第3話 みせものの少女
客席は満杯だ、皿回しが終わると出番が来る
司会役の支配人が
「世にもめずらしい少女が芸をします、みなさん拍手を」
まばらな拍手が起きる
いつものように舞台にでるが、客の目が痛い
お客さんは、私の体をじろじろ見ながら
驚いている
「まぁかわいそうに」
「あの足をみてごらん、奇妙だね」
私は見世物として、ここで働いている
捨て子の私は拾われて、支配人に買われた。
雑用をしながら舞台に出て芸をして
暮らしている
芸といっても何ができるわけでもなく
舞台で奇妙な体を見せるだけだ
たまに逆立ちをして失敗をする
倒れるとお客さんは笑ってくれる。
支配人は
客が満足したら、次の芸人を呼び出す
舞台を降りて掃除や洗濯をして一日が終わる。
ある日
裏で仕事をしていると、通りのむこうから
荷物を背負った青年が歩いてくる
私は驚いた
「わたしみたいな人がいるわ」
そうなのだ、体つきがまったく一緒なのだ
そんな体で重い荷物を運んでいる
青年もびっくりしたように私を見た
私は反射的に手をふる
彼も恥ずかしそうに手をふりかえして通り過ぎた
「彼も大変なのかしら」
同じ人を見た事で、自分もがんばろうと誓う。
「支配人さんが倒れてしまったよ」
芸人仲間は心配そうだ。
とうとう支配人は病で亡くなり、見世物も解散となる
芸人はそれぞれ仕事をみつけて店を移る
でも少女には、つてがない
養い親も亡くなり、芸も出来ない少女は
誰も居ない作業場で、ぽつんと座っている
「明日からどうしましょう」
もう泣きそうだ
「俺と一緒にならないか」
あの青年が居る
行商の青年は、この奇妙な国にたどりつき商売をしてみる
はじめは驚かれたが、商売はどこの国も同じだ
蓄えも増えたので、少女に会いにきた
身の上を聞いて自分の国で暮らしてくれと頼んだ
少女は喜びでニコニコしながら
青年と見世物小屋を後にした
「幸せそうだな」
一つ目小僧は、物陰から少女を見ている
「人間の子を見世物にしてたからねぇ、かわいそうな娘だよ」
頭にお皿があるカッパも喜んでいる
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