついた……


「西岡さんってスタイル良いし、美形だからなんでも似合うと思ったんですよ!」

「そんな風に思ってくれてたのね……」

「それで服の好みを聞いて、伝えたら力になれるかなーって思ったんです!」

「ホントに―⁉ ありがとう! それでどうな服が好み?」


あ! そこ聞いてなかった……。やべぇ。どうしよう

スマホで確認する? 私に着せてきたのは清楚系? おしとやか系?

LINEで聞くしかないか……


「スマホにまとめあるのでちょっと確認してきますね。」

「うん! よろしく! 」


よーし。何とか流せた。


(秋斗君ってどんな服が好み?)


お願い……早く返信して…… ピロンッ はやっ!

いつもだと怖いけど今じゃ救いだわね。


(ついに俺の彼女だと認めたか!)

(うるさい今はそれどころじゃない。早く答えて。)

(むー。まぁ清楚系の黒髪ロングが良い。)


ちゃんとした願望……

好みって言っても人によって見え方も違うよね。そうだ! 一応……


(西岡さんに似合って秋斗君が好きな服装って何?)

(今もしかして西岡さんと話してんの?)

(そう。だから早く答えて。私の命が尽きる前に。)

(俺も行く。)

(ダメ。早く答えて。)

(むー。分かった……。茶髪のロングカールとかかわいいと思う。)

(そう。服装は?白にオレンジのミニスカとか?)

(分かった。ありがとう。また今度お礼するね。)

(じゃあ放課後デート。春花ちゃんの家で。)

(行けたらね。確認しとく。)


意外とちゃんと答えたな。私の命を心配してくれてんのかな?


「ゴメンナサイ。遅くなりました。」

「全然! まだまだ昼休みはあるわ! それでそれで⁉ 式羽田君の好みは?」

「え~っと。服の好みは清楚系で髪は黒髪ロングだって。でも……」

「でも?」

「さりげなく西岡さんの似合いそうな服聞いたの。」

「ホント⁉ すごいよ!」

「それで、西岡さんには茶髪のロングカールとか似合いそうって。」

「茶髪のロングカール……」

「服装はスタイル良いから白にオレンジっぽいミニスカとかって言ってました。」

「ホント! ありがとう~! また遊びに誘ってみようかな~。休日に!」

「確かにそれなら私服で行けますね。」

「そうそう。この前LINEも交換で来たんだ~。大きな進歩だよ!」

「良かったです。それではちょっと購買に行ってきます。」

「そう? じゃあね~!」


黒髪ロングか~。明日三つ編みほどいてこようかな。

ってか、何だろう。さっきからモヤっとするな……不整脈?


何だろう。こんなの初めてだな……

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